「え？なん……で？」
隼斗に背中から抱き抱えられて身体は隼斗に預けてる状態だった。
「気がついたか？」
「隼斗？」
「気ぃ失うほど良かったか？フフ ♪ 」
なによ！その得意げな笑いは？
「あんたバカでしょ？加減ってモノを知らないの？初めてだって言ってるのに……」
私は身体に力が入らなくてクッタリ。
「いや〜〜おかしいんだよな。ひたすら突き進んじゃうんだよ ♪ チュッ ♪ 」
後から肩越に頬にキスされた。
「寝てる間に身体綺麗に洗っといてやったからな」
「え"！？」
今なんと？
「身体の隅々まで綺麗に洗ってやったから ♪ 」
「………」
「ん？寒いのか千夏？じゃあちゃんと肩まであったまれ。１００まで数えて…」
寒くて震えてるわけじゃないわよーー！！真面目に答えてる隼斗にムカつく！
「スケベ！！」
「グガッ！イテッ！！」
一応加減して後頭部で隼斗の顔面に頭突きをしてやった。
「イテェなあ…今さらだろうが。結構重労働だったんだぞ」
「すみませんね！」
「夫が妻を気遣うのは当たり前だろ ♪ 」
「まだ夫婦じゃないし！変更可能だし」
「そんなの却下だ！却下！変更は受け付けない」
隼斗がお湯の中で両手の指を絡ませてギュッと握る。
所謂恋人繋ぎ。
「フフ ♪ 」
「何がそんなに嬉しいの？」
いい歳したアンちゃんがニヤニヤ気持ち悪いっての！！
「全部 ♪ 」
「ああ…そう」
私はさっきから何となく引っ掛かることがあってちょっと気分はイマイチだ。
「ねえ…隼斗……」
「ん〜〜 ♪ 」
隼斗は私が何を言い出すかなんてまったく気にしてない。
「こんなこと…今さら聞くなんて間違ってるのかもしれないけどさ……後々引きずりたくないから聞くね」
「なに？」
「あの…さ…」
「ん？」
私はなかなか言い出せず…隼斗は黙って私の言葉を待ってる。
「………たの？」
「は？なに？聞えない」
うう……ちゃんと聞いててよ……
「だ…だから………してたの？」
「なにを？？ハッキリ言えよ。全然聞えねぇ」
この野郎ーーー！！本当はちゃんと聞こえてるんじゃないの！？
「だから！……今までの相手ともするたんびにこんなふうにしてたの！！」
最後は叫ぶように言い切ってた！
「千夏……」
「…………」
うーーー何だかちょっと恥ずかしいじゃないよ……
「顔真っ赤」
「う…うるさい！！！お風呂のせいよ！！」
「………フッ」
「なっ！？何がおかしいのよ！！バカにしてんでしょ！？くだらないこと気にしてるって！！
でもね気になるんだからしょうがないでしょ！！」
ふんっだ！ホントむかつく！！
「してるわけないだろ。千夏じゃないんだから」
「え？」
隼斗がゆっくりと話し出した。
私と手を絡めて繋いだままお腹の前で交差するように２人の腕を動かす。
「大体が１回やってお終い。ホント稀に２回とかもあったけど殆んど１回で終わって
１人でシャワー浴びて帰ったよ」
「本当？」
「千夏だからこんなふうにしたあともイチャイチャしたいんだよ。
それに千夏だから一緒に風呂入って身体まで洗ってやったんだからな。他の女にはそこまで関心ないって」
「だから…身体は自分で洗うって……」
「くすっ……千夏〜〜続きやろ ♪ 続き ♪ 」
「え？」
後から胸のところで隼斗の腕に抱きしめられて最初から隼斗の足の間に居た私は
ガッシリと隼斗に捕まった。
「まだまだ足んねぇの ♪ 千夏…ちゅっ ♪ 」
「あっ！」
肩から耳朶まで舌先でツツツ…と舐め上げられた。
「は……ぁ……」
私の胸の前で交差されてた腕がいつの間にか隼斗の手の平に変わってて
微妙な力加減で揉まれ始めた。
それぞれの胸の先を隼斗の男らしい指で弄られて摘ままれて私の身体が跳ねる。
「あっ……んぁ……」
「千夏立って」
「へ？あっ！」
脇の下に手を入れられて立たされた。
結構な勢いでザバッと湯船のお湯が跳ねて揺れて外に出されると浴槽に向かうように立たされる。
「膝着いて座って」
「え？なに？」
「浴槽の縁しっかり掴んで」
「え？なに？なんなの？」
言われた通り膝を着いて座って浴槽の縁を掴んで隼斗を肩越しに振り返った。
ニッコリとまた少年のように笑う隼斗。
「ん？」
浴槽を掴む私の左手の隣に隼斗の左手が置かれた。
私の腰からお腹にかけて隼斗の右腕が後ろから廻されてクイッと持ち上げられた。
私は膝だけついた格好で足の間は隼斗の両足がやっぱり膝を着いて入ってる。
「なに？？」
何かが私の足の間に触れた…そう思った瞬間一気に後から身体を貫かれて背中が弓なりになる。
「ひゃっ！！あああああっっ！！！」
「キツっ……」
そんな隼斗の呟きも私の耳には届かない。
「あっ！あっあっ……んあっ！！……あうっ！！」
加減無しで何度も押し上げられて息が詰まる。
床に着いてた膝が段々広がってきて力が入らない。
このままだとベシャリと潰れちゃうかも……
「しっかり掴まっとけよ千夏」
「…はぁ……はぁ……え？」
隼斗が掴んでた浴槽の縁から手を離すとお腹に廻されてた腕も外される。
体重を掛けられてた隼斗の重さがフと無くなった。
すぐに私の腰に隼斗の両手の感覚がして腰を掴まれたんだとわかった。
「やっ！！あああっっ！！！ふあっ！！ああ…あっあっ……」
腰を固定されたままさっきよりも激しく身体が揺さぶられる。
ちょっ……無…無理！！！腕に力が入んないって！！
「やっ！ダメ…隼…斗……強…い……あんっ！！」
背中を仰け反らせながら叫んでた。
だって身体の奥の奥まで隼斗が攻めるから……こんなの初めてで耐えられないよーーー！！
「だからしっかりと…掴まってろって」
「はっ……はっ……無…無理ぃ……力…入んない…あっ！！」
「根性見せろって。イクぞ千夏」
「やっ！！あああっっ！！」
仕方なくなけなしの力を振り絞って浴槽の縁を必死に掴んで耐えた。
だから…私は初めてなんだってば！加減してよーーーー！！！
「んぁ……」
ざっとバスタオルで身体を拭くと隼斗は私をお姫様抱っこで抱き上げて今度はベッドの上にそっと寝かせた。
ああ…これで寝れる…と思ったのは大きな間違いだった。
力の入らないのをいいことに隼斗は好き勝手にキスしまくって私の身体を散々弄くりまわして攻め続けた。
絶対関節がどうにかなったと思われる足もこれまた大きく広げて顔をうずめて満足するまで舐めまくってた。
身体は動かなくてもそんな隼斗のすることに全部反応してしまったのは言うまでもない……
こんな恰好で抱き合ったりするのか？できるのか？と思われる格好も色々させられてこれでもかってほど泣かされた。
別の意味でも散々鳴かされた。
『隼斗君って並み以上にそっち強そうだし…絶倫ってこと』 なんて望美の言葉が蘇る。
ホントまさにソレよ！ソレ！！良く１０年間も堪えてたよ！！
ってああ…だから他の相手で処理してたのかと今さら納得してしまった自分…
もう最後の方は意識も朦朧で眠気なのか気絶なのかワケがわからなかった。
目が覚めたのは隼斗に起こされたからでそれでもなかなか目は覚めなかった。
「千夏〜もっと寝かせてやりたいけど仲居さんが布団たたみにくるし朝飯だぞ」
隼斗がニコニコの顔で私を覗き込んでる。
「……ん〜〜」
わかってるけど……身体がいうことを利かないのよーーー！！
「目覚めの一発する？おはよう千夏 ♪ ちゅっ ♪ 」
今までしたことのない 『おはようのキス』 なんてされた。
一言文句を言ってやりたかったけどそんな元気も気力もなかった。
「おはよーー誰がするかっての！この絶倫男！加減なんて一切しなかったよね？
どうしてくれんのよこの身体中の筋肉痛！！バカっ！！」
「まあ慣れだよ。慣れ ♪ 次からは大丈夫だろ？」
「うう…」
私はちょっとでも動くと痛みが走る身体をモソモソと布団から起こす。
起きた時からわかってたけど何も着てなくて…すっぽんぽんだった。
チラリと見た部屋の中は昨夜は何事も無かったように綺麗に片付いてた。
『ラブホテルじゃねーんだから』
そう言って隼斗は昨日の行為で出たゴミを部屋のゴミ箱ではなくて
どっかから調達したビニール袋に入れてた。
私は全然気付かなかったけど布団も浴衣を敷いてたりバスタオルを敷いてたりして
直接シーツを汚さないように気を使ってたらしい。
『旅館の奴に千夏のロストバージンの跡見られんのヤだろう』
まあ…確かにそうなんだけど…どこまで気を使ってんだこの男は？
「まあ今回だけだけどなこんな気を使うの。次からは俺の部屋かラブホだし」
「なんで隼斗の部屋？」
「はあ？なんで夫婦でしかも新婚が別々に寝るんだよ。帰ったら親父達に相談しなきゃな。
２階リホームしねーと」
「…………やっぱヤダーーー！！隼斗と結婚やめる！」
私はそう言って布団にガバリとうっつぷした。
「はあ！？なんでそうなんだよ！！」
いきなりそんなことを言い出した私に隼斗がムッとして聞き返す。
「だって…」
「ああ？」
「お義父さんとお母さんに言うの恥ずかしい」
「はあ？ったく……このぶわぁかっっ！！」
「うっ！！」
思いっきり目の前で罵倒された。
「今さらだろうがっ！大体今回２人っきりで旅行に来た時点で親父達にはこうなることはバレバレだっつーの！」
「え”え”！？」
「俺がずっと千夏を嫁にするって言ってただろ？当然の流れだろうが！
きっと 『やっとか』 って言われるのがオチだよ」
「……うう…そっか……」
「ったく今さら気付くんじゃねーよ。婚姻届にだって親父達に書いてもらわなきゃいけねーしな。
ホント今さらビビんな」
「………」
いや…ビビッてるんじゃなくて……恥ずかしいと言うか…諦めが悪いと言うか…
「まあいいや…温泉にでも入って身体癒してこよう……ってああーーーっ！！」
「あーー？今度はなんだ？」
隼斗が呆れたように立ったまま腰に手を当てて私を見下ろす。
これが本当の上から目線か？
「もっ……も……もーーーー！！隼斗のばかぁーーー！！！」
「イテっ！なんだよ！」
叫んで隼斗に向かって枕を投げつけた。
ボクシングを習ってたくせに私が投げた枕は隼斗の腕に当たって床に落ちた。
どうして避けないんだか？まあ避けたら余計ムカつくけど。
「どうしてくれんのよ！こんなんじゃお風呂に行けないじゃない！！バカ隼斗！！」
掛け布団で身体を隠しながら涙目。
それでも剥き出しの首や肩にも所狭しとキスマークがついてた！！
きっと確かめてないけど身体中についてるはず。
「最後に大きなお風呂で温泉を満喫しようと思ってたのに！！」
それが楽しみのひとつだったのに！！
「諦めろ」
「何よ！自分だけしっかりちゃっかり大浴場のお風呂に入ろうって魂胆じゃないでしょうね！」
「はあーーーー」
隼斗がわざとらしく大きな溜息をついた。
そして私に背中を向けるとすでに洋服に着替えてた隼斗は着てたシャツの裾を掴んで
シャツを脱ぐように捲り上げた。
隼斗の男らしい背中と浅黒い肌が露わになっていく。
「な…なによ」
「俺だって入れねーっての」
「は？……え”っ！？」
露わになった隼斗の背中には引っ掛かれた何本もの爪の痕が生々しく…
尚且つ痛々しくっきりはっきりついていた。
何となく血もうっすら滲んでる？
「流石にこれを人目に触れさせんのはちょっと恥ずかしいからな。嬉しいは嬉しいだけど ♪
千夏が感じまくったって証拠だから ♪ 」
「…………」
私は目が点の顔が真っ赤だ。
仕方なく内風呂で我慢して入ることにした。
お風呂から出るともう布団は片付けられてて部屋の真ん中には座卓が置かれてた。
「朝飯８時だってさ」
「うん」
「ぷっ！なんだよそのカッコウ？ぎっくり腰か？」
隼斗と向かい合わせるように反対の場所に座ろうとしてる私を見て隼斗が笑いを堪えながら
見当違いなことを言う。
「誰のせいだと思ってんのよ！身体中筋肉痛だって言ってるでしょ！！それにさ！」
「それに？」
「………」
「千夏？」
「何でもないわよ！」
そう言って座椅子の背凭れに寄りかかる。
沁みたなんて……言えるわけないじゃない！まったく！！
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