「早く。」
「ちょっと待って…」
コーヒーを飲み終わって急に店を出た彼に腕を掴まれて引っ張られて連れてかれる。
「ちょっとどこ行くの?」
フロアの端に向かってる?
「わっ!」
今度は私が通路の壁を背に追い詰められた。
「な・な・な…何よ!なんかしたら大声出すわよ!」
もー吃って悔しいー!
「奈々実さん身長いくつ?」
「え?」
こんな時に何よ…
「1つとか言わないでよ。」
言うかっ!
「1…62…」
「オレより22センチも低い。」
「だから何よ!」
「ツムジ見えた。」
「ひゃん!」
そう言ってツムジを多分指だと思うけど…グリグリされた!
「ちょっと!禿げたらどうするのよ!」
私は両手でツムジを押さえて彼に文句を言う!!
「え?禿げるの?」
「ツムジ弄ると禿げるって聞いた事あるの!それに痛いわよ!」
「へー初耳…流石年の功。」
「失礼ね!もう帰るから!どいて!」
「だから…」
「!?」
「もう限界なの…」
そう言って壁に片手を着いて私を見下ろしてくる。
げっ…限界って何が?
「奈々実さん」
「な…何?」
「携帯鳴ってない?」
「え?携帯?」
「見てみれば。」
「………」
鳴ってないと思うけど…言われてバックから携帯を出した。
ディスプレイを見てもやっぱり着信もメールも来てない。
「別に何も…あっ!!」
いきなり携帯取られた!
「ちょっと何するのよ!」
そう言って手を伸ばしても手を高く上げられたら届かないわよっ!!
「だから限界って言った。我慢出来ないの…」
「!!」
あまり見た事の無い真っ正面からの彼の顔が近づく…
だって車に乗ってた時も助手席で顔の右側しか見えなかったし…
歩いてる時も電車に乗ってる時も映画見てる時も…
そう言えばいつも彼は私の左側にいた…
そんな彼の顔が近付いて来て…スッと横に逸れた…
「トイレ行ってくるから待ってて。」
「は?」
耳元にそんな事囁かれた!!
「はー流石に限界。」
そう言って私からアッサリと離れる。
「え?」
「帰らない様に携帯預かっとくから。じゃあちょっと待っててね。」
そう言って私の携帯を振りながら通路の奥のトイレに歩いて行く。
「なっ…」
最初っからそのつもりで!!
「アイツ……」
まったく人をからかって…おちょくって!!本当に頭に来る!!
大体水分摂りすぎなのよっ!このお子ちゃまがーーーっっ!!!!
そんな事を相手に聞えない心の中で叫んで…
彼の言った通り帰るわけにもいかず…彼が戻って来るまで通路で1人待ってた……
なんでなのよ??
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