ひだりの彼氏



02




「ただいま〜友達連れて来たよ〜 ♪ 」


そう言いながら歳の離れた妹が子供と旦那と…そして友達と言う数人の男女を連れて入って来た。

妹は今年20歳…
高校卒業後はフリーターをしていて高校で同級の彼との間に子供が出来て出来ちゃった結婚。
子供は今1歳女の子…諸々の事情から親と同居してる…

その頃私は大学を出て就職して1人暮らしをしてた…
今はちょっと事情があって実家に戻って来てるけど…

一人暮らしをやめた原因は…まあ色々あったけどしばらくしたらまた1人暮らしする約束で
ちょっとだけ自分を癒す為に実家で気楽に暮らしている。

でも…妹夫婦の仲の良さを見せ付けられのはウンザリで…
まあ何も知らないガキじゃないのでそこは見てみないフリをするけど…

親も戻って来た私を気遣って何も言わないし…
とりあえず同居してくれる相手もいるし可愛い孫までいるんだから…

しかも内孫と言うやつだから可愛いさも倍増だろう…

元々親元にいたがってた妹とすでに婿養子状態の旦那さんだからウチの親も満足だろう。

いくら長女と言ってもいつするかもわからない娘の結婚を待ってるよりは賢明な判断だと思う。
私もちょっとは気分的に気軽になったし…


「 「 「 こんばんは〜お邪魔しま〜〜〜す ♪ 」 」 」


妹夫婦は2人してピアスの指輪の茶髪なんて当たり前の容姿…

だからそう挨拶して入って来たのは2人と同じ茶髪に化粧に…

そんなメンバーとは対照的なごく普通の至って真面目な男の子が1人…
もう髪が黒くてピアスつけてないだけで真面目に見えてしまう…

本当にとんでもなく真面目に見えた…って…

「 !!! 」

この子……私の車に乗って来た高校生!?

一目で気づいて…きっと驚いた顔してたに違わないのに…

相手は何事も無かった様に顔色一つ変えなかった…
うそ…まさか気付いてない…とか?

そんな…こんな目の前で…?真正面なのに??

って…ああ…そうか…他人のフリね…
まさか先輩のお姉さんだったなんて思いもしなかったでしょうから…


「居候中のお姉ちゃんに挨拶なんていらないわよ〜」
「え?」
「出戻りなのよ!」
「え〜?バツイチなんですか〜?」
気を使わずにそんな事を面と向かって笑顔で聞かれた。
「一人暮らしを止めて帰って来ただけでしょ!」
「その帰って来た理由が問題なんじゃな〜い ♪ みんな高校の後輩。」
「へえ…あんたに後輩なんていたんだ…」
「失礼ね〜いるわよ!そりゃ!!」
「ふ〜ん…じゃあごゆっくり…」
「お姉ちゃんはサッサと自分の部屋に戻れ戻れ!こっからは若い子の時間なんだから ♪ 」
「あんたの歳だともう10代の子からはおばさんなんでしょ?」
「うっさい!じゃあお姉ちゃんはもう老婆?」
「なっ…失礼ねまだ26なんだから!そこまでいかないでしょ?まだおばさんよ!あんたと同じ!」
「あのね…あたしはハタチ!お姉ちゃんは四捨五入すると30!この差は大きいと思うけど?」
「………すぐに私に追いつくわよ!」
「その時はお姉ちゃん32歳でしょ?
あー今度は四捨五入しても40にならなくて済んだね ♪ 良かったね〜〜」

「 「クスクス…」 」

「…………」

何だか自分で自分の首を絞めてる気がして止めた…
大体なんでイチイチ歳を四捨五入するのよっ!!

どうせ私は四捨五入30ですよ!!ワケアリ出戻りですよーーーーだっ!!


超不機嫌に自分の部屋に戻った。

運の良い事にまだ自分の部屋がそのままで助かった。
でも将来はあの姪っ子の部屋になるらしい…そうなったらもう此処にも私の居場所は無くなる…

そう言えばあの子…やっぱり何も言わなかった…

左目の下に泣き黒子があったな…
いつも右側の顔しか見てなかったから気付かなかった…


「さて!!サッサとお風呂入って寝よっ!!」

今日は早く布団に入って寝たい気分!!


着替えを持って下に下りるとリビングから声がする…
私だってあの位の年頃の時は友達と遊んだりして楽しかったわよ…


「………」

ああ…早くお風呂入ろう…





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