想い想われ?



07・史明・静乃視点




「静乃さん」
「……ん……は……い」

何度も絶頂をむかえた静乃さんは、全身が汗でしっとりと濡れ、頬をほんのりと赤く染めながら
浅い息を繰り返してる。
瞑ったままの瞼に、うっすらと濡れた睫毛が悩ましい。
本当なら、返事だって辛いだろうに。

そこまで攻め立てた自覚はある。
だって今夜は、静乃さんを抱き潰すつもりだから。

「一緒にお風呂、入りましょうか」
「…………ぇ?」

小さく戸惑ったように返された返事には気づかないふりをして、僕はこれまた満面の笑み。


「今まで出来なかったので、今夜是非一緒に入りたいです」
「え……でも……」

しぶる静乃さんをあっさりスルーして、頭を撫でる。

「大丈夫です。ちゃんと僕が静乃さんの身体を綺麗に洗って差し上げますから」
「……はい?」

フフフと笑った僕に、静乃さんが一瞬息を止めたみたいだけど、僕は気づかないふりをした。

「え……でも、うちのお風呂狭いから……」

ベッドで後ろから抱きしめてる僕を、肩越しに顔だけ振り返った静乃さんがもっともらしい理由を言ってくる。
僕に散々激しく抱かれた静乃さんは、クッタリしてて顔しか動かせないみたいだ。
手足は投げ出されて、力が入っていない。

僕はそんな静乃さんの両手に自分の手を絡ませて、指先を弄りながら両足も絡ませて静乃さんを抱き込んでる。

「ぴったりと、お互いの身体をくっつけてれば大丈夫です」
「えっと……そういう問題じゃ……」
「そういう問題です。とにかく僕に任せてください」

このあとのことを想像して、僕は自然と顔が綻ぶ。
だって今度はお湯に濡れた髪と身体を、僕の前に晒すだろう静乃さんを想像してしまったから。
なんせ、一緒のお風呂は今夜が初めてだから。



「……っふう……んっ……むぅ!!」
「静乃さん」

静乃さんが言ったとおり、大人2人で入るには狭すぎる浴室で立ったまま、出っ放しのシャワーを浴びる。
静乃さんは立ってるのがやっとな状態だから、片手で静乃さんを抱き寄せて、もう片方で撫でるように
静乃さんの身体に手を滑らせて、さっきまでの行為で汚れた身体を綺麗にする。
シャワーはフックにかけて固定してる。

「身体を綺麗にしてるだけですよ?なんでそんなに声を我慢してるんですか」

静乃さんは僕をキッと睨むけど、まったく威嚇にもならない眼差しで効果なしだ。
反対に、コレもまた僕を煽る要素でしかない。

ウルウルした瞳に、ほんのりとピンク色に染まった頬と身体を視界に入れつつ、
誘うようにちょっとだけ開かれた静乃さんの可愛い唇が目の前にある。

これって、手を出してくれと言ってるようなものですよね?
今は純粋に静乃さんの身体を、綺麗にしてるだけなのに。

そりゃ身体の上を滑らせてる手が、たまに静乃さんの形のいい胸を揉みしだいたり、
指先でその胸の頂を摘んだり挟んだり、指の腹で撫でたり潰したりするのは自然の成り行きで、
あらわになった項に吸い寄せられるように、唇が触れてしまうのも仕方ないことですよね。

微かに身体を捻って僕から離れようとする静乃さんを、身体に回していた腕に力を入れて引き戻す。

「大人しくしてください。身体が洗えません」
「も……ウソばっかり…」
「どこがウソなんですか」
「だって……胸……ひゃん!」
「ほら、洗ってるだけですよ」

胸の膨らみの輪郭にそって指を滑らせると、静乃さんがビクンと跳ねた。

「史明くん……」
「ね」

だから、潤んだ瞳で睨んでも僕を煽るだけで逆効果ですよ。

「ひゃう」

スルスルと指を滑らせて、シャワーのお湯で潤んだワケではない場所に指を這わすと、
静乃さんが熱のこもった甘い声をあげた。

「可愛い声ですね」
「やっ……ンンッ!」

やわやわと指を動かすと、口に当てて堪えきれない自分の声をどうにか外に聞えないようにと頑張ってる。
本当、そそりますよね。

「んんっ!んーー!」
「中、綺麗にしましょうね」
「史……明…くん!やぁ!」

2本の指を根元まで静乃さんの身体に沈めて、ヤワヤワと動かすと静乃さんがビクンと大きくのけ反った。

「ああ……」
「静乃さん……」

耳たぶを甘噛みして、首を舌でなぞると静乃さんがフルフルと震える。

声を塞ぐために口に当てた手を、腕を回して背中から抱きしめるようにして肘の辺りで拘束する。
そうすると、静乃さんの手は自分の口に届かない。

「はっ……ああっ!!あっ……あっ……」
「静乃さん」

片手は静乃さんを抱きしめてて動かせないから、自分の口と舌ともう片方の手を使って静乃さんを攻める。
浴室は窓を開けなくても声が響いてよくとおる。

「……はぁ……はぁ……んあ……もう……やぁ……」

2本の指とあとから親指も使って、静乃さんの敏感な芽を撫でて弄って攻めあげる。
何度かのぼりつめた静乃さんは、もう足に力が入らなくなってて僕に支えられないと立ってられないくらいだ。

「綺麗になりましたよ。湯船に入りましょうか」
「……え?……それは……無理なんじゃ……」
「最初に言ったじゃないですか、密着すれば大丈夫ですよ」
「……ちょっ……」

戸惑う静乃さんを抱き上げて、身体を洗ってる間に溜めた湯船に入った。
ザバザバとお湯が溢れて、ちょうど2人の肩の辺りでお湯が止まる。
後ろから静乃さんを抱き込む形で、僕の足の間に静乃さんを座らせた。
2人とも膝を曲げて、なんとか座ってる。
静乃さんの背中が僕の胸にピッタリくっつくように、静乃さんの身体に腕を回して引き寄せる。

「やはり、2人で入るにはちょっと狭いですかね」

後ろから静乃さんの耳をパクリと口に挟む。

「ひゃっ!あん!!」
「ねえ?静乃さん」

耳を軽く口で挟みながら、静乃さんの胸を両手でやわやわと揉んだ。

「だ……から……狭いって……言ったのに……んんっ!!」

揉みながら、両方の胸の先を指先でコネコネと弄って静乃さんの胸を堪能する。
自分でもなんてしつこいんだろうか? と思うけれど、どうしても静乃さんを求めることがやめられない。

「でも、静乃さんと一緒のお風呂はやはり魅力的です」
「んっ……はぁ……はぁ……」
「静乃さんもそう思いませんか」
「知ら……ない……あんっ!」

ずっと僕の両手に身体を弄ばれてる静乃さんは、クッタリとしながらも微かに抵抗する。
僕はそんなことはお構いなしに、さらに身体中を弄りつづける。
静乃さんの身体はどこもかしこも柔らくて、触り心地が良くて僕は満足だ。

「やはり僕のところで一緒に暮らしましょう。そうすれば、お風呂も余裕で2人で入れますから」
「……んっ……」

そんな誘い文句を囁きながら、僕になすがままの静乃さんの顔を僕に向かせて唇を奪う。
もう何の抵抗もみせないから、僕は思い切り静乃さんの口内を堪能する。

ああ……なんて幸せ。

「さすがに逆上せてしまいますね。もう、出ましょう」

そう言って自分では立ち上がれない静乃さんを抱き上げて湯船から出ると、用意しておいた
バスタオルで先に静乃さんの身体を丁寧に拭いた。

「ちょっと立ってられますか」
「……うん……」

トロンとした目でコクンと頷くと、脱衣所にある洗面台の縁に軽く腰掛けるようにして、
今度は僕が身体を拭くのを待っててくれる。
ちょっと危なっかしいので、僕はできるだけ素早く自分の身体を拭いて腰にタオルを巻くと、
静乃さんをお姫様抱っこで抱き上げてそのまま寝室に戻る。

さすがに先ほどの情事の跡が残っているベッドに、静乃さんを下すわけにもいかず、
“ちょっと待っててくださいね” と静乃さんをその場に下してシーツを剥ぐと、何度か静乃さんが出していた
場所から新しいシーツを取り出してベッドに敷きなおす。

「さあ、どうぞ」

頼りなく立っている静乃さんを、また抱き上げてそのまま新しいシーツを敷いたベッドの上の横たえた。
当たり前のように、僕はそのまま静乃さんの上に覆いかぶさる。

「静乃さん……色っぽいですね」
「……え?」
「頬がピンク色です。唇も……瞳が潤んで誘われてる気分です」
「……別に誘ってるわけじゃ……」

そんな会話をしながら静乃さんの頬を指の背で撫でると、静乃さんがいうことを利かない身体で
ちょっとだけ身体を動かして抵抗を見せた。

「静乃さん」
「あ……」

両手を指を絡めて繋いで、万歳の形で静乃さんの頭の上のシーツに押さえつけた。

「んーーー静乃さん」
「ふ……史明……くん?」

両手を静乃さんと繋ぎながら、首筋に顔をうずめて深く息を吸う。
ああ……静乃さんの匂い……それに温もりが伝わる。

静乃さんの足の間に自分の身体を割り込ませて、高まってる僕自身を静乃さんの身体に押しつける。

「え?ちょっ……まだ?」
「はい、まだまだ全然足りません」
「そんなこと……もうさっきからたくさん……」
「ですから、まだまだ全然足りないと言ってます」
「…………」

静乃さんはビックリした顔で、パチパチと瞬きをしながら僕を見上げてる。

「大分そういうことにはご無沙汰だったのと、久しぶりのお相手が静乃さんでは我慢しろというのが無理なことです」

フフ♪ とにこやかに笑えば、静乃さんの顔が一瞬強張ったのと自由の利かない身体がピクリと動いた。

「先ほども言いましたが、夜はまだ始まったばかりです」
「で……でもあの……明日も仕事が……」
「僕だって仕事です。大丈夫です、ちゃんと会社まで送りますから」
「……そういう問題じゃ……」
「そういう問題でしょう」
「んっ……」

その言葉を最後に、僕は静乃さんの口を塞いで心行くまで静乃さんの唇と舌を味わう。
満足して口を離すと、 “はぁ” と静乃さんの吐息が漏れた。

手を繋いだまま、頭を少しずつ下げながら鎖骨、鳩尾、胸、お腹へとキスを落としていく。
さすがに手を繋いだままだとそれ以上は下がることができなくて、またそこから上へ上へと
キスをしながら上がっていく。
時々舌でも静乃さんの肌を確めながら。

「……ん……はぁ……」
「静乃さん」
「んあ……」

また静乃さんの唇に辿りつくと、手を使わず腰だけを動かして静乃さんの中に自分自身を滑り込ませた。
静乃さんは静かにのけ反ったけれど、今まで散々攻め続けたその場所は簡単に僕を受け入れてくれて、
優しく包み込んでくれる。

「静乃さん……貴方は本当に素晴らしい」
「やだ……なんだか恥ずかしい……」
「そんなことありません。僕にとって静乃さんは最高で最愛の人です」
「あっ!あっあっ…ああんっ!!」

ユサユサと静乃さんを押し上げる。
そのまま大きく早さを増して、静乃さんを押し上げ続ける。
いつの間にか僕の身体に静乃さんの足が絡みついて、僕の動きに合わせて静乃さんの身体が大きく揺れる。

ベッドも大きく軋み続けて、それに合わせて静乃さんの声も一段と高くなっていく。
それは僕が望んだことで、未だに部屋の窓が開け放たれていることを静乃さんは知らない。

朝になって、そのことに気づいた静乃さんはどんな顔をするのかと思うと気になるところでもあるけど、
後悔と羞恥心で悩めばいいと密かにそんなことを願ってる僕。

その後悔と羞恥心を解決する方法を、静乃さんはわかってくれるだろうか?

また僕は口の端を微かに上げながら、今度は静乃さんの身体を抱き起こして向かい合う。
そのまま何度も何度も静乃さんを下から突き上げて、啼かせてのけ反らせて、声が枯れるまで責め続ける。

避妊など一度もすることなく、全てを静乃さんの中に解き放った。
そしてその結果、静乃さんは僕のものだと宣言できることがまたひとつ増えるかと思うと、僕は嬉しくてしかたない。


──── もう僕は、静乃さんしか目に入らないし欲しくもない。








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