keep it up !


04




千夏の存在を知ったのは本当に小さなガキの頃だ…

いつだったか昼寝から目が覚めたオレの隣に眠ってる千夏がいて…
その寝顔がとんでもなく可愛かったのを覚えてる…

でもそれが千夏の事を好きになったと言う事だと気付いてなかった…
当たり前だよな…なんせまだ幼稚園にも上がらないガキの頃の話だから…

それからもオレ達はいつも一緒で兄妹の様に育ってた…
親同士も仲が良かったからか…

千夏と2人年少で幼稚園に入ってしばらくしてからどんな奴だったか忘れたが
そいつがいきなり言ったんだ…

『ボク大きくなったらチナツちゃんとけっこんしようかな…』 って…

それを聞いた瞬間オレの中に一瞬で嫉妬と独占欲が湧き起こった。

千夏はオレのもんだ!オレがずっと傍にいて…ずっと前から一緒にいたんだ…
誰がお前なんかにオレの大事な千夏を渡すもんか!

4歳でそう思ったんだからしょうがない…

だから誰かに取られる前に…千夏が誰かを好きになる前に…
オレのお嫁さんにするって約束して…勝手に誓いのキスまでした…

オレのファースト・キスは千夏できっと千夏もオレだ。

当の千夏はその時はキョトンとして…でもちゃんと

『 うん!わたしハヤトくんのお嫁さんになる ♪ 』

って言ってくれたんだぞ。
オレがどれだけ嬉しくてホッとしたかなんて千夏はこれっポッちもわかってないだろうな…

その証拠にしばらくするとオレとのそんな約束は千夏の記憶から綺麗サッパリ忘れ去られた。

そんな事冗談じゃない!
オレがどれだけ千夏の事が好きなのかホントにわかってねぇ!

だから学年が上がる毎に…学校が小学校中学校高校と変わる度に
千夏に他の男が近付かない様にオレの女宣言を繰り返した。

当の千夏は呆れてオレの事なんてただの幼馴染み以上には見てくれてなかった…
まあちょっとは気に止めてくれてたのか学生時代に千夏は誰とも付き合わずに卒業した。

『 千夏を守んなきゃな! 』

そう宣言してボクシングジムに通い始めた。
ジムの連中はプロになれだの試合に出ろだの喧しかったが
オレはそんな事には興味は無い!

ただイザと言う時に千夏を守れる力が欲しかっただけだ。

だから高校卒業と同時にアッサリ何の未練も無くジムを辞めた。
今は自主トレで現状を維持してる。

10年もやってれば自主トレで十分やっていける。

そんなオレ達にも色々あった…
千夏の親父さんが亡くなって…次の年オレの母親も亡くなった…

お互い片親になったけどもともと交流のあった家族だったから
どちらかの親がいない時はもう片方の家に世話になった。

そんな事が8年ほど続いて…当然の流れの様に千夏の母親とオレの父親が再婚した。
周りもえらく納得してたのを覚えてる…

中学3年の2学期…オレと千夏は兄妹になった…

ほんの数ヶ月違いでオレの妹だなんて納得がいかないなんて結構な剣幕で怒ってたけど
生まれた順番は今更どうしようもねぇと思う。

その時のオレの嬉しさと言ったら…

まあもともとお互いの家を行き来してたから別に何の違和感も無かったが
とにかく24時間千夏がオレの傍にいるって事が最高に幸せな事だった!


千夏が女らしくなり始めてからオレとの間に距離をとりだした…
避けてるとかじゃねえ…1人の女として男と距離をとっただけ…

でも相手はオレだぞ?なんで距離をとる?

だからオレは余計千夏をオレのモノだと主張した。
誰もオレの千夏に近付くな!誰もオレの千夏に手を出すんじゃねーぞ!

そう思ってた……

思春期になるとオレも健全な男だ。
アッチの事に興味が湧く…周りだってそんな奴等ばっかりで良くこっそりと
そんな奴等でエロビデオを見まくってた。

オレの好きな女は千夏だ…でも男としてのその衝動は抑えきれない…
だからって千夏を押し倒してとか…相手をさせようとは思わなかった…

どう見てもオレを恋愛対象で見てるとは思えなかったし…

それにオレは千夏の事が好きすぎて……手が出せねぇ……

ちょっとでもそんな事をしたら千夏に嫌われるんじゃないかと思ってた…
だから手も繋がなかったし…キスだってあの4歳の結婚の約束をした時だけだ…

だから…ソレを処理するのに他の女を相手に選んだ…

最初の相手は高校の時に大学生の女。
それだけの目的で合コンなんぞをやってさっさと童貞とおさらばした。

浮気なんて思ってねぇ…別に相手の事なんて何とも思ってなかったし
相手も同じ…高校生と楽しみたかっただけの女…

こんな今のオレの相手を千夏にさせる方がオレには出来なかった…
欲望のはけ口として千夏を抱くなんて事出来なかった…

ずっと一緒にいれるのはオレにとって夢の様な毎日だったが
本当は欲望と理性の戦いだった…

だからそんな時はどうでもいい女を見付けては抱いた。
この衝動だけが抑えられれば相手なんて誰だって良かった…

こんなオレの相手を…千夏にはさせられない…

オレの我慢に比例してどうでも良い女との行為の回数は増えていく…

千夏の耳にも入ってたのは知ってた…
家でも何度か突っ込まれて聞かれた事があったから…

でもオレは正直に千夏に話す。

『 お前がまだオレの相手出来ないんだから仕方ないだろ 』 って…

当然でしょう!なんて文句言われたがオレの本当の気持ちなんて千夏にはわからない…

でもそんなオレでも…キスはあの時1度だけ…

千夏以外の女に許してないんだからな……





Back  Next










   拍手お返事はblogにて…