ひだりの彼氏


85




「あ…」

十分奈々実さんの身体を自分の身体で確かめてクッタリとしてる奈々実さんの両足に手をかける。
大きく広げると流石に奈々実さんがピクリとなった。

「はうっ!!!」

なんの迷いもなく十分潤ってる奈々実さんを一気に貫いた。
乱暴でもそれほど勢いがあったわけでもないのに奈々実さんの身体がグンッとオレと一緒に持っていかれる。

「ンア!!……あ…あ…」

キツイ…でも…

「や……痛……」
「痛い?」

多分初めてではないはずでだから痛いと言われて思わず動きがとまる。

「……だ…って……あ……」

ぎゅっとオレの首に廻されてた奈々実さんの腕に力が入って引き寄せられた。
もしかして……

「ああっっ!!」

じっとしてられなくて体勢を変えて奈々実さんを押し上げた。
奈々実さんの身体が動けないように両手で奈々実さんの腰を掴んで引き寄せたら
かなり奥まで奈々実さんの中に入り込めた。
それなのにまだ足りなくて奈々実さんの中にオレを感じさせるようにさらに追いつめる。

初めての奈々実さんの中は指で感じたよりも温かかくて柔らかくて気持ちがいい。

「う……く…ぅ……」

奈々実さんには辛いのかずっと眉間にシワがよってる。

「ン……ちゅっ…」

それを紛らわせるように積極的なキスを奈々実さんとすると奈々実さんの身体の中が
ゆっくりと溶けだしてるみたいに解れた。

「はぁ…」

絡ませた舌を離すと奈々実さんが小さく息をついた。

「もしかして久しぶりなの?奈々実さん」
「……」

そんなオレの問い掛けに奈々実さんは無言。
オレと知り合ってから約半年……その間奈々実さんがオレ以外の男と接触した感じはない。
あのキスマークの時もそこまでは無かったと思う。

ということはオレと知り合う前からかなりの期間誰とも何も無いってこと?

奈々実さんは恥ずかしそうに黙ったまま……やっぱりこういうことをするのは久しぶりなんだ。

「そう」

オレの短い返事に奈々実さんはまた無言。
恥ずかしがることなんてないのに…

「奈々実さん……」
「……」

繋がったまま奈々実さんをぎゅっと抱きしめてそっと頬にキスをした。

「オレ奈々実さん以外無理」
「……え?」
「こんなこと他の女子とは出来ないし…したいと思わないし…生理的に無理」
「……」
「きっともの凄い拒絶反応起こす」

それは本心でウソ偽りのない言葉だ。
女子に興味なんてなかったむしろ嫌悪してるといってもいいオレが「触れたい」「欲しい」と
思ったのは奈々実さんだけだ。
こうやって奈々実さんを抱いた今余計にそう思う。

奈々実さんだけ……奈々実さん以外絶対無理だ。

「うん」

奈々実さんが返事をしながらオレの頬を両手で触れると視線を合わせてニッコリと笑った。

「奈々実さん顔赤い」
「うるさい……」

自分からしといてそれってどういうことなんだか。
相変わらずな奈々実さんだよね。

「アンッ!!」

ジッとしてるのはおしまいとばかりにオレはまた動き出す。

「あっ!あっ!あっ…んああ!!」

初めて聞く奈々実さんの声…初めて見る奈々実さんの顔。
知識ではあったけど実際に奈々実さんの中に受け入れられるとこんなにもあったかくて
気持ちのいいものだとは思わなかった。

だから勝手に身体が動いて奈々実さんを求める。

奈々実さんが欲しくて欲しくて…
でもどこか冷静なところもあってどこをどんな風に攻めたら奈々実さんが感じるのか確かめてる自分もいる。
大きく動いて奈々実さんを押し上げる方が奈々実さんは感じるらしい。
だから奈々実さんが望むように動く。

「やっ!!あっ!!あっ!!」

抱きしめて背中に廻した腕で奈々実さんの肩を押さえ込む。
押し上げられる奈々実さんの身体は逃げる場所がなくてただただオレを受け止め続ける。

オレの耳には奈々実さんの声と息遣いしか聞こえない。
本当はかなりの大きさのベッドが軋む音がしてたはずなのに。

「ひんっ!!あっく!!」

ああ…奈々実さんってば辛いのかな?そんな声だ。

「あっあっあっ……!!」

それでもオレは動くことをやめない。

「ンア!?」

奈々実さんの膝の後に腕を通すとそのまま上に引き上げる。

「あああ!!やあっ!!」

体重をかけて押し上げたら奥まで届いたのがわかる。
奈々実さんの声が一層大きくなってうるんだ瞳がより潤う。

「やっ!ダメ!!ダメ!!やだ!!」

なにがダメでやなんだか。
オレに抱かれること?強引に攻められること?
悪いけどどっちもやめる気なんてないよ。奈々実さん。

「やぁ…うっ…ンン!!」

そんなことを思いながら奈々実さんに今までで一番乱暴なキスをした。
普段の自分からは想像出来ないほどの気分の高まりがさっきから抑えられない。

やっぱり奈々実さんは違う……

「うぅ……んっんっ……」

何度も角度を変えてキスする……
ずっと続けていたいキスだったけど奈々実さんが苦しそうで離れた。
でも奈々実さんを攻めるのはやめない。
ずっと奈々実さんはオレに身体を大きく揺さぶられ続けてる。

「名前…呼んで…」

これはオレの願い。

「……?」

奈々実さんは閉じてた目をちょっとだけあけてオレを見つめる。
でもその瞳はなんとなく焦点が合ってなくてなんとも頼りなさげだ。

「オレの名前呼びながらイって」
「名……前?」
「そうオレの名前」
「……」

オレの名前……約束したのに奈々実さんはオレの名前を呼んでくれない。
どんなプレイ?オレを焦らしてるんだろうか…
って奈々実さんがそこまで考えられる人じゃないから諦めるしかないんだけど
自分でもなんでこんなに奈々実さんに名前で呼ばれることを望むのか…

「ツバ…サ?」

遠慮がちに呼ばれた名前だけど奈々実さんがオレの名前を呼ぶだけでホッとする。

「もっと呼んで」
「アンッ!!」

言いながらもっと呼んでほしくて体重をかけて奈々実さんを押し上げる。

「はぁ…はぁ…あ…ツバサ…」
「もっと」

そうもっともっとオレの名前を呼んで。
呼ばれる度にギシギシとベッドが大きく軋む。

「あっあっあああっ!!翔!翔!」

「奈々実」

名前を呼び合うだけで今まで以上にお互いが激しくなる。

オレだけでこんな奈々実さんになってほしいと思う。
何事にも無関心だったオレの初めて傍にいたくて傍にいてほしいと思った人。

オレに乱れながらオレの名前を叫んでオレにしがみついてくれる。
奈々実さんが大きな声で叫んでのけ反った。

びくびくと強張った奈々実さんの身体がフッと緩んでベッドの上でクタリとなった。
そんな奈々実さんの視線がなんとなく責めてるように見えるのはスルーする。

「はぁ…はぁ…はぁ…んっ…ケホッ…」

放心状態だった奈々実さんから離れて自分の後始末をしてまたすぐに奈々実さんの上に覆いかぶさる。
奈々実さんの身体を跨ぐようにベッドに肘をついて見下ろした。

「大丈夫」
「……」

奈々実さんの身体を気遣って声を掛けたのに奈々実さんはオレを見てナゼかムッとしてる。

さっきまであがってた息も落ち着いて奈々実さんを観察するとまだムッとしてるみたいだ。
わけがわからない。

「……」

ベッドに肘をつけながら頭だけ奈々実さんの胸の上にコテンと乗せた。
けだるそうにしてた奈々実さんは動かずにオレを受け止めてくれる。
奈々実さんの呼吸に合わせて頭が上下する……それだけでオレは癒される。

「はぁ……」

思わず溜息をついた。
本当になんなんだろう…奈々実さんって人は。

どれだけオレに影響力があるんだ……

「奈々実さんの感じるところわかった」

「は?」

顔を上げてそんなセリフを言うと奈々実さんがハテナって顔をする。

「今度はそれを生かす」
「へ?あっ!ちょっと!!」

オレがそう宣言して上半身を起こす。
奈々実さんの膝を両手で掴んで折り曲げて何の躊躇もなくグイッと大きく広げた。

「きゃあああ!!ちょっと何するのよ!?」

奈々実さんが慌てて叫ぶ。
そんなに慌てることかな?今さらだと思うけど。

「さっきは奈々実さんを探りながらだったから。
でもそれで奈々実さんの感じるところわかったから今度は大丈夫」

「は?」

なにが?って顔してる。

「奈々実さんに失望されないように頑張る」
「え?なに?何言って……ンアっ!!」

きっと今奈々実さんの思うことは多分オレとは違うことだと思う。

でもオレはそんな奈々実さんを傍に感じたくて離したくなくて繋がりたくて…
奈々実さんの中にいきなり入り込んだ。
それだけで奈々実さんの身体がオレに反応してピクピクと震える。

「ちょっ…まさかまだするつもりじゃ…」
「オレ経験ないから何度も復習しないと覚えられない。ああ予習も必要か」
「はあ?」
「ちゅっ」
「!!」

自分でも理由にも何にもなってない気もするけど気にしない。

何か文句を言いたげな奈々実さんのオデコにキスをした。
奈々実さんがどう思ってるのかわからないけどオレはまだ満足してないしやめるつもりもない。

そんな雰囲気に気付いたのか奈々実さんがうろたえる。


オレはそんな奈々実さんを見て見ないふりをして大きく身体を動かし始めた。





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