keep it up! 番外編 お騒がせな社員旅行☆



02




「なかなかのお風呂だったね」
「ホント、いいお湯だった〜露天風呂からの眺めもよかったし」

時間が中途半端だったせいか会社の人ともあまり会わなかったし、他の一般のお客さんも少なかった気がする。
貸切とまではいかないけれど、ゆっくりのんびりと入れた。

「ん?なに?」

しっかりとお風呂を堪能し、部屋に帰る途中の廊下で望美が意味ありげな視線を寄こす。

「いやさ〜ひとつやふたつはあるんじゃないかな〜と思ってたんだけど……」
「え?なにが?」
「キスマーク」
「な″っ!?」

望美はニヤニヤが止まらない。

「そ、そんなのつけさせないわよ!恥ずかしい」
「なーんだつまんない」
「…………」

会社の同僚の前で、そんないかにもってってなシルシ見せられますかっての!
一週間前くらいから、隼斗にはつけさせてなかった。
隙あらばつけようとしてたけど、もしこの旅行で見つかったなら当分の間家庭内別居だから!と脅して乗り切った。
“俺のもんだってシルシだっ!” っていうのと “他の男に対する牽制だ!” って言ってたけど、見えるところにつけたら
逆に煽ることになるんじゃないの?なんて思うし、かといって服を脱がなければ見えないところなら私がイヤダっての。
他の男に服を脱がされるシチュエーションって、一体どんなときよ?誰が見せるかっつーの!

「あ!しまった」
「ん?」
「あたし脱衣所の籠の中に、ネックレス忘れてきちゃった」
「え?」

望美が自分の鎖骨のあたりを指で触れながら、今出てきたばかりの浴場のほうを振り向く。

「ちょっと取ってくるから、千夏ここで待っててくれる?」
「いいけど、私も一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫。それかゆっくり部屋に帰っててもいいから」
「いいよ、ここで待ってる」
「ごめん!すぐに戻るから」
「うん」

望美は片手をあげて、小走りで走っていった。

「ふう〜」

私はチョット先にある3人ほど座れる木の長椅子を見つけて、そこに座って待ってようと歩き出した。

「!!」

歩き出した瞬間、後ろから口を手で塞がれて、腰に手が回されて引きずられる。
横歩きのように廊下を歩かされた。

「ふうっ!!んっ!!!」

きゃーーー!!なっなに?誰?ウソでしょ!?こんなホテルの廊下で誘拐?拉致??
慌てて口を押さえてる手を掴んだけど、ビクともしない。
そうこういってるうちに、近くの部屋の中に引きずり込まれた。
頭によぎったのは、さっき宴会場で声をかけてきたあのふたり。
まさか強引にコトに及ぼうとか?ちょっと待ちなさいよーーーー!!

目の前で無情にもドアがバタンと閉まった。
もがく私を片手で抑えながら、ガシャリと鍵のかかる音かした。

「ううーーー!!うーうー!!」

さっき以上に焦って、拘束されてる身体をどうにかしようと暴れると、肘にかかってた手提げが床に落ちる。
でも、そんなこと気にしてられなかった。
こんな社員旅行で、貞操の危機だなんて勘弁してほしい!AVじゃないんだからーーー!!

「ったく、そんな湯上りの色っぽい姿、他の男に見せられるかよ」
「!?」

え?聞き間違い?なんか、聞きなれた声が聞こえてきたんですけど?
私は抵抗することをやめて、顔を捻って相手を見た。
私よりも背が高かったから見上げる形になったけど、その視界の先にはちょっと機嫌の悪そうな隼斗の顔!?

「ふもーーー!?」
「ん?」
「ふががが!ふがっ!!」
「なんだよ」

口を塞がれながらも喚くと、やっと隼斗は私の口から手を離した。

「ちょっと隼斗!あんたなんでここにいんの!?」
「ああ?」
「とぼけないでよ!!」
「まあ、ひとり旅?」
「は?」
「その行き先が、たまたまココだったちゅーだけだ」
「ウソいいなさい!!そんなことあるわけないでしょ?大体、旅行に行くなんてひとっ言も言ってなかったじゃない!」
「急に行きたくなったんだよ。誰かさんがいなくて寂しくてな」
「なっ!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

そのまま文句を言い続ける勢いのところに鳴り響く携帯の音。
鳴ってたのは床に落ちた手提げからで、一体こんなときに誰だ?と携帯を拾えば、相手は望美からだった。

「もしもし」
『あ!千夏?旦那さんに会えた?』
「はあ!?なに望美、隼斗が来てるって知ってたの?」
『知ったのはついさっきよ。宴会で柚月さんのところでお酌してるときにこっそり言われたの。
でも千夏には内緒でって言われてたからさ、ごめんね〜』
「あのね……」

ということは、ネックレスを忘れたとかもしかしてウソか?

『こっちは上手くやっとくから、今夜は隼斗君の部屋でゆっくりしてなさい』
「いや……それはちょっと……」
『多分離してくれないと思うけどね。んじゃ、明日朝食の前には戻ってきなさいよ』
「あ!ちょっと望……」

一方的に話を終了されて切られた。

「はあ〜〜」
「な、大丈夫だって言ってただろ?」
「あのねぇ……」
「柚月先輩に協力してもらったんだ。早目に宿泊先とか教えてもらって、ホテルに予約入れた」
「もう、また柚月先輩に迷惑かけたの?」
「仕方ないだろ、心配だったんだから。ってかそれもあるけど、たまにはこういうところでイチャイチャすんのもいいかなと」
「なにがイチャイチャよ!私は会社の行事でここにきてるのよ!」
「はいはい、とにかく中に入ろう。こんなところで突っ立ててもしかたねぇだろ」
「ちょっとだけですからね。あとで自分の部屋に帰るから」
「はいはい」
「もう」

奥の部屋に繋がる襖を開けると、そこにはすでに布団が一組敷かれていた。

「え?ちょっと!」
「普通この時間なら布団敷いてあるだろ」
「え?いや……ちょっと待って……」
「千夏」
「あっ、あっ、ちょっ……」

後から抱きしめられて、そのままグイグイと布団の上まで押され、なんとかその場に留まろうとした私の足が
掛け布団に引っ掛かった。
そのまま隼斗と一緒に布団の上に膝まづいてしまった。

「きゃっ!」

ボスンと背中に隼斗を乗せる形で布団の上に倒れこむ。

「ふぐっ!」

お…重い!

「ちょっと隼斗どいて!重いってば」
「千夏」
「なによ!いくら夫婦だからってこんな……」
「あとで自分の部屋に戻る体力、残させるわけねぇじゃん♪」
「は?」

耳元でそんな言葉を囁かれて、無理して顔を隼斗に向ければニヤリと嫌な顔で笑ってる。

「下心丸見えの野郎にお呼ばれしそうになったんだってな」
「!!」

誰が喋った?柚月先輩?それとも望美?余計なことを!!

「やっぱ油断も隙もあったもんじゃねぇ」
「隼……斗?」
「こんな無防備で、ちょっと動けば素肌が見えそうな浴衣姿で、酔った男の前にいるなんて
襲ってくれっていってるようなもんじゃんか」
「いや……それは……不可抗力というもので」

だって皆だって同じ格好してるじゃない!私だけじゃないじゃん!!

「あっ!」

後ろから、一気に浴衣を肩から引きさげられた。

「ほら、あっという間に脱がせられる」
「ばっ!!このエロ男っ!!いやっ!!」
「んー風呂上りのせいか肌がしっとりだな」

剥き出しの肩に隼斗の唇が押し付けられて、チュウーっと強く吸われるとチクリと痛みが走る。

「散々我慢させられてたからな。もう解禁だろ」
「やん……あっ……ぁん……」

肩から項へ隼斗の啄ばむようなキスと、ときどき熱い隼斗の舌がチロリと私の肌を舐めていく。
そのたびに身体がピクリと反応する。

「千夏」
「ん……」

肩越しのキスはちょっと無理があるけれど、それでも啄ばむようなキスから舌を絡める深いキスに変わるのには
時間はかからなかった。
だって、なんだかんだ言ったって私達は新婚さんなのだ。

いつの間にか向かい合うように身体の向きを変えて、隼斗の首に腕を回す。
そしてお互い貪るようにキスを繰り返す。

「ハァ……」

あっという間に身に着けてるものが脱がされて、浴衣姿だった隼斗も気づいたときはなにも身体に纏っていなかった。
私よりも体温の高い隼斗の身体が、私に触れてお互い裸なのがわかる。

「隼斗……」
「好きだぜ……千夏……一時でも離れていたくないくらい」
「はんっ……」

私の身体の上を、自分の身体で撫でるように上がってくる。
隼斗の厚い引き締まった胸板が、私の胸を下から持ち上げるように移動するから、胸の先が隼斗の胸に押しつぶされて
転がされて手とは違う感触に身体がのけ反る。
のけ反った私を追いかけてくるように身体ごと覆い被さって、噛み付くようにキスをしてくる。

「んっ……んんっ…んあ」

あんまりにも激しく舌を絡ませられて、飲み込めない唾液が口の端から零れ落ちた。

「はふ…」

唇が離れて、隼斗が親指で口の端の濡れた肌をなぞる。

「千夏」
「はぁ…」

首筋に隼斗の頭が入りこんで、途端に首の肌がヌルリとなる。
そのまま肩、鎖骨にもまるで何かを辿るように隼斗の舌が這う。
同時に両方の胸を形が変わるほど揉まれて、指先で胸の先端を捏ねられれば隼斗の重さを感じながらも身体が跳ねた。

「やあ…そんな……あんっ」

隼斗の背中に回ってた手が、隼斗の肩を強く掴む。
すでに膝を割って足の間に入ってた隼斗の腰を、立てた膝でぎゅっと挟んだ。
何度も何度も胸をそんなふうに弄られて、途中から “ちゅう” と口で吸われ舌で弄られれば、身体の中が
ウズウズと疼いて腰が揺れる。

「隼…斗ぉ……」

酔いもあったからか、この雰囲気のせいか、いるはずのない隼斗に会えたせいか、
なんだか気持ちが開放的になっていつもより大胆かも。

「なんだ、千夏もその気になったか?」
「う〜ん……なんかもう、どうでもいいかも」
「そうか」

クスリと笑いながら隼斗は身体を起こすと、私の膝に手を当てて折り曲げながら左右に開く。
そして視界に入ってた隼斗の頭が私の足の間に沈むと、お腹の辺りに隼斗の唇が押しつけられてまたちゅうっと肌が吸われる。
それが徐々に下におりてくると、身体の中に隼斗の舌が入り込んでその感触が動き出す。

「んあっ!隼……斗」

添えるだけのように隼斗の頭におかれた私の手が、ピチャピチャクチュクチュと音がするたびに隼斗の頭と一緒に小刻みに揺れる。
しばらくその状態で弄られると、両足をガッシリと隼斗の腕が掴んで力強く隼斗の舌が私の中に捻じ込まれて激しく動き出した。

「あうっ!あんっ!あんっ!ああっっ!!」

添えてただけの私の手は、ギュッと隼斗の髪の毛を握り締めてしまった。
でもこんなに激しく弄り回されたらしかたないじゃない!
しかもワザとなのか、隼斗のハナがクリクリとすぐ傍にある肉の芽を押しつぶした。

「やあ……隼……斗!やあっ!!」

あっけないほどに感じて達して、大きくのけ反りながら身体がビクビクと勝手に動く。
そして私の足の間から顔を上げた隼斗は手の甲で濡れた唇を拭うと、妖しさのこもる瞳を細める。

私は浅い息を繰り返しながら、ぼおっとする頭と視界でそんな隼斗を見つめ返した。
そんな私を見下ろして、口の端に笑みをのせて隼斗が私の身体を挟むように布団の上に手を着くと、
身体を屈めてチュッと触れるだけのキスをした。

「千夏……朝まで楽しもうな」

頷くこともできずに隼斗を見つめてたら、両方の膝の裏に隼斗の引き締まった腕が差し込まれ
容赦なくグッと引き上げられながら左右に大きく開かされた。

こんなふうに過ごすことがいいことなのか悪いことなのか、もう考えることもできなくて……
でも自然と両腕は隼斗の首に伸びてしっかりと絡みつかせる。

「隼斗」

名前を呟くと、それが合図だというように隼斗の身体が私を押し上げる。

そして私は……いつものように隼斗を受け入れた。





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