ひだりの彼氏


26




只今夏休みの間勝手に私の家にホームステイ中の彼に出て行ってもらう為に

『女子にかまわれるのが嫌な彼をかまって帰ってもらう作戦!!』 実行中!!!



そんな計画で食事の間も何かにつけて彼のプライベートな話を聞いたり
彼を褒めたり甘えた様な素振りをした。(自分的には結構頑張ったつもりなんだけど…)

そんな事をしながら食事を食べた…
って結構重労働…いつもしない事や言わない事を言うのって…疲れる…

でもここでへばっちゃいけない…もっと頑張らなきゃ!
彼は何となく察したらしくいつもの様に私をからかう様な事は言って来ない。


「いいわよ。私が洗うから。」

後からわざと食器を洗ってる彼の腕に触れて一緒に流しの前に立つ。

「いいよ。」
「いいから!いつも食事の支度してもらって悪いもの。ね?私がやるから。」

そう言って彼のウエスト辺りを軽く手で触れて横に押した。

「………」

シャツ1枚越しに触った彼のウエストが意外に引き締まってて私が驚いた。
余分なお肉なんて全然無いんですけど〜〜!!流石現役高校生?
一瞬自分のウエストを思い出してしまった…ダメダメ…今はそんな事気にしてる場合じゃ…

内心は心臓がドキドキしながら食器を洗った。
まだまだこれからなんだから頑張れ私!


「ん?」

「だから一緒に入る?」

シャワーを浴びるために着替えを抱えてからかう様に彼に話し掛けた。

んだけど………きゃあーーー恥ずかしいーーー!!!
私ってば今まで生きて来てこんな事言ったことなんてないわよーーー!!

「………」

彼がいつもの無表情な顔で私を見てる。
流石に引いたかな?どうどう?

「何か変なもの昼間食べたの?奈々実さん。」

「は?!」

なんなのよ!?その質問は?

「朝と夜はオレが作ったもの食べてるんだから中ったとしたら昼間食べたものでしょ?
誰か他所の人に変なもの貰って食べた?」
「そ…そんな事無いわよ…やぁね〜一緒に入ってもいいのに ♪ って思っただけよ。」

そう言って彼の事をちょっと意味ありげに見上げた。
(自分では意味ありげに見上げたつもりなんだけど…)

「………」

またいつもの無表情だから今彼がどう思ってるのかわからなくて…
少しは欝陶しく思ってる…の?

「まだあなたには早かったかしら。」

彼にニコリと微笑んで洗面所のドアを開けた。
パタンとドアを閉めた後そのままドアを背にヘナヘナと座り込む。

「い…今のはやり過ぎたかしら…」

自分の中でも今のは有り得ない…かも…
なんて不安が胸の中を過ぎる……

「やぁーー!!ちょっと…ううん…大分恥ずかしいかも…」

そうよね…これでも彼が平気なら私…この後も彼に絡み続けなきゃいけないの?

「……無理…絶対無理!!」

もしかして無謀な作戦立てちゃった?
開始後約1時間で作戦を実行してる本人の精神力が危なくなってきた??

「はぁ〜〜まあとにかくシャワー浴びてサッパリしよう。」

作戦練り直しはその後で…ヨロヨロと立ち上がって上着のシャツを脱いだ。
そうよ…まだ失敗したわけじゃない!

ガチャ!

「ん?」

ドアが開いて……彼が立ってた…

「え?」

そのまま彼が中に入って来て…見つめ合うこと数秒……
彼は私の目の前30センチ位に立ってる。

いつもの無表情な顔で……

私は…私は……!!!

「きゃあああ!!」

上半身ブラだけでぼーっと立ってた!!
私は悲鳴を上げて脱いだシャツで胸を隠す。

「ちょっ…ちょっと!!何入って来てるのよ!」
「何って一緒に入るって誘ったの奈々実さんでしょ。」
「は?」
「さっき自分が言った事もう忘れた?」
「え!?あ…いや…その…」

そうなんだけど…まさか真に受けなんて…それは計算外で…

「え?な…何で?」
「何で?こっちこそ誘っといて何でなんだけど。」
「って…ちょっと服脱がないで!!」

彼がシャツの裾に手を掛けて脱ごうとするから慌てて止めた。

「何で?一緒に入るんでしょ。」
「………」

なんでーーーー!?どうして嫌がらないのーーー??

「な…何で?嫌でしょ?女の子の方からベタベタされるの?」
「そうだね。」
「じゃあ何で?」
「さあ。」
「え?」
「ほらさっさと入っちゃおう。2人一緒なら時間短縮出来るよ。」
「…………」

もう…コイツはぁ〜〜〜!!!

「誰が一緒に入るもんですか!!出てって!!」

「嘘つき。」

「嘘つきでも何でもいいから早く出てって!!出てけっ!!」

片手で服を押さえて身体を隠して片手で彼の身体を押し出した。

「二度と入って来ないでよ!」

バタン!と思い切りドアを閉めた。
確かに彼の言う通り誘ったのは私なのにこの態度って……何気にバレバレ?

「…もう…」

心臓に悪いったら…
ってでも彼もしかしてもうとっくに気付いてて…私の事からかったの??

「はぁ〜〜〜」


一気に全身から力が抜ける…もう…信じらんない……あの男…

これじゃ始めたばかりなのに前途多難……


ううっ……この後も…頑張れるのかしら……私…





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