次の週の土曜日に約束通り彼がウチの親との初のご対面を果たした。
年下と聞いていた親がまさか現役の高校生だとは思ってなかったらしくて……
まあ当たり前って言えば当たり前よね……
きっと同じ会社の年下くらいに思ってたんじゃないかしら……
最初の言葉は 『まさか子供が出来たって言ってあんたから結婚迫ったの?』 なんて言われる始末……
『そんなことあるわけないでしょ!』 とムキになって反論すると
『その手があった』 なんて彼が言い出して安奈が大笑い。
あるわけ無いじゃない!まだそう言う関係じゃ無いんだから……
不思議なことに彼とはまだそんな関係になってないのよね……ってそれは今は置いといて……
やっぱり 『まだ早いんじゃないか』 とか 『三宅君には他に歳相応の相手がいるんじゃないか』 とか……
とにかくウチの親は彼に諦めさせようとしてた。
でも彼はその度にあのいつもは見せない笑顔を振り撒いて……
『どうしても奈々実さんと結婚したいんです。他の誰かにとられる前に結婚と言う形をとりたい』 と
真剣な顔なのかいつもの無表情なのか……そんな顔で言い切った。
『ご両親は何て?』
ついに来たかその質問……そうだよね……それも大事だよね。
『オレの意志を尊重すると言ってくれています』 と彼は答えた。
反対……されなかったのかな?確かお母さんからお父さんに話してくれるって言ってたけど……
『色々ご心配なところはあると思いますけどオレは真剣です。
1分でも1秒でも奈々実さんと離れていたくないんです。お願します』
そう言い切って私の両親に頭を下げる彼と一緒に私も 『お願します』 と頭を下げた。
『ツバサは見た目こんなだけど結構骨のある男だし面白半分でこんなに早い結婚言ってるんじゃないと思う。
そんな事言える男じゃ無いから信用できるよ』
安奈が横からそう言ってくれて……
『学生結婚なんて結構いるよ。それにお姉ちゃん早くしないと三十路なって子供産むのもどんどん遅くなるよ。いいの?』
トドメとばかりにそんな事まで言ってくれた……両親は無言。
『経済面は大学のお金はツバサの両親が出すんだし……
お姉ちゃんは働いてるしツバサだってこれからバイトなりすればどうにかなるでしょ?
私はお姉ちゃんのウエディングドレス姿が早く見たいのよっ!!結婚だよ?結婚!お父さんお母さんわかってる?
お姉ちゃんが結婚するんだよ!!これ逃したら一生無理かもしれないよ!
若い旦那でしかもツバサの方がお姉ちゃんにゾッコンなんてホント無いよ!!』
ありがとう安奈……でもね……
応援してくれてるんだろうけど……なぜかどこか引っ掛かるのは気のせいかしら?
その後も色々話し合って……
やっぱりうちの親は彼の年齢とこれから大学に通うと言うのがネックだったらしい。
『彼の傍にずっと一緒にいたいの』
私は自分でも驚くほどにそんな言葉を堂々と親に向かって言い切ってた……
でもそれは彼が望んでたことだし……そう思ってて欲しいと言われたから……
最初は結婚なんて……って思ってたけど……
彼が遊び半分じゃ無いのはわかってるしどれだけそうしたいか理解してるつもりだから……
だから私もちゃんと自分の意志を両親に伝えなきゃと思って……
『それなら結婚前提でお付き合いすればいいんじゃないか?』
と当たり前だけど本当なら彼が大学を出るまで待てば良いんじゃないかと突っ込まれた。
『それはオレが我慢できません。結局同じ事です。だったら夫婦として同じ時間を過ごしたいです』
もう彼のそんな言葉に私は驚くやらビックリするやら……
普段の素っ気ない態度の彼は一体何処に行っちゃったんだろう?なんて思うほど。
変な話だけど……彼は本当に私との結婚を真剣に考えてくれてて……
そんなにも私と一緒に過ごす時間を大切に思っててくれてたんだろうな……って思う……
何だか嬉しいけど恥ずかしいような……
『2人の気持ちはわかった……後は彼のご両親と話してみてからだ』
最後はお父さんがそう言ってくれて……納得してくれたのかしら?
そう言えば途中から彼に結婚を諦めさせる言葉を両親は言わなくなった。
『後はツバサの両親が反対しなければ多分お父さんもお母さんも納得しそうだよ』
って後で安奈が教えてくれた……
そして……お正月に彼の両親がこっちに来る事になって……
私の親に会う前に私に会うことになってるから……彼はその事を言ってるのよね……
今度は私が彼の親と初対面!!
これが緊張しないでいられますかって言うの……
街中クリスマスに向けてのディスプレイ一色なのに……私はそれどこじゃ無いのよ!!
今から彼のご両親に会うのにドキドキしてて……
「ウチの親は多分大丈夫だから。この前ちゃんと話してオレの意志を尊重してくれるって言ってたし」
「それって本当なの?」
私は疑いの眼差し……確かについ先日彼は両親の元に1人で出掛けて行った。
そこで彼は両親の承諾を得たらしいんだけど……本当かしら?
だって彼の話だけで本当のところはわからないもの……
もしかして反対してるかもしれない……
「あのさ。反対してたら奈々実さんの両親や奈々実さんに会いになんて来ない」
「そうだけど……心配……」
「大丈夫だよ。今うち結婚ラッシュらしいし」
「え?」
彼がそんな事をポツリと呟いたから思わず彼の方を見上げた。
彼はそんな私をちょっと微笑んで見つめてる……
「それってどう言う……」
「いい加減離してよっ!!」
彼に問いかけようとした時女の子のそんな声が聞えて思わずその声の方に顔を向けた。
だって……その声に聞き覚えがあって……と言うか忘れることなんて出来ない……
あの声は……文化祭の時私に詰め寄った……
彼のクラスメイトの女の子の声だったから……
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