想い想われ?



番外編・プレゼント大作戦! 03 僕のプレゼントを喜んだくれるだろうか?




「ん……」
「…………」

あのあと、身体の汚れを落とすためにお風呂に入った。
ベッドで散々静乃さんを堪能して、心いくまで愛し合った。
クッタリと力の入らない静乃さんを抱き上げて、湯舟にふたりでつかる。
僕に身を任せて深い息を吐いて、静乃さんが気持ちよさそうに顔を綻ばせるから、つい顔中にキスをしたくなって
最後には貪るように静乃さんの唇を奪ってしまう。
あんなにベッドで静乃さんと愛し合ったのに、もう静乃さんが足りなくて静乃さんを求めて身体が反応する。

「んっ……史明……くん?」
「静乃さん」

うしろから抱きしめていた静乃さんを抱えあげて湯舟の中で膝立ちになると、静乃さんに浴槽の縁を掴むように促す。
戸惑いながら浴槽の縁を掴む後ろ姿の静乃さんを眺めながら、白くて滑らかな背中の曲線に目が釘づけになる。
その背中に唇で触れながら、僕の印をつけていく。
その度に静乃さんが背中を反らせて小さく息を漏らすから、僕の中の静乃さんを愛おしく思う気持ちが刺激されてしまう。

「静乃さん……」
「……あっ……ああ……」

腰を支えながら、うしろからゆっくりと静乃さんの中に入っていく。
静乃さんの中はいつも暖かくて、僕を優しく受け入れてくれる。
腰を支えていた両手を静乃さんの肌に触れながら胸まで撫で上げれば、僕を受け入れたまま背中を反らせた。
一緒に静乃さんの中がキュッと締まって、僕にさらなる刺激をもたらしてくれる。
その刺激がいつも僕にはたまらなくて、つい箍が外れてしまう。

そのあと、静乃さんの悩ましげな声と水飛沫の音が浴室から途絶えることはなかった。




お風呂から上がり、静乃さんをベッドの上に横たえる。
風邪をひかないように部屋の中を温めて、もう眠ってしまいそうな静乃さんに僕はまた覆い被さる。

「も……ダメ……や……」
「もう少しだけ……お願いです、静乃さん」

僕の手から逃げるように身体を捻る静乃さんの剥き出しの素肌にキスを落としていく。
湯上りでしっとりと濡れた肌が心地いい。

「……んっ……くすぐったい……」

小さな声で呟いたのを最後に、静乃さんが動かなくなって寝息が聞こえてきた。

「…………静乃さん?」

名前を呼んで頬に何度かキスをしたけれど、静乃さんからは返事がない。

「寝ちゃいましたか?」
「…………すぅ……」

やはり聞こえてくるのは静乃さんの規則正しい寝息だけだ。

「フフ……おやすみなさい」

そして、唇にチュッと触れるだけのキスをして起き上がる。

「これなら、朝まで目を覚ますことはないですかね」

眠ってる静乃さんの髪を撫でながら顔が緩むのがわかる。
今日は静乃さんを抱き潰すつもりだった。
静乃さんには無理をさせてしまったかもしれないけれど、朝までぐっすりと眠ってもらうにはそれが一番だと思ったから。
まあ、自分の願望が大半を占めていたことは否めないけど。

素早く服を着て玄関に向かう。
靴を履き、音を立てないようにそっと玄関を出て鍵をかける。
ちゃんと鍵がかかったのを確認してエレベーターに向かった。
こんな夜更けに、預かってもらっていた静乃さんへのプレゼントをコンシェルジュから受け取った。
さすがに部屋の中には隠しておけなかったので助かった。

「メリークリスマス」

と言葉をかけられ、同じ言葉を返して急いで部屋に戻る。
出て行くとき以上に静かに玄関の鍵をあけて中に入った。
一度リビングにプレゼントを置いて、寝室を覗きに行く。
玄関以上に音を立てないようにドアを開けて、ベッドに視線を向けると遠目でも静乃さんが静かに眠ってるのがわかった。
本当は傍に行って眠ってる静乃さんを抱きしめて、頭を撫でて、頬擦りして、いたるところにキスをしたかったけれど、
万が一そんなことをして静乃さんの目が覚めたら困るのでそこはグッと我慢した。
リビングに戻って、置いてあったプレゼントを窓際に飾ってあるツリーの隣に置く。

「ふう……さて、と」

僕は静乃さんへのプレゼントを飾るため、着ていた上着を脱いだ。




「…………んっ」

いつものように自然と目が覚めた。
寝室の中はカーテンのせいで薄暗いけれど、もう朝だということがわかるほど明るい。
気づけば自分は裸のままだった。
昨夜は着替えることもできず、寝落ちしてしまったらしい。
その原因の本人は、私の肩口に頭をくっつけてまだスヤスヤと眠りの中だ。
私の身体には彼の両腕がしっかりと絡みついていて、ぎゅっと抱きしめられている。
いつものこだけれど……この肌触りから彼も裸のままらしい。
恥ずかしいとも思うけど、お互いの肌の温もりを感じながら眠るのは気持ちがいい。
時計を見れば、いつも起きる時間よりちょっと前だった。
昨夜はグッタリとなって、ぐっすりと眠ってしまったからだろうか?
身体はちょっとダルイけれど、頭はスッキリしてる。

「よいっしょ……」

いつものごとく、自分の身体に回されている史明くんの腕をそっと外していく。
男の人の腕ということもあるけれど、眠っているからかかなりの重さがある。
それを起こさないように動かすのは、けっこう大変だったりする。
別に起こしたからといって史明くんが怒るわけではないのだけれど、起きた場合さらに強く抱きしめられて放してもらえず、
なんとか起きようともがくと、そうはさせまいと史明くんに組み敷かれてしまってそのまま……その……えっと……。
そういうことになって朝から大変なことになってしまうことが何度もあったから、腕を外すのが慎重になってしまうのは仕方がないことで。

「ふう……」

なんとか史明くんを起こさずに腕を外すと、今度は私の身体の下に回されてる史明君の腕に負担をかけないように身体を起こす。
ソロソロと動いて上半身を起こしたところで、しばらくそのままジッと動かない。
その間、眠ってる史明くんの寝顔を見つめて起きていないか確める。
見つめた顔は肌も荒れてないし、目の下に隈もないから疲れてはいないらしい。
大きな会社の副社長として立派に仕事をこなしてるのに、本当は泣き虫だなんて誰が想像するのかしら。
でも、そのことを知っているのは自分だけだと思うと嬉しい気持ちになる。

「ふふ……」

髪に触れるくらいの強さでそっと史明くんの頭を撫でる。
ときどき見え隠れする耳は今は頭にはない。
あれはどんなイリュージョンなのかしらね?
いつも不思議に思う。

史明くんが起きないことを確認して、やっとベッドから下りる。
ちょっと足腰がフラつくけれど、なんとか服を出して着替えた。
そっと寝室のドアを開けて、部屋から出る前にもう一度ベッドに眠る史明くんを見ると、気持ちよさそうに眠ってた。
それを確かめて静かに寝室のドアを閉めた。
寝室のドアが閉まったあと、史明くんがゆっくりと目をあけてベッドに横になったままクスリと笑っていたなんて私は知らなかった。
さて、朝食はなににしようかしら?
なんて考えながらリビングのドアに手をかける。




静乃さんへのプレゼントの準備が終わると、一度着た服も下着も全部脱いで何事もなかったように静乃さんが眠るベッドに潜り込んだ。
裸で眠る静乃さんに、自分が服を着て寝るなんて勿体ない。
静乃さんを腕の中に抱きしめてその温かさと柔らかさを確かめて堪能する。
すぐに自分の身体が静乃さんに反応してしまうけれど、さすがに手を出すわけにもいかないから静乃さんの素肌に頬ずりと触れるだけのキスで我慢した。
明日あのプレゼントを見て、静乃さんは喜んでくれるだろうか。
どんな反応をしてくれるのかと、期待一杯に目を閉じる。
なかなか眠れなくて、何度も腕の中の静乃さんを抱え直した。
いつの間にか外が明るくなってきて、静乃さんがもそりと動き出す。
僕は慌てて眠ったふりをした。
自分に回された僕の腕を細心の注意を払いながら外していく静乃さんに、いつもこんなに慎重に僕の腕を外しているのかと知った。
それは僕を起こさないように気を使ってくれているのか、僕を起こさないように気をつけているのかわからないけれど。
ときどき寝起きにもかかわらず、静乃さんを求めて疲れさせてしまうことが何度もあるから警戒されてしまったのかもしれない。
だからと言って静乃さんに邪険に扱われることはないから、僕は何度も同じことを繰り返してしまう。
起き上がるのもゆっくりとした動作で、それがナゼか可笑しくて笑いそうになるのを堪えた。
そんなにも警戒させてしまっていたのかと、しばらくジッと動かない静乃さんの様子を窺う。
不意に髪に微かな感触が伝わる。
静乃さんが僕の頭を撫でてくれているんだ。
どうせならもっとしっかりと撫でてくれてもいいのに。
そんなに僕が起きることを気にしているのかと反省しつつ、残念でもある。
今にも飛び起きたい衝動を必死で堪える。
ベッドが少し沈んで、静乃さんがベッドから下りたみたいだ。
カサコソと音がしているけれど、きっと服を着ているんだろう。
寝起きの静乃さんは裸のはずだから。
それからそっとドアの開く音と閉まる音がして、パタパタと歩く音がした。
リビングの中を見て、静乃さんは驚くだろうか?
僕のプレゼントを喜んだくれるだろうか?
寝室のドアが閉まったあと、ゆっくりと目をあけてベッドに横になったままクスリと笑う。

僕はムックリと起き上がって、閉められた寝室のドアを見つめていた。









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