ひだりの彼氏


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「あふ……」

さっきからずっとオレは奈々実さんの全身をくまなく確めてる。
唇のキスから始まって首にキス……その後は鎖骨にもキス……触れる場所に必ずキスマークをつけた。

いつもするキスよりもずっと深い深い舌を絡ませるキスをしながらパジャマも下着も脱がしても
奈々実さんは気付いていないのかなにも抵抗しないでされるがままだった。

今…奈々実さんはオレの下で生まれたままの姿だ。
絢姉さんの時は別に見たいとも思わなかった…目の前に裸の身体があったのにオレの視界には入ってなかった。

でも…今目の前に晒されてる奈々実さんの裸は目を背けることなんてできないくらいオレを惹きつける。
いつも服越しに触れてた奈々実さんの身体…

自分の身体で奈々実さんの身体を確かめることにオレはなんの躊躇いも迷いもない。

「ハァ…ハァ…も……やめ……」
「やめない……まだ奈々実さんの身体全部確めてない」
 
うつ伏せにした奈々実さんの項に唇を押し付けながら話しかけると奈々実さんがフルっと震えて肩を窄めた。

「奈々実さんの感じるところ知りたい」

そう…もっともっと知りたい。
オレを意識させる奈々実さんのことがもっと知りたい。

かなりの時間確かめてたらしい。
奈々実さんが根をあげだした。
そんなにかな?オレにしてみたらまだまだ足りないくらいなのに。

「ひゃっ!あっ!!あん!!」

項から腰まで一気に背中を舌で舐めながら同時に両方の脇の下から脇腹まで軽く触れた指先で撫でた。

さっきから意識して優しい感覚で全身を弄ってる奈々実さんの身体がピクピクと落ち着かない。

「ちょっとだけ奈々実さんの感じる場所わかった」

何ヶ所か触れると明らかに奈々実さんの反応が違うから何となくわかる。
そう言うと奈々実さんが焦った顔をする。
なんでだ?


「ふ……ぅ……」

細心の注意を払いながら奈々実さんに触れてるとうつ伏せのままの奈々実さんがシーツを
両手で握り締めて目を閉じてた。

そんな目を瞑ったままの奈々実さんに後から触れるだけのキスをすると奈々実さんも応えてくれる。

「ふふ……」
「なに」

唇にキスをしたあと奈々実さんが小さく笑い出した。
背中から抱きしめたまま頬に唇が触れるだけのキスをする。
途中まで脱がずに奈々実さんの身体を確かめてたけどせっかくの奈々実さんの素肌を
洋服越しなんて勿体無いよね?なんて思ってあっさりと服を脱いだ。

お互い裸の身体で抱きしめあうと奈々実さんは最初恥ずかしかったみたいだ。

でも今は身体を捻って後ろから抱きしめるオレと向かい合う。

「あなたは不安にならないの」
「?」

なにに?

「私があなたのこと……好きかどうか……考えたことないの?」
「なんで。今さらだと思うけど」

不安そうな…それでいて何も疑っていないような瞳で見つめられる。
そんな瞳とさっきのセリフで目を逸らすことなんて出来るはずもなくじっと奈々実さんを見つめてた。

「お互いそういう気持ちじゃないと一緒にもいることはないと思うし結婚もしたいと思わないだろうし
こんなこともしないと思うけど」

好きと言う言葉を使わないオレに奈々実さんは不安を抱いてるんだろうか?

そう答えて舌を絡めるキスをする。
言葉で表さないとダメなのかな…オレの気持ちの変化を奈々実さんは感じて受け止めてくれてないの…

「ハァ……これは…キス?」

散々お互いが夢中になるようなキスをした奈々実さんがオレにそんなことを聞く。

奈々実さんには答えがわかってる…
たけどあえてオレに聞くってことはオレに答えてほしかったから。

奈々実さんはちゃんとわかってくれてる……
時々天然でトロイところもあるけどオレにはそんな奈々実さんがいい。

「キスだよ。今日はずっとキス」

そんなの当たり前でしょ。
たいぶ前から奈々実さんとは 「キス」 しかしてない。
まあ口移しもあったけどね…あれは別口。

「ん……」

奈々実さんが短く返事をしたあと静かに目を瞑る。

それからまた満足するまで2人でキスを繰り返した。


「もっと奈々実さんの感じるところ確めたいけどいい加減にしとかないとね」

そう言ってクスリと笑うと奈々実さんが一瞬動きを止める。

「奈々実さん」

名前を呼びながらオレの手の平を奈々実さんの身体の上にゆっくりと滑らせる。
滑らかな肌にほど良い温度に手触り……

「……ンア!!」

下半身に辿り着いた手の平から指をゆっくりと奈々実さんの身体の中に沈めると
ぎゅっと目を瞑って顎が軽く上にあがった。

「痛い?」
「大……丈夫……んっ……」

大丈夫だろうとなんの迷いもなく指を奈々実さんの中に入れたけど奈々実さんのそんな態度に
聞かずにはいられなかった。

大丈夫と囁いた奈々実さんのそこは潤っててあたたかかった。

でも奈々実さんはオレのそんな迷いのない動きにちょっとビックリしたらしい。

「ヒヤッ!!あっ…」
「ここ?」

入れた指を動かすと奈々実さんがまたいつもと違う反応をする。
だから奈々実さんの中の感じるところがわかって思わず確かめた。

奈々実さんは誤魔化そうとしてるのかなかなか答えない。

「あっ…あ!」

返事を待たずに指を動かし始めると奈々実さんは過敏に反応する。

「やぁ……フゥ…ンッ!」

奈々実さんの声を聞いてるだけでジッとしていられなくて思わず口を塞いだ。

「ンン!ん…んっ…」

奈々実さんの口を塞ぎながら親指で外側の芽を人差し指と中指で奈々実さんの中を攻める。

その指の動きに奈々実さんの中がどんどん潤ってきてそんなオレの指の動きに
奈々実さんは身体をクネらせる。

「……んあ……」

唇から離れると熱の篭った息が奈々実さんから洩れた。

「奈々実さんをもっと知りたい」

それは本心で自分でも信じられないくらい奈々実さんを求めてる。

そのあと以前須々木から強引に渡されたものを隠してたベッドの下から出すと
奈々実さんは思いのほか驚いたみたいだった。

ほとんど同棲状態で準備してない方が珍しいと思うのに奈々実さんは驚いてた。
まあオレが用意したわけじゃないんだけど。

奈々実さんは使わなくて大丈夫と言ったけど最初は使うことにした。
なんとなく最初から奈々実さんの身体をベタベタにすることにあまりいい気持ちがしなかったから。
いちいち身体を綺麗にする時間も手間も勿体無いと思ったし。

最後の方ではそれは使わずにそのまま2人でシャワーを浴びるのもアリだと思った。


「最後はなしでする」
「は?」

ちょっと不服そうな奈々実さんにそう宣言したら今度はナゼか悩んでるみたいだったけど
そんなことは気にしない。

「ちゃんと最後まで付き合ってね。奈々実さん」

そうこれからが本当に大事な時間なんだからさ。

「さて続き」

「あ!」


そう言って奈々実さんの胸に顔をうずめてまたオレの唇と舌と手の平で
奈々実さんの身体を確かめ始めた。





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