『あっあっああっ!!』
「……なっ!?」
「千夏…お前欲求不満?」
ソファで隣に座ってた隼斗が呆れた顔で私を見る。
「ちっ…違うわよっ!!」
リビングのソファで隼斗と2人…
テレビの映し出された画面から聞こえる女の人の赤裸々な声がリビングに響いてる…
しかも画面一杯の思い切りあの場面が…
映画が始まった途端いきなりそんな場面だったから余計動けず……
これでもかってくらい女の人が男の人に攻められて…
女の私から見ても大きな胸が上下に揺れてる…
「何で?何でいきなりこんな場面?しかもこの女優誰よ!洋画なのに何で日本人が出てるのよ!」
「お前が見たかったやつだろ?」
「違うっっ!!」
慌てて借りて来たレンタルの伝票を見ると…
「私が見たかったのは 『黄昏の向こうで…』 であんたが借りて来たのは 『人妻・黄昏の中で…』 !
全然違うじゃない!しかもAVって事は置いてある場所も全然違うでしょ!」
「よっぽど千夏が見たいんだと思ってさ…だからオレに行かせたのかと思ったよ」
「もうバッカじゃないのっっ!!まったく!!」
DVDのリモコンを持ってデッキに向かってスイッチを押そうとしたらその手を隼斗に掴まれた。
「な…何よ…」
「たまはいいだろ…他人のやってる所なんてそうそう見られねーぞ」
「見なくて結構よっ!このエロガッパ!!!……っ…わっ!!!」
そのまま手首を掴まれて押し倒された!
「ちょっ…」
「千夏……」
こう言う時だけ隼斗は妙に艶っぽい…
ソファにいきなり押し倒されて私の足の間にしっかりと隼斗が入り込んでる…
だからって私は焦ったりしない…だっていつもここまでなんだもん…
これ以上はされた事がない…
「ワザと借りて来たって認めなさいよ!」
「千夏に勉強してもらおうかと思ってさ ♪ 」
「何の?」
「何の?何?シラ切るのか?」
「……勉強してどうするの?」
「オレを喜ばせる ♪ 」
「いつ?」
「いつ?んーーーーそうだな…」
あれ?私…もしかしてヤバイ事言っちゃった?
これで今なんて言われたら………どうしよう……
「い…」
……い?
「…つかな ♪ 」
「え?」
「ん?何だよ…その疑問符は…」
「う…ううん……」
「まあとにかく折角借りて来たんだから見ようぜ千夏」
「……うん…」
別に見なくてもいいんじゃないか?なんて思いつつ頷いてた…
確かにせっかく借りたんだし…私その手のDVDって見た事無いし…チョット興味あったりして…
一応こう言うDVDでもストーリーはあるんだと言う事を初めて知った。
あのシーンばかりかと思ったら何気に主人公の人妻は旦那と不倫相手との間で一応悩んだりしてる……
けど…流石にやたらとアッチに持って行かれ…
結局旦那さんと不倫相手を相手に一体1日に何度するんだろう…なんて思った…
女優さんも大変だな…って変な所で感心。
だってこんな一番人に見られたくない場面を逆に人に見せる為にしてるわけだし…
やっぱりよっぽど覚悟をしてなきゃこんな場面撮れないわよね…
ただ…初めてだからか…私が女だからか…何度もあんなシーンを見てたら飽きて来た。
こう言うのって飽きるものなの?
「ねえ…隼斗…」
あのまま隼斗は私の上に覆い被さったまま人の胸の上に頭を乗せてDVDを見てる…
「 クゥ…………… 」
は?何?もしかして今のは寝息??
「って!!ちょっと隼斗!!何人の上で寝てるのよ!!」
自分の頭をちょっと持ち上げてうつ伏せの横向いてる隼斗の顔を覗き込んだら…
目を瞑って眠ってた!
「……ん?」
「もう見てないじゃない!!」
「え?……ああ…もう見飽きてっから…ふあ…」
「は?」
見飽きてるって…?
「一体いつ何処でどれだけ見てるのよ!」
「こんなの中坊の時とか高校の時にダチと一緒に見たよ」
「はあ?そんな子供頃から?」
「中坊なんてもう身体は一人前だぞ。ガキだって作ろうと思えば作れるしな」
「最低!!」
「まあ大体上に兄貴がいる奴ん家とか?兄貴がそう言うDVD借りてて勝手に見たり…」
「やらしいな〜」
私は本心からそう思った。
「それが健全な男子だよ。…よっと!」
そんな事を言いながら隼斗が腕立て伏せの要領で起き上がる。
「ふああ〜やっぱ千夏の身体は抱き枕に最高だな…」
そりゃあんたは気持ち良かったでしょうよ!
「こっちは重いし最悪!」
「…………」
「なに?」
寝ぼけ眼で隼斗がボーっと私を見てる…
「いや……その格好がそそるなーってな…」
「え?」
今…私どんな格好してるの?そんなそそる様な格好?
パジャマで両手をソファについて…膝を立てて…その間に隼斗がいる…
キシッ!
「 !? 」
隼人の片手が私のお尻の横のソファに置かれる…
だからツイっと隼斗の顔と身体が近付いた……
「隼…斗?」
「千夏……」
ゆっくりと…隼斗の顔が近付いてくる……
私はじっと隼斗の瞳に射抜かれたまま…動けなくて…息も出来なくて…
「…………」
隼斗の視線が私の唇に行ったのがわかった…
これって……もしかして……
ピタッ! っと隼斗の動きが止まる…
触れてないのに隼斗の唇の温度が分かった気がした…
「………なぁんてな ♪ 」
「 !! 」
そう言ってソファから立ち上がる。
「酒飲むか?」
「え?…あ…うん…」
「じゃあ待ってろ」
「うん……」
そう言うと隼斗は何事も無かった様にキッチンの方にビールを取りに行く。
また…いつもと同じ…
あんなに私に接近して…今だってキスされるのかと思ったのに…
いつも隼斗はもう一歩と言う所で私から逃げてる気がする…
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