ひだりの彼氏 番外編 いつの間に新婚旅行?


01




「ん?」

瞑ってた瞼をゆっくり開くと部屋の中は明るくなってた。

「…………あれ?」

ぼんやりと視界に映る部屋に違和感。
天井が高いし全体的に白いしそれに……ベッドの感じがいつもと違う。

「え?」

目を擦りながら仰向けからうつ伏せに寝返った。
目の前にベッドの飾りなんだろうか?
ゴールドの細い棒が何本もあってその間に蔓と葉っぱみたいな模様がある。
明らかに自分の家のベッドじゃない。

「なんで?」

そのとき横からなんとも言えない気持ちのいい風が吹いて私の髪の毛を
サラサラと撫でて行った。
寝起きで力の入らない首を持ち上げて未だに明るさに慣れない目を
ちょっとだけあけて風の入ってきたほうを見ると……

「うそ!?」

広めのテラスに繋がるはき出しの窓が全開に開いててレースのカーテンが
柔らかな風でユラユラと揺れていた。

そのカーテンの向こうには真っ青な海と地平線が広がってるのが見えた。
まるで映画のワンシーンみたいだと思った。

「え?なに??ここどこ?」

一瞬でパニック!?
なんで私こんなところにいるの??
昨夜はちゃんと自分の部屋のベッドに寝たわよね?
でもこの目の前に広がる風景はなに??

「あ!ツバサは?」

咄嗟のことで彼のことを名前で呼んでしまった。
うつ伏せのまま顔だけ捻って窓とは反対のほうに振り向いた途端背中から何かが圧し掛かった。

「わっ!!なに?」

そのまま上掛けごと抱きかかえられる。

「あっ……やん!!」

うつ伏せの身体とベッドの間に強引に腕が差し込まれてそのまま抱きしめられたから
裸の胸に腕が擦れて変な声が出ちゃった。

って!!ちょっと!!なんで私裸なの??

「朝から名前呼んでもらえるなんて雨でも降るかな」
「は?」

耳元でした声は紛れもない彼の声だった。

「おはよう奈々実さん。ちゅっ♪」
「……お……おはよう」

頬にキスされた。
まあ寝起きはいつもそうなんだけど……口にっていうのもあるし……
って今はそれどころじゃ!!

「ね……ねえ」
「ん?」

返事をしながら彼が剥き出しの私の肩に唇を押し付けてる。
何度も何度も場所を変えて。

なんだろう?自分の中に何かが芽生えた。
でもそれがなんなんだかまだわからなかった。

「ここどこ?」
「……それって真面目に聞いてる?」
「え?あ……うん……真面目に……」
「まったく……」

呆れた声と溜息がもれた。

「奈々実さんが言った。新婚旅行はベッドから真っ青な海が見えるホテルがいいって」
「え?新婚旅行?」
「なに?それすらも忘れてたの」
「うっ!……ごめん……」

本当に申し訳ないとしか言いようがない。
昨夜お酒でも飲んだのかな?すっぽりと抜け落ちてました。
ん?でも確か……?

「新婚旅行は行かないんじゃなかったっけ?」

そう。彼が大学卒業したらゆっくりと行こうっていう話しじゃなかったっけ?
それがなんで?

「はうっ!」

そんなこと考えてたら剥き出しの胸をムニュリと揉まれた。

「え!?ちょっ……」
「なに」
「やっ……わっ!!」

手は胸に当てたままグイッと身体を抱き起こされた。
そのままベッドに座ってた彼の胸に背中を預けるように倒れこむ。

「ちょっと……」
「いい眺め」
「え?」

私の左肩越しに彼の顔がある。
視線は下を向いて……うっ!!

上掛けは起き上がったせいで私の背中と彼の胸の間に挟まってる。
裸の身体を隠すものはなにもなくて当たり前だけどむき出しの下半身までしっかりバッチリ見えてた。
しかも昨夜つけられたであろう赤い印も体中のいたるところにあった。

「ちょっと……ヤダ……離して!」
「いまさらなにを慌ててるの」

話し掛けられた途端耳に彼の唇が触れた。

「ンアッ!!ひゃぁ!!」
「これで感じるの?奈々実さん」
「……え?」

なんだか……いつもと違……う?

「!」

そんなことを考えてたら彼の片手が私の身体を撫でながら胸から腰……
そのままスルリと足の付け根に下りてきた。

「あっ!やっ……」

なんの躊躇いもなく彼の指が私の身体の中に入り込んだ。

「ちょっ……あうっ!!」

自分の身体の中で彼の指を感じたと思ったらすぐにそれが動き出して身体が思い切り跳ねた。

「もしかしてオレのこと待っててくれた」

言いながら耳からこめかみ……頬から顎にかけて優しく触れるだけのキスを繰り返す。
彼の唇があったかくて柔らかくて……背中がゾクゾクとざわめく。

「……えっ?なに?……あぁ!!」

入れられた指とは別にすぐ傍の敏感に感じるところを親指の腹でくにゅりと押し潰された。

「やぁ!!」

ビクンと背中が反り返って左腕を回して彼の首にしがみついた。
右手は私の身体に入り込んでる彼の手を掴んだ。
ほとんど条件反射だったと思う。

「なに?邪魔しないで奈々実さん」
「ちが……急にそんなことするから……ハッ……あぁ」

ずっと胸を触ってただけの彼の手が動き出しすから自然に首に回してた腕に力が入る。
彼の顔に自分の顔が隙間なく密着する。

「奈々実」
「や……」

彼が私の名前を囁くように呼んだ。

「あっ!あんっ!!あぁ……」

声の大きさとは裏腹に彼の両手は大胆に動き出した。
胸の先を指の間に挟みながら手のひら全体で揉み拉かれる。
挟んだ指は強弱をつけながら時々胸の先を引っ張ったりする。

胸を弄られると背中から項や腰になんとも言えない疼きを感じてしまう。
それとは別に下半身からも堪え難い刺激が与えられてそんな刺激に身体が勝手にくねる。

「あ……んぅ……」
「カワイイ……」
「……え?」

カ……カワイイ?カワイイって言った?今?
いつもそんなこと言ったっけ??

「あ……」

両手の動きはそのままで唇を擦りつけるように耳や頬や首筋にキスをする。
彼の息遣いが耳に届いてなんだか余計に恥ずかしい気持ちになる。

激しく動き出す彼の両手に私はじっとしていられなくて
身体を捻ったり腰を浮かせたりして耐えた。
でもそんな抵抗も虚しく座ってた足はいつの間にか膝を立てていた。
体育座りをちょっと崩した格好で彼の胸に体重をかけるように凭(もた)れる。
目の前に見える自分の膝は彼から送られる刺激に落ち着きもなく動き回ってる。


「あっ……あっ……ホント……やだぁ……んんっ!!」

あまりの刺激に彼の腕を両足で挟むように閉じた。

「邪魔しない」
「あっ!」

最初から差し込まれた腕は肘で今まで胸を触ってたもう片方の腕で膝を割られて開かされた。





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