ひだりの彼氏


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「…………真っ赤だわ…恥ずかしい…」


私は何とも間抜けに…
ギクシャクとしながら歩いてやっとの思いで浴室に繋がる洗面所のドアを開けて中に入る。

その後も動揺する自分を奮い立たせて服を脱いだ。

そして浴室に付いてる鏡を覗き込んだら茹蛸みたいに顔が真っ赤だった。

まったく…何でこんなに赤くなってるのよ…何も知らない子供じゃあるまいし…
ってそれほど知ってるのかと言えば…そんなでもないかもしれないけど…

でもでも…いきなり首にキスって…

「もう…すごく目立つじゃないよ…」

そのまま鏡で自分の首を見るとちょうど首の真ん中ら辺に
赤い……キ…キスマークがバッチリとついてた!!

こんな場所にキスマークなんて生まれて初めて…かも?

「……うっ…」

きやああああ!!恥ずかしいっっ!
まったく…一体どんなつもりでこんな事するのよーーー!!!

間宮さんに痕をつけられたみたいなんだけど…
だからって……それ以上に……

「はぁ〜〜」

しばらくしゃがみ込んで頭からシャワーを浴びてた……



「………」

私は…どんな顔をすれば良いんだろうか?
彼がいる部屋に入れない…でも…だからっていつまでもここに立ってる訳にもいかず…
それにここは私の家なんだから…

意を決して彼がいる部屋に入った。

「………」

なっ!!
視界に入って来たのは…寝てる彼っ!

「くぅ…」

壁を背に寄り掛かって寝てる…まあ元々寝る人だもんね…

「………」

何となく隣に座ってしまった…もしかして…怒ってるのかな…
別に怒っててもいいけど…って言うか怒られる理由がわからないんだけど…
なんて本当はわかってる様な…もー訳がわからないと言うか…

私は肩に掛けてたタオルで顔を隠して小さな声で唸ってた。

そう言えば彼も私の隣はホッと出来るって言ってたな…
それってどんな感じなんだろうか?それに私そんな癒し系とも思えないんだけどな……
本当何なんだろう…

「?」

隣が動いた気配がしたから…

「……」

タオルから顔を出したら目の前に彼の顔が…

「んっ!!」

有無も言わさずのキスだった。

「…ふ…ぅ…ンッ…」

これは…どんな名目のキスなんだろう…なんてそんな事を考えてた…

「チュッ…」
「んん…ン…」

最初は啄む様なキスも今は結構な勢いで2人共舌を絡ませあってる気がする…
これは…何の為のキス?

「ンッ……ンッ…は…ぁ…」

息が苦しくて…

「はぁ……ちょっと…まっ…ンンっ!!」

また強引に口を塞がれる。
私は体育座りのままで彼はそんな私の身体を両手と膝を床に着いて
私を壁に押し付ける様にキスをする。
後頭部に壁がゴツゴツと当たる。

「…うぅ……」

彼の舌が逃げる私の舌を追いかけるから…

「逃げない…」
「!!」

ホンの一瞬の間で彼のそんなセリフが聞こえた。

「ンッ!」

また強引で逆らえないキスが続く…私の口の中は一体どんな事になっちゃってるのか…
考える前に頭の中が真っ白になりそう…

「ぷはっ!!ス…ストップ!!」
「……む…」

そう叫んで彼の顔を手の平で押し戻した。

「もう…どう言うつもりよ!さっきから!!」
「……さあ…自分でもわからない。」
「は?」
「ね…」
「なに?」
「この気持ちは……なんなんだろう…」
「あ…んっ……」

また息が詰まるほどのキスが始まる…
床に着いてた彼の両手はいつの間にか私が逃げられない様に両手で頬を挟んでた…

「……ふぁ…」

やっと彼の唇が離れる…
でも私のオデコには彼のオデコがくっ着いたままで…唇はくっ着きそうなくらい近い…

「キスされた?」
「………」

フルフルと首を振って上目使いに彼を見上げた。
瞳と瞳がすごく近い…

「身体触られた?」

またフルフルと首を振る…あ…でも…

「こっちの首だけ?」

目の前の彼の視線が私の左側の首を見る。

「………」

またフルフルと首を振った…!!…って…直ぐに失敗したと思った。

「反対もやられたの。」
「あの…ひゃっ!!」

私の言葉なんて聞く前に彼の頭が今度は私の右側の首に滑り込んで唇を押し付けられた。

「……や…」

ちゅう…と首の肌が吸われるのがわかった…

「あ…」

また力が抜けちゃう…だから彼の腕をぎゅっと握りしめて耐えた…
間宮さんに触れられた時は嫌だったのに…

「ペロ…」
「!!!」

舐めた!今度は舐めたわよ…この男!!

「ちょっと!!さっきから…」

「あんまり無防備だと怒るよ。」

「…は?」


「良くわからないけど奈々実さんがオレ以外に無防備だとイライラする。」





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