ひだりの彼氏 番外編 クラスメイト・須々木君とツバサ 1



01




今日から2学期だ。

朝から暑くてたまんねーけど家で暇持て余してるより学校でダチと話してる方が何倍もいい。
勉強はそんな好きじゃねーけどそれなりの進学校だっつーのはわかってて入ったわけだから
とりあえず中間くらいの成績はキープしてっから親もうるさくねぇし大学も高望みしなきゃ
そこそこのところにはいけそうだ。

だからこれから始まる受験勉強や大学入試も俺はあんまり気にしちゃいない。

目下俺が一番気になるのは…

「ツバサ〜 ♪ 」

2学期の朝一にクラスメイトの 『三宅翔』 に声を掛けた。
俺は友達と思ってるんだがツバサはどうやらそんな風には思ってないらしいんだよな〜
何度か掛けた携帯への電話も送ったメールにも出ないわ返事を寄越さないわ…まったく徹底してる。

それでも着信拒否されないから俺は気にせずツバサの携帯に掛けることを止めない。

「………」

超不機嫌でとんでもなくイヤイヤな顔で振り向かれた。
まあいつもの事だから俺は気にしないけど。

「うるさいんだけど」
「何だよ久しぶりに会ったのによ〜」
「?」

俺はニヤリと笑ってツバサを見た。

「気持ち悪いからあっちいけ」

素っ気無い一言をオレに投げつけてスタスタと歩き出した。

「あの年上のお姉さん誰?」
「?」
「見掛けたんだよこの前の夏祭りでさ ♪ 」
「そう」
「そうって……なあ?一体どんな関係?」
「言う必要ない」
「え〜お兄さ〜んそれはないんじゃない?この蝶のピアスの持ち主?」
「………」

がっしりとツバサの肩を組んだ。

「暑い」
「オレだって暑いよ〜ちゃんと話してくれたら引き下がるからさ」

間近で見るツバサの顔は男のクセに泣き黒子が色っぽい。
これが女にモテる顔か〜〜〜くそ〜〜!!

俺とは顔の作りが違うんだよなぁ〜
俺も自分はイケてないとは言わないけど普通過ぎるんだよな……きっと。

「……はぁ〜〜なに?」

どうやら諦めたらしい。
呆れた顔と態度で俺のほうに振り向いた。

「だからあの年上の彼女とはいつから付き合ってんだって聞いてんだよ」
「付き合ってないけど」
「うそだろ!?」
「もういい?」
「良くない!何1つ説明してもらってないじゃんかよ!」

そんな答えで納得できるかっての!

「えーめんどい」

めんどいじゃねーっての!

「うるせー!彼女じゃなきゃ何なんだ!」
「んー………さあ」

奴が真面目に小首を傾げた。
この仕草でどれだけの女子が悩殺されるかコイツは知らないんだよな〜

「はあ?何惚けてんだよ!」
「別に」
「じゃあお互い遊びか?」
「は?」
「その場限りで楽しめれば良いってやつか?」

ほ〜〜そっかそっかぁ〜〜〜 ♪

「何ソレ?」
「フッフ〜〜〜ン ♪ 」
「………」

俺は意味ありげに笑う。

「見ちゃったんだよ〜お前と彼女との濃厚なキスシーン ♪ 」
「!!」

一瞬だけどツバサの顔が緊張したように見えた。
いつも無表情な顔してるくせに。

「ったく人目も気にせずあんな事するなんてさぁ〜
お前も普通の男だったんだなぁ俺は嬉しいぜ ♪ ウンウン!」
「……もういい?」
「は?」
「もう話すこと無いし」

相変わらずの素っ気無さだ。
でも俺はメゲない!

「だ・か・ら〜まだ何にも聞いてねぇっての!」
「時間無いし」
「じゃあ学校終わったらじっくり話し聞かせてもらうから帰り付き合えよな」

当たり前のようにツバサに約束を取り付ける。

「ええ〜」

露骨に嫌な顔しやがった。

「そんな嫌そうな顔すんじゃないって!とにかく学校終わったらな!午前中には終わんだろ」
「…………」

返事をしない。
でも俺はそんなツバサを気にすることもなく断れないようにさっさとツバサから離れる。

「じゃあまた後でな ♪ 」

案の定いつもの如くのらりくらりとはぐらかすから今日は絶対逃がさないと決めて
俺はひとまずツバサを解放した。

一応約束はしたが安心できない。
当たり前のようにそんな約束はツバサの中では無かったことになってて何事もなくサッサと帰っちまうからだ。

だから逃げられる前にツバサを捕まえなきゃならない。

モテ顔で女に人気があるクセに女に全く興味のない男。
青春真っ盛りの思春期真っ盛りなのにどうして女に興味がないのか不思議だ。
普通俺達の歳ならとにかく女だろ?チャンスさえあればいい思いしてみたいって思うお年頃だろ?俺達!

まさかコッチが趣味か?と以前親指を立てて真面目に聞いたらいつもの無表情な顔で立てた親指を掴むと
あともう一押ししたら折れると言うくらいに反対側に捻られた。
マジで指が折れるかと思った。

そんなこともあのいつもの無表情でやられるとホントマジ怖いって。

噂で入学早々先輩達に目をつけられ呼び出されたらしいがツバサは何事もなかったかのように過ごしてた。
あくまでも噂だったから本当のところはわからないが謎の多い男だ。
だから余計面白くてかまいたくなる。

しかもそんな女に興味のないツバサが人目もはばからず濃厚なディープキスをしてるのを目撃したら
追求しないはずないじゃないか!





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