「社員旅行?」
「うん」
「あんたの所ってそんなに働いてる人いたっけ?」
「お義父さんと隼斗の2人」
「ぷっ!それって家族旅行じゃないの?」
「そうとも言う」
次の日のお昼に同じ職場の同僚とランチをしながらの話…
歳も同じで同期の望美とは自然に仲良くなった。
「でもさ隼斗君相変わらず?」
「……って言うのかな?」
「隼斗君千夏にぞっこんだもんね〜 ♪」
「そうかな?」
「そうでしょ?だって初めてセッティングした合コンに乗り込んで来た時はびっくりしたわよ。
良くわかったと思ったらウチの会社に高校の先輩がいたなんてね」
面白くてしょうがないと言う様に望美が笑う…
そう言えばそんな事もあったわよね……
いきなり隼斗がお店に乗り込んで来て私をその場所から有無も言わせず連れ出した。
『 オレの嫁になる女だから手出し無用!! 』 なんて捨て台詞を叫んで…
まさか同じ会社に隼斗の先輩がいるなんて思いもしなかった…
高校の時から隼斗の事は知れ渡ってるから皆面白がって協力するんだよね…まったく…
「この会社地元じゃ大きな会社だしね。近場で狙ってる人多いから…
お陰で社会人になっても隼斗から逃げられないなんてさ」
「逃げる気あんの?」
そんな言葉に私は黙る…
それはずっと昔から自問自答してる言葉だから…
「………でもさ〜自分以外の女としてるってわかるってどう?許せる?」
「んー…でも隼斗君って幼稚園の頃から…なんでしょ?」
「うん…」
「じゃあさもしも中学とかに隼斗君からしたいって迫られたら…OKしたの?」
いきなり望美がストレートの聞いてくる。
「ええっ!?ちゅ…中学?」
「そ!中1とか中2でもよ?」
「そ…そんなっ!!あ…」
ついお店の中だって忘れて大きな声を出しちゃって慌てて自分の口を塞ぐ。
「そ…そんな歳でなんて無理!絶対無理!!!」
「じゃあ高校は?」
「………んーーーー」
「隼斗君が自分の事好きだって言うのはわかってた訳なんだからさ」
「そうだけど…」
「って言うかさ…ちょっと聞きたいんだけど…」
「ん?」
望美がぐっとテーブルに姿勢を低くして私の方に身体を乗り出してくる。
「千夏は隼斗君に好きだって言った事あんの?」
「えっ!?」
「なに?なんで?そんなに驚く事?」
「いやーーーどう…だったかな?ん〜〜〜〜」
そう言えば言ったこと…無いか…も?
「もしかして今まで1度も言ったこと…無い…とか?」
「へ?」
「あんた…」
「そ…そんな呆れた顔しないでよ…それは隼斗が聞いてこなかったからで…」
「そう言う問題?」
「問題じゃ…ない…かな?」
「一体何年隼斗君はオアズケ喰らってんのかしらね〜〜」
「うう…」
「他の女って言っても後腐れの無い千夏も知らない女でしょ?」
「うん…合コンの相手とからしいけど…」
「でもさ…今でも千夏に手を出して来ないって事はさ…千夏のこと未だに大事に想ってるんじゃないの?」
「他の女とHしてるのに?」
「千夏に手が出せないからその反動じゃないの?」
「は?何それ?じゃあ相手は誰でも良いってこと?」
「高校生でしょ?それに隼斗君じゃ人並み以上にそっち強そうだし…」
「なに?強そうって???」
「えーあたしに言わせないでよ…絶倫ってこと」
「ぶっ!!!げほっごほっっ!!!」
「だってそっち上手そうじゃん」
「こ…怖い事言わないでよ…」
「きっとさぁ本当は千夏のことそう言う対象で見てた事もあると思うけどな〜」
「…………」
「でもさ…千夏の気持ちもあやふやでわからないからそんな千夏のことをどうにかしようとは思わなかったんじゃない?
でもそっちの欲はあるもんだから手っ取り早くヤルだけの相手みつけて……」
「………それって許される…こと?許すこと?」
「まあ…千夏がどうしても嫌だーーー!!って言うなら仕方ないんじゃない?
でも今更な気もするけどね…今はまったくそんな事無いんでしょ?」
「うん…ここ数年は…無いと…思う…」
って私もなんでそんな事わかるんだか!!
「ふ〜〜ん」
「な…何よ!!べ…別にか…観察してたわけじゃ無いですからね!!」
一緒に暮らしてれば嫌でもわかるんだから仕方ないじゃない…
「はいはい。で?その旅行で何か起きると思ってるの?でも両親も一緒なんでしょ?」
「そうなんだけど…なんか何か決意してる気がしなくもなくて…」
怪しいのよ…うん…これは長年一緒に暮らしてる私の勘!
「でもいい加減はっきりさせた方がいいんじゃない?」
「………」
「もう23でしょ?もうすぐ24か…4歳からだっけ?」
「……うん…そうらしい」
「本当一途よね〜」
「一途?一途かな?」
「一途じゃないの?」
他の女とやってても一途って言うのか疑問だった。
「………」
「でもこれ以上の進展を千夏が望んでないならちゃんと隼斗君に言ってあげないとね。
ホント今更って気がするけど…それに言っても無駄って気も……ふふ…」
「ちょっとぉ〜」
望美が悟ったような納得したような笑顔を向ける。
「…………」
お互いのことをはっきりさせる……でも隼斗はハッキリしてるんだよね…問題は私…か…
でもね〜どうも素直に行けないのよね……
隼斗の事は好きだけど……それは一体どんな好きなのか…
嫌いじゃないから好きってことなのか……
そんなモヤモヤする気持ちを引きずりながらはっきりなんてさせることも出来ずに…
確実に旅行の日は迫ってた…
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