keep it up !


12




「歯食いしばれ」


そう言われていきなり千夏に往復ビンタを喰らったオレ!

オレは叩かれた頬を両手で庇う。
言っとくが殴られるのは千夏だけだ!!他の奴ならオレに掠りもさせない。

「スッキリした〜〜〜〜 ♪ 」

マジでスッキリした顔してる千夏……オレはまったくもって理解不能だ!!

「はあ?何がスッキリしたんだよ!ちゃんと説明しろ!千夏!!」
「なによ私が叩いたくらい平気でしょ!」

そんなヤワな奴か?と言いたげな千夏の顔……

「そう言う問題じゃねーだろ!精神的ショックの方が大きいっつーの!」
「ビンタ2発で済んでありがたいと思いなさいよ」
「はあ?」
「………」
「千夏…?」

一体何なんだよ……?

「これからは他の女なんて許さないからね」
「は?」
「浮気したら即家から叩き出すから!」
「え?!」
「わかったの?」
「わ…わかった…わかった…けど…」
「けどぉ?」

まだ何か口答えすんのかぁ?ってな顔でギロリとオレを睨む。

「いや…だから…さっきの…?」

オレは自分の叩かれた頬を指差す。

「他所の女抱いた罰!!」
「は?痛っ!」

今度はベシンと頭を叩かれた。

「私だって平気じゃなかったんだからね!私の事好きだの嫁にするだの言いながら他の女と……」

千夏が拗ねた顔と態度でぷいと横を向いた。
何だよ…可愛いじゃねーか……こんな時なのにオレはそんな事を思ってた。

「じゃあお前中学の時やらせてくれたか?」

そんな千夏をちょっとだけ覗き込んで聞いてみた。

「はい?いきなり何よ?」

突然のオレの質問に焦ってる。

「いいから……中学の時オレが誘ったら相手してくれたのかって聞いてんの?」
「バッ…バッカじゃないの?するわけないでしょ!」
「じゃあ高校は?」
「それは……」

おー悩んでる。
もしかして満更でもなかったのか?まあ今更だけどな。

「オレはずっと千夏を抱きたかった。
でもまだ早いってわかってたしそれに千夏がオレの事気にしてないの知ってたしな…
無理矢理なんてできねえし…」
「当たり前じゃない!大体我慢出来ないわけ?」
「あのな自分のものにしたい女が毎日24時間目の前にいるんだぞ?どんだけオレが我慢してたと思う!」

ホントだよ!!少しはオレの苦労もわかれ!!

「そんな事言われたって…」
「毎日一緒にいれたのは嬉しかったんだけどな…中・高の時はマジキツかった」
「だから他の女の人と?」
「千夏には悪いと思ってたけど…いくら好きでもそんな理由で抱かれんのヤダろ?」
「そりゃヤダけど…そのお陰でこっちは隼斗に気のある女子からイヤミ言われたんだからね。
『浮気されたわね』 なんてさ!」
「痛っ!」

また頭を叩かれた。

「そうなのか?まあ確かに時々浮気するなら相手になるなんて言われたことあったけど…
オレ浮気しねぇし」
「はあ?」

隼斗のそんな言葉に私は思わず疑問符をぶつける。

「オレ1度も相手に気持ち預けた事ないし。それに同じ学校の奴は相手しなかったし…
って言うか高校生相手しなかったし」
「!!」

なに?年上とばっか?

「だけどキスは誰ともしてない。キスは4つの時に千夏にプロポーズした時とさっきしたのが2度目だ」
「うそ!?」
「ウソじゃねえってそこはちゃんとしたかったからな…キスするのは…したいのは…千夏だけだ…」
「………」

この肉食系男子の隼斗が恥ずかしそうに後頭部を掻きながら顔を真っ赤にして照れてる。
それがなんとも可愛いじゃないよ……

「隼斗…」
「ん?」
「今も他の女の人相手に…その……してるの?」

私から見て最近はそんな事無いと思うけど……聞かずにはいられなかった。

「ここ何年誰も相手にしてない。高校卒業したあたりからそう言うの治まって来たっつーか…
千夏以外でなんも思わなくなった。その代わり千夏にはあんな事やこんな事想像させてもらったけど」
「バッ…!!そんな目で私の事見てたの?」

一瞬で顔が真っ赤になってちょっと引いた。

「ああ見てた」
「!!」

何をバカ正直に……

「もう話しはおしまいだ…千夏」
「………」

真っ直ぐ見つめて来た隼斗の瞳がいつの間にか肉食系男子のそれに変わってた…
これって何だかヤバ…イ…?
私は何気に正座したまま後ずさりする…

「えっと……」
「逃げないってさっき言ったよな?」
「あ…そうだっけ?」
「ずっと想像してたんだ…千夏…」
「な…何…を?」
「千夏がオレに抱かれて乱れまくるところ ♪ 」
「!!」
「覚悟はいいか?千夏…」
「あっ!」

正座してる状態で腕を引かれて隼斗の胸の中に倒れ込んだ。

「………」

隼斗の胸に手を着いて隼斗を見上げたらまたホンワカとした笑顔があった。

「千夏…」

片手は掴まれたまま…背中にも隼斗の手の平の温もりが薄い浴衣越に伝わってくる…

「好きだ……ずっと前から……これから先も……ずっと……だからオレの嫁さんになってくれ……」

「………」

唇が今にもくっつきそうなくらい近い…私を見つめる瞳は真っ直ぐで…

「本当にもう他の女の人を相手にしないわよね…」
「しないって…千夏が手に入れば他に誰もいらない…ちゅっ……」
「……私だけを好きで…いる?」
「もう19年千夏だけを好きでいるだろ…自信ある…ちゅっ…」
「んっ……私のこと大事に……す…る?んっ…」
「……ちゅっ……チュッ……する…約束する……千…夏……」

そんな話しをしながら軽く触れるだけのキスが……
舌を絡める深い深いキスに変わり何度も繰り返す……

「ふぅ……んっ…ぁ…」

そのまま背中を支えられて布団の上に静かに押し倒された。
しっかりと私の脚の間に隼斗が陣取ってる……
何だか…これで逃げられないなぁ…なんて思った……

「隼斗……」
「ん?」

私の首に軽く唇を押し付ける隼斗を呼ぶ…

「あ…あのね…」
「なんだよ?もうやめてっつってもやめねーぞ」
「ちがくて……あの……」
「?」

隼斗が頭を起こして私をすぐ上から見下ろした。
そんな……真面目な瞳で見ないでよ……

「千夏?」
「あの……ね…」
「ああ……」
「初めてだから……優しく……して……」
「…………は?」

隼斗がとんでもなく驚いた顔してる。
まあそうよね…そりゃそう言う反応するわよね……

「え?……なに??……え?……ええっっ!?だって…お前さっき……」
「あれは…ウソ…」
「なっ!?なんで??」
「少しは私の気持ちわかった?」
「?」
「隼斗が私の知らない相手とそういうコトしたって知った時……私やっぱりショックだった…」
「千夏……」
「でもね…自分が相手になってあげられないのもわかってたから……仕方ないかなって思った」
「…………」
「確かに同じ学校の人相手にしなかったのは気分的に助かったのもある……」
「千夏……」
「まあお互い若かったもんね……だからお互い大目に見ましょう」
「……そうだな……」

確かにお互いガキだった……

「じゃあ……好きな奴ってのは?」
「え?ああ……好きって言うか……憧れって言うか……先輩に……ね……」
「そっか……じゃあ「恋」ってわけじゃ無いんだな?」
「……うん……」
「なら大目に見てやるか」
「なんかさ……私の事ばっかり言うけど……これからは……わかってるよね?隼斗」
「わかってるよ……まあでも何も心配する事はねえからさ」
「そう?」
「ああ…帰ったら婚姻届け出してすぐに夫婦だし」
「やっぱそうなるか……」
「なんだよ?嫌なのか?」

隼斗が私のそんな態度にムッとなる。

「嫌って言うかさ〜〜隼斗の宣言通りについに隼斗のお嫁さんになったんだ!
って周りの人に思われるのがさ〜〜なんだか癪に障るっていうかさ〜〜納得いかないって言うかさ〜〜」

そう言って口を尖らせる千夏……何だその超不満な顔は?

「オレを19年間惚れさせてた女だって自信持てよ」
「ん〜〜〜そうねぇ……」
「もうグダグダ言うなっ!これ以上オアズケはキツイ!」
「え?あっ……ちょっ…」

一気に浴衣の襟元が隼斗の手で大きく割られて肩から浴衣が脱がされて上半身が露わになった。

「何で下着つけてんだよ?」
「普通つけるでしょ?」
「ちっ!まあいいか…脱がせて欲しいのか?千夏 ♪」
「だから……その妖しい目は止めてって!!何かよからぬ事考えてるんでしょ?」

いつも以上に隼斗の瞳の色が違う気がする……

「まさか……ただ…」
「ただ?」
「寝かせねぇ……」
「!!」

ニヤリと片方の口の端を上げて笑った隼斗……

だから…初めてだから優しくって……言ったじゃーーーーんっっ!!ばかぁ!!!






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