keep it up!



01




「隼斗(hayato)ごは〜〜〜ん!」

「んー」


廊下を突っ切って工場に繋がるドアを開ける。

うちは自動車修理工場…だからまだ仕事中の隼斗は油まみれで故障してる車と格闘中!

「終わる?」
「ああ…」

咥えタバコで嵌めてた軍手を道具箱に投げ入れた。

「早くお風呂は入っちゃってよ!」
「一緒に入ろうぜ ♪ 千夏(chinatu) ♪ 」
「きゃっ!!」

後から首に腕を廻されて逆ラリアートで捕まった!

「ちょっ…やめ…セクハラだっての!それに汚れるしタバコ臭いって!」

「だから一緒に入ってオレを綺麗に洗って ♪ 」

「だ ・ れ ・ が 一緒に入るかってのっ!!」

密着してくる隼斗の顔を手の平で押し戻す。
近いっての!!

「子供の頃は一緒に入っただろ?」
「子 ・ 供 ・ の ・ 頃 ・ ね ・ っ!」

どれだけ前の話しをしてるんだか……

ちゅう〜〜〜〜〜 ♪ ♪

「…っ…アン!!!」

いきなり首筋を吸われて変な声が出る。

「どんだけ成長したか見せて ♪ 」

「ぶぁ〜かぁ〜もぉ〜のぉーーーーっっ!!!」

隼斗の顔面に向けて鉄拳を叩き込んだ。

「甘い!」

なのにアッサリと隼斗に止められる。

「ちゅっ ♪ 」
「げっ!」

捕まれた拳にキスされた!

「千夏……」
「妹に…その目…やめなさいよ…」

目の前数センチに隼斗の瞳がある…怪しいじゃなくて妖しい瞳が…

「いい加減理解して欲しいんだけどな〜千夏」
「何…を…」
「年少の時千夏をオレの嫁さんにするって約束したじゃんか」
「一体何年前の話をしてるのかしら?お兄様?」

私は引き攣り笑いで隼斗を睨む。

「え〜今オレと千夏は23だから…んーざっと19年前?」
「とっくに時効でしょ!それに私はOKした覚え無いんですけどね?」

それは本当で…私はその事を憶えていない……
でも隼斗がそこまで言うんだから本当なのかと思うけど…今となってはどっちでもいい。

「それは千夏が忘れてるだけ!ちゃんと誓いのキスまでしたじゃん ♪ 」
「………だから…覚えてないって!!それに4歳で人の唇奪わないでよ!」

このエロ園児め!!
何で私はそこでこいつに一発入れなかったんだ!!と悔やんでも悔やみきれない。

「褒めて欲しいな〜あれから19年オレは千夏一筋なのにさ ♪」
「一筋?隼斗の女性遍歴たくさん私の耳に入ってますけど?」

それも本当の事だ。
特に高校の時が酷かった……まああくまでも噂だったけど…

でも隼斗は否定しなかったんだよね…

「ああ…それは許せ。オレだって男なの千夏が相手出来ないんだから
他で間に合わせるしかないだろ?でも付き合った相手は誰もいない ♪ 」

ほら…否定しないんだから。
否定しないどころか認めちゃってるんだよね…

「自慢にならないわよっ!」
「でも千夏は処女だよな ♪ 」
「 !!! 」

「誰も千夏には触らせない…オレだけの千夏だから…オレだけ知れば良い……」

「……あ…」

隼斗の顔が近付いてくる…やだ…

「チュッ ♪ 」

「!!」

オデコにキスされた!

「ぎゃああああああ!!腐るっっ!!」

速攻手の甲でゴシゴシオデコを擦った。

「失礼な!じゃあ風呂は入ってくるからな」
「!!」

私の頭をクシャクシャと弄くって隼斗は浴室に歩いてく…

「もう…あんな汚い手で触んないでよね…」

隼斗の唇が触れた首筋に手をやる…
むず痒い様な…くすぐったい様な……とにかく変な感じがしてる……

「だから…私達兄妹じゃない…」

「義理だろ ♪ 」

「!!」

浴室に向かう廊下の角から行ったと思ってた隼斗がヒョッコリと顔を出した。

「汚れたんなら一緒に入ろうぜ ♪ 」
「だから入らないってば!!」


私はそんな隼斗に背を向けてキッチンに向かって歩き出した。



私と隼斗はもとはお隣さん同士。


だから必然的に2人は幼馴染みで…何でだか隼斗は小さな頃から私を気に入ってた…
年少から幼稚園に入った私と隼斗は強引に隼斗が私と結婚の約束をしたらしい。

その頃から隼斗は自分の親と私の親に 「千夏をお嫁さんにするから!」 と宣言してた…

私は小さいながらなんで私なんかがいいんだろうって…ずっと思ってた…


そんな約束も憶えていない私には無効で隼斗の事はまったく気にしてなかった…
でも小・中・高と私に近付く男子はことごとく隼斗が排除して結局誰も近付かないまま…

その前にどんなに否定しても何気に目立つ隼斗は入学と同時に
サッサと私を自分の女宣言しちゃうから…

学校中に知れ渡って誰も私に近付かない…

何気に隼斗は目立つ…

美形と言う訳はないけど結構ハッキリクッキリした顔は男らしいし
背も180以上はあるんだろうか?私はちょっと見上げてしまうくらいだし…

それにどう見ても座高より足の方が長く見える……測った事は無いけど…

『 千夏を守んなきゃな! 』

って言って小・中・高とボクシングジムにも通ってた。

だから身体も引き締まってるし…

お義父さんの後を継ぐって言って自動車修理の専門学校に入って
卒業後はちゃんとお義父さんと一緒に修理工場を手伝ってる…

そう…真面目は真面目なのよね…

あんなにセクハラする隼斗だけどだからって乱暴な事されたり
いやらしい事されたりとかは無い…

どうしてなんだか…わからないけど…

やっぱり…兄妹だと…思ってるからじゃないのかな…なんて思うけど…


私と隼斗が兄妹になったのは私達が15歳の時…

私が6歳の時父がクモ膜下出血で亡くなった…36歳だった…
そして隼斗が7歳の時隼斗のお母さんが交通事故で亡くなって…

隣同士だった2家族はしばらくお互い足りない所を補って協力して生活してた…

そして私達が中学3年の2学期…
お互いの両親が再婚して私と隼斗は兄妹になった。

隼斗が6月生まれ…私が8月生まれだからちょっとの差で私が妹…

両親は子供の頃から隼斗が私を 「お嫁さんにする!」 と言い続けてかたら
隼斗のする事は黙認に近い…

流石に隼斗も両親がいる時はさっきみたいな事はしないけど…

でも…ご近所にも…小・中・高の同級生にも…

私は 「隼斗のお嫁さんになる」 って思われてるのが…



い ・ や ・ だああああああああ ーーーーー !!





Back  Next

   拍手お返事はblogにて…