想い想われ?



06・史明・静乃視点




「……んっ……んんっっ……ぁ……ぁぅ……ふぅ」

キシキシどベッドが軋み始めて、もうどのくらいの時間が経っただろう。
いつものことと思いながら、今日はなぜかいつもと違うような気がしてならないけど、
今はそれを気にしてる余裕がなくなってきてる。

先にお風呂をすませたころに史明くんが私の部屋に帰ってきて、そのまま抱き上げられてベッドに押し倒された。
すぐに史明くんの口で自分の口が塞がれる。

「史明くん……お風呂……ん…っ」
「あとで入ります」

返事の合間に積極的に舌が絡められて息が詰まる。

「……ご……はん……んんっ」
「それもあとで……あぁ……静乃さん」
「んあっ!!」

風呂上りで着替えたパジャマを捲り上げて、下着を着けていない身体に史明くんの手の平と唇が触れる。

「史明くん……」
「ん……静乃さん……いい匂いです」

そりゃ風呂上りだから、匂いもまだ残ってると思う。

ついさっき着替えた服はあっという間に脱がされて、ベッド脇の床の上に無造作に放り投げられた。
そんな私の服の上に、今度は史明くんの服が積み重なるように落とされた。


「ふぅ……んんっ」

風呂上りの静乃さんの身体から、いつもまとってる匂いがいつもより色濃く漂ってくる。
そんな匂いに刺激されて貪るようにキスをして、下着をつけていない身体に両手を滑らせる。

ウエストのくびれから撫で上げて、両方の胸を両手で掬うように持ち上げて手の平全体を使って揉みしだく。

「あっあっ……んんっ」

いつものことだけれど、静乃さんはあまり声を出さないように我慢してる。
出てしまいそうになるときは、自分の手を口に押し当てて声を塞ぐか、うつ伏せのときはシーツに
顔を押しつけて声をおさえる。
どうしてそんなことをするのかというと、このアパートは防音設備が完璧ではないから。
特にベッドが置いてある壁際は、隣の部屋と隣り合っていて、あまり大きな音を出すと隣に聞こえてしまう
可能性があるから静乃さんは声をいつも堪える。

いつもは僕もそれを察して声がもれそうなとき、僕の口で静乃さんの声を飲み込んでしまうときもあるけれど、
今日はそんなことをするつもりはない。

僕の部屋に来てくれることを、なかなか頷いてくれない静乃さん。
その理由に一応は僕も納得してる素振りを見せているけれど、本当は有無も言わさず僕のところに
連れて行きたい気持ちは日に日に強く大きくなってる。

今度の日曜日に静乃さんのご両親に会いに行ったら、先に籍だけ入れさせてもらえるように頼むつもりだ。
僕の父親はもうなんの障害にもならないので、ここで気にすることはない。
静乃さんのご両親は賛成してくれるだろうか?
ここは僕がどれだけ静乃さんを好きで大事にしているかわかってもらって、普段の仕事でのノウハウも生かして、
必ず承諾させてみせると心に決めていた。


「ハッ……ハッ……ああっあっあっ」
「……静乃さん」

いつもは放っておく静乃さんの口に当てられた手のひらを、手首を掴んで引き剥がす。
そのまま片手に静乃さんの両方の手首を一緒に掴んで、頭の上のシーツに押し付けた。

「史明……く……あっあっああっ!!」

もう片方の手で静乃さんの片足を僕の肩に乗せて、少し身体を傾けると今まで以上に静乃さんの身体の奥に
僕自身がとどいて静乃さんの身体が大きく仰け反る。
その体勢でいつも以上に身体を大きく揺さぶった。
ベッドの軋みもいつも以上に大きく軋む。

「やぁ……史明く……激し……んあっん!」

激しく静乃さんを押し上げながら、肩に乗る足にキスをする。
そのまま唇を押し付けて吸い上げて、赤く色付いた印にさらに唇で触れる。

「……はぁ」

堪えきれずに息がもれる。

願って求めてた静乃さんが今、僕の目の前にいる。
僕を受け入れてくれて、繋がって感じてくれている。

「ひゃんっ!!やっ……キツ…イ……史明くん」
「ああ……ごめんなさい静乃さん……でも僕……うれしくて」

自分の気持ちに比例して、僕の身体が静乃さんに反応する。
どんなに求めても満足できなくて、もっともっとと静乃さんを求めて攻め立てる。

「あっあっあっあああっ……」

静乃さんの頭の上に押さえつけていた手を離して、肩に乗せていた足を下ろす。
そのまま膝を曲げて、静乃さんの身体に押しつけるように持ち上げた。
もう片方の足も同じように膝を曲げた。

「……うっ……あんっ……やあ……み…ないで……」
「どうして……ですか……僕と静乃さんが繋がってる……なんて素晴らしいんでしょ」
「んっく……」

一度抜けるほど身体を引いて、勢いをつけて静乃さんの身体の奥でまた繋がるように、自分の腰を押しつける。
それを何度も繰り返す。

「あっあっ……んああっっ!!」

嬌声をあげて仰け反った静乃さんの白い喉に、かぶりつくように歯を立てて吸いつく。

「ひゃうっ!!んんっ……」

優しく歯を立てながら舌を這わせて舐めて、最後には吸いついてまた静乃さんの身体に赤い痕を残す。
増えていく赤い痕に、僕は満足気に微笑む。
首に肩に鎖骨に胸にお腹に腰に腿に……無数の赤い僕の印の痕。
ああ、項と背中とお尻にもあとでつけなければと、静乃さんを揺すりあげながら頭の中で思う。

膝裏に腕を引っ掛けながら、静乃さんの上に覆い被さるように身体を動かすと、静乃さんが息を飲んだのがわかった。
はぁはぁと浅く呼吸を繰り返し、なんとか僕を受け止めようとしてくれている。

好きで好きで好きで……愛おしくてたまらないんです……静乃さん。

膝裏を通して静乃さんの背中に腕を差し込んで、ぎゅっと抱きしめる。
きっと静乃さんにとって、辛い体勢かもしれないけれど、より深く自分自身を静乃さんの中に挿入(いれ)ることができた。

いつも思うけれど、静乃さんの中はとても気持ち良くて、絶妙な締めつけ具合で僕はすぐに果ててしまいそうだ。

「素敵です……静乃さん……」
「……あ……」

ぎゅっと身体に隙間がないくらい抱きしめて、貪るように静乃さんと唇と舌を合わせる。
僕の背中にまわされた静乃さんの腕が、お互いしっとりと汗で濡れた肌にぴったりと吸いついてる。

「僕を離さないでください……」
「……う……ん……」

上気した色っぽい顔で頷く静乃さん。
僕はまたそんな静乃さんにのめり込んでしまう。

まるで舐めあうように舌を絡ませたキスをして、そのまま唇を滑らせるように静乃さんの頬や首筋や耳朶を舐めた。
時々触れるだけのキスもしたりして、その度に静乃さんの身体がピクピクと跳ねる。
身体はずっと繋がったままだ。

「はぁ……すごく……気持ちいいです……静乃さん」
「んっ……んんっ」

激しく攻め立ててたさっきとは真逆に、今度は静乃さんに擦り寄るようにユルユルと腰を動かす。

「やぁ……史明くん……」

静乃さんが僕の胸に額を擦りつけるようにして堪える。
なんて可愛らしいんだろうか。

「静乃さん……」

ああ……ダメだ。
理性の糸が切れました。

「んあっん!!あっあっあっああっ!!やあぁ!!」

静乃さんが自分の口を自分で塞がないように、しっかりと両手の指を絡ませて押さえつける。

ベッドに膝を着いて、自分の腿の上に静乃さんの腿が乗るくらい静乃さんに近づいた。
その体勢で何度も何度も静乃さんを押し上げる。
本当なら両手で静乃さんの身体を支えながら攻めたいところだけれど、まだ手を離すと
口を塞ぎそうだからもう少し様子を見てからにする。

「あっ……史明く……手……ダメェ……ああっ!!」

不安定な静乃さんの足が、僕が攻める度にガクガクと揺れる。

「静乃さん……足……僕に絡めて」
「んっ!んんっ!!……ああん!!」
「静乃さん」

僕の声が聞えていないのだろうか?
静乃さんの足は未だに僕に揺さぶられ続けて、激しく大きく上下に揺れる。
仕方なく絡めてた手を離して、不安定に揺れていた静乃さんの足を抱えこんだ。

「……は……ぁ……」

それがわかったのか、静乃さんが薄っすらと目をあけて、自分の足を抱えこんでる僕を見て短く息をのんだ。

「静乃さん」

無意識にクスリと笑ったらしい。

「あ……ダメ……史明くん」
「ダメじゃありません。僕にたくさん静乃さんの声を聞かせてください」
「やぁ……」
「ヤじゃありません。静乃さんが僕で感じてくれている声を、もっともっと聞きたいんです」
「あんっ!!」

ギシリ!と、さっきよりも大きな音を立ててベッドが軋む。

「ああっ!!あっあっ」

静乃さんの身体の奥まで届くように、自分の身体を叩きつける。
叩きつけながら身体を屈めて、静乃さんの揺れる胸の先に唇を押し当てて吸い付く。
そして舌の先で舐めて押しつぶした。

「んあっ!やっ……ダメ……」
「なにが……ダメ……なんですか」

今度は反対の胸先に舌の先を延ばしながら、ワザとそんなことを聞く。

「だって……あっ…聞え…ちゃう……ああっ!あっ!!んあっ!!」

言いながら静乃さんは大きくのけ反って、いい声で啼いてくれた。
カプリと咥えた胸の先端はいつも甘い。

「いいじゃないですか、聞かせてあげれば。僕達がどんなに愛し合ってて幸せなのか、聞かせてあげましょう」
「あ……」

ちゅっと音立てて静乃さんの胸から口を離すと、静乃さんが可愛い声をもらして身体をピクンと震わす。
それがとても可愛らしくて愛おしくて、そしてそれが僕を煽るのに十分な仕草だと静乃さんは知らない。

僕はベッドの近くにある窓が15センチほど開いているのを確めて、静乃さんに気づかれないように
少しだけ口の端を上げる。

「静乃さん……」

名前を呼ぶと、潤んだ瞳で僕を見つめてくれる。
もう僕はそれだけで静乃さんが欲しくて、求めて攻め上げたくなってしまう。

僕はそんな気持ちを抑えつつ、ちゅっと触れるだけのキスを繰り返す。
何度目かのキスで静乃さんの唇が柔らかくひらくから、僕はすかさず自分の舌を滑り込ませる。

静乃さんは、どこもかしこも甘い。

「……んはぁ……はふっ」

クチュルと音を出しながら静乃さんの舌と唇を解放して、自分の濡れた唇をゆっくりと舌先で舐めた。

「静乃さん、まだまだこれからですよ……夜はまだ、始まったばかりです」

僕は静乃さんの耳にそう囁くと、未だに繋がったままの静乃さんの身体をゆっくりと揺らし始めた。








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