ひだりの彼氏


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そりゃ覚悟はしてましたよ。

告白されて付き合いが始まって……それと同時に結婚だって決まってて……

彼のことだって子ども子どもと私は言ってたけど高校3年生は身体はもう
立派な大人だと思うし私なんて言うまでもなく世間一般から見れば大人の女だ。

そんな関係の2人が半同棲生活を送ってれば自然とそんな関係になるもんだろうとは思ってたから心の準備はしてた。

つもりなんだけど!!

今までそんな素振り全然見せなかったから頭の片隅に追いやられてたのに……
どうしてこんな急展開でこういうことになってるんだか??

何か彼の気持ちを後押しするようなことがあったのかしら?

あ!……そっか…自分のせいなのか……な?私って鈍すぎ?


「あふ……」

もう……勘弁してと言いたいほど彼は私の全身をくまなく確めてる。

唇のキスから始まって首にキス……その時なんとなくキスマークをつけられた気がする……

その後は鎖骨にもキスマーク……

いつの間にかパジャマも下着も脱がされてて…私ってば今生まれたままの姿なんだよ…ね?

情けないことにあんまりにも深い深いキスをされて何も考えられなくちゃって脱がされたことに気づかなかった……

やっぱり絶対慣れてると思うんだけど彼はこれが初めてって言った。

本当だろうか?彼の無表情からはそれが本当かどうかわからないけどそんな事で
ウソをついても仕方ないから本当なんだろうと思う。

ってそんなことよりも!身体変になっちゃいそうなんですけどーーー!!!


「はぁ……はぁ……ちょっ……」

彼はただ私の身体を自分の唇と舌と手で確めてるだけなのに……
でも私の身体の隅々まで触って触れて……時々納得したようにキスマークをつけていく。

流石に腿の付け根の内側に彼の唇が触れたときには焦ったけどその奥には彼は進んでこなかった。
ホッとしたような……焦らされてるような……

とにかく彼はくまなく私の身体を攻略していってるみたい……

「ハァ…ハァ…も……やめ……」
「やめない……まだ奈々実さんの身体全部確めてない」
 
うつ伏せにされて項に唇を押し付けながら彼が話すから項から全身にゾクゾクしたものが走って肩を窄めた。

「奈々実さんの感じるところ知りたい」
「ひゃっ!あっ!!あん!!」

項から腰まで一気に背中を舌で舐められて同時に両方の脇の下から脇腹まで軽く触れた指先で撫でられた。

さっきからずっとそういう優しい感覚で全身を弄られてるから身体中がピクピクと落ち着かない。

しかも彼ってば未だに服も脱いでないから余裕に見えて癪に障るのも事実!

「ちょっとだけ奈々実さんの感じる場所わかった」

マジですか!?

ってこんだけいいように翻弄されればわかっちゃうかな?
いくら初めてって言われてもこれじゃ 「経験済み」 でも通じる気がする。

普段惚けた彼でもさすが男の子?さすが現役男子高校生??

しっかりと一人前の男の子だった!!


気にしてなかったわけじゃないけど普段の彼からそんな 『性欲』 なんてものを感じてなかったから
不意を突かれた感が否めない。

彼の私の身体を確めるという行為はまだまだ続くんだろうと思われる。
だって今やっと腰の辺りに彼の唇と舌が下りてきてどうやらまた1つキスマークが増えたらしい感触が身体に伝わった。

「ふ……ぅ……」

優しく扱われてるな……
なんて思いながらうつ伏せのままシーツを両手で握り締めて自然と目を閉じた。

目を瞑ったままの私にうしろから触れるだけのキスを彼がしてくれて私もそんなキスにこたえる。

考えてみたら彼にハッキリ好きだと言われたことがない。

彼の幼少時代のせいだけど……
なんて言ってる私も彼に好きだと言ったことがあったかな?と今さら思った。

なのにすでに結婚も決まっててお互いの気持ちも言葉で確かめてないまま一線を越えようとしてる。

でも 『女子は嫌い』 と断言する彼がほとんど一緒に暮らして結婚まで考えてなおかつ身体の関係まで
深めようとしてるなら 『好き』 と言う言葉がなくても彼の気持ちを疑おうとは思わない。

「ふふ……」
「なに」

背中から抱きしめられて頬に唇が触れる。
裸の身体を抱きしめられてちょっと恥ずかしかったけど…まあ今さら?
身体を捻って後ろから抱きしめる彼と向かい合う。

「あなたは不安にならないの」
「?」
「私があなたのこと……好きかどうか……考えたことないの?」
「なんで。今さらだと思うけど」

じっと目を逸らさずに見つめられる。

「お互いそういう気持ちじゃないと一緒にもいることはないと思うし結婚もしたいと思わないだろうし
こんなこともしないと思うけど」

そう言うと彼が舌を絡めるキスをする。
そうだよね……彼は今まで女の子を好きになったことがないって言ってた。
未だに私のことを好きだとは言ってくれないけど彼は彼なりの言葉で私のこと 『好き』 だと言ってくれてた。

ちゃんと私はわかってて……ちゃんと受け取ってるよ。

まあ素直じゃない時もあるけど……


「ハァ……これは…キス?」

散々お互いが夢中になるようなキスをしたのに私は彼にそんなことを聞く。

答えはわかってたけど彼に答えてほしかったから。

「キスだよ。今日はずっとキス」
「ん……」


私は返事をしたあと静かに目を瞑る……


それからまた満足するまで彼とのキスを繰り返した。





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