Love You ! 番外編 智鶴が水着に着替えたら?






「あ!これ可愛いかも!レンジさんこれってどうですか?」
「あぁ?」

夜のリビングのソファで久しぶりのオフを寛いでたレンジさんにソファの目の前にあるテーブルに
パソコンを載せて絨毯の敷いてある床に直接所謂アヒル座りをしてた私は顔だけレンジさんに向けて呼び掛けた。

「どれ?」
「ビキニタイプですけどそんなに大胆なビキニじゃないしスカート付きなんでお尻も隠れるし」

私は人の目を気にしてそう言ったんだけどなぜかレンジさんが微妙な顔をした。
(智鶴はレンジが智鶴限定のお尻フェチだとは知らない ♪ )

「上流されんなよ」

レンジさんがまるで小さな子供でも見るような視線を寄こす。

「な!?何言ってるんですか!漫画じゃあるまいしそんな波にさらわれてぷかぷかビキニが
浮いてるなんてコトありません!」
「そうか?智鶴ならありえそうだけどな」

もう!なに薄っすらと笑ってるんですか!ヒドイです!!

「どんな認識してるんですか!」
「で?なんだって」
「水着です!水着!!新婚旅行で着る水着を探してて…これなんてどうですかね?」

結婚式が終わってレンジさんの仕事が一段落したから新婚旅行に行くことになった。
場所は楠さんお勧めの 『タヒチ』 。
海が綺麗でイルカと遊べて食べ物も空気も美味しいって ♪
もちろんビーチもあるからそのための水着を買おうと思ってパソコンで探したってわけで…
季節がズレてるからパソコンの通販で探して目に留まったのがあったからレンジさんにも
見てもらおうと思ったのに……話が変な方向に…

見つけた水着はビキニタイプだけどスカート付き。
柄は小さなお花がちりばめられて派手すぎず地味すぎずと言い方を変えれば普通と言うのか…

「どうですか?」
「いいんじゃね」
「本当ですか?」
「まあどうせこの上にパーカーなりシャツなり着るんだから大丈夫だろ」
「え?」

それって……水着まるっきり見えなくないですか?

「向こうには軟派なイルカと軟派な外国人がいるらしいから用心しろよ智鶴」
「へ?」

軟派な外国人は何となくわかるけど…軟派なイルカって??

「智鶴はどっか抜けてんだから俺の傍から離れんな」
「ぬ…抜けてなんていませんよ!もう!!子供じゃないですからね!!」
「ふ〜ん」
「な…なんですか?」

レンジさんが読んでた雑誌をパサリと目の前のテーブルに置いて私の顔をソファに座りながら覗き込む。

「大人の智鶴見せてくれよ」
「え?」
「確かに俺の相手してくれる時は大人か」
「え?あ…ちょっ……レンジさん?」

私のブラウスのボタンに背中からレンジさんの手が掛かる。

「レンジさん!」

私は逃げるように前を向いて上からレンジさんの手を掴む。
けどそんな仕草もなんのそのでレンジさんはなんの抵抗もなくボタンを外し続ける。

「あ…ダ…ダメです!まだ注文……して…な…」

外したブラウスの前からスルスルとレンジさんの手が入り込んで頬と耳朶にキスと舌が触れる。

「久しぶりの休みなんだぞ…智鶴…ゆっくり智鶴を味わいてえ」
「は…ぁ……やぁ……」

ちゅっ ♪ っとリップ音が何度も続いていつの間にか肩からブラウスが落とされた。

「んぁ……あっ!」

後ろから脇の下にレンジさんの手が差し込まれたと思ったらグンと後ろ向きのままソファに引き上げられた。
そのままレンジさんの足の間にチョコンと座らされる。

「あ…の…ひゃっ!」

ブラも簡単に外された。
ハラリと腕から肩紐が落ちる。

「や…」

レンジさんが素早くそのブラを掴むと私の身体から引き剥がして床に投げた。
私は咄嗟に両腕で胸を隠そうとしたけどその腕をレンジさんに捕まれて下におろされる。
上半身だけ裸で明るい照明の下で恥ずかしい…

「レンジさん…ヤです…恥ずかしい…」
「なんで…」
「だって……あ…」

両腕を後ろに持って行かれてレンジさんの片手で押さえられた。

「レンジ…さん?」
「智鶴…」
「ふぁ……やんっ!あっ!あっ!」

レンジさんの空いてる手がスルスルと脇から上がって胸を下から救い上げるように揉まれて身体がビクリと跳ねた。
胸の先も摘まれて余計に身体が震える。

「智鶴」
「ひゃっ……は…はい…」

耳の中に直接レンジさんの低い声が囁かれて身体中がゾクゾクとざわめく。
時々レンジさんの甘い囁く声は私にとって甘い凶器になる…

そんな声…他の誰にも囁かないで欲しい……なんて…
以前付き合ってた元カノさんにまで嫉妬しちゃいそうなほど…

「そろそろ子供ほしいな」
「え?」

思わず頭を捻ってレンジさんを見上げた。
いつもの男前のレンジさんの顔がとっても近くにあってドキリとなる。

「……子供?」
「ああ…智鶴は嫌か?まだ早えぇか?」
「……いいえ……私も……レンジさんとの赤ちゃんが…ほしいです……」

きゃああああ〜〜い…言っちゃった!!

「じゃあいいな」
「はい……」

私の胸にあったレンジさんの手が顎に触れて優しく持ち上げる。
ちょっと無理な体勢だったけどレンジさんと長い長いキスをした。



「んっ……はぁ……はぁ……」

どれだけ長いキスをしてたんだろう…離れた時私の息は上がってた。

「ちゅっ……ちゅっ……」
「んん……」

そのままレンジさんの唇が私の肩に触れて項に触れて……

「ちょっと身体が冷えたな…智鶴…俺があっためてやる」
「は…い……あんっ!」

耳朶をパクリと甘噛みされて舌の先で耳の穴と耳の形をなぞるように舐められた。
寒いわけじゃないのに……身体がフルフルと震えちゃう…

「レ…ンジ…さん……」

スカートの裾からレンジさんの手がスルスルと入ってきて腿を撫でながら上がってくる。

「ひゃっ……や…ダメ……ダ……」

レンジさんの指が誘うように動くから思わず腰がモジモジと揺れちゃう…

「本当…に……恥ずかしい…から……レンジさん…」
「ここではこのままだ…智鶴」
「ええ?このまま……」

こんなに明るいまま?

「うっ……あうっ!」

腕はレンジさんに後ろで捕まえられてて腿の付け根にはレンジさんの手があって…
指先は私の身体の中をゆっくりと優しく動く。
私は大きくのけ反って刺激に耐える。

「はぁ…はぁ……アッアッアアっっ!!!」

ちょっと…指で触られただけなのに…身体はすぐにレンジさんに反応しちゃう。
確かに久しぶりといえば久しぶりなんだけど……

身体から力が抜けるとストンと仰向けにレンジさんの腕の中に倒れ込んだ。

「ちょっとは身体あったまったか?」
「……は…い…」
「そうか……じゃあ今度は俺が智鶴であったまるかな」

レンジさんの腕の中で見上げて見えたレンジさんの顔はとっても優しい…

「……はい……」

少し屈んで私を覗き込んでるレンジさんの首に腕を廻して引き寄せる。

レンジさんはまたニッコリと微笑んでくれて……

いつの間にか私から脱がしたスカートと下着がパサリと床に落ちた。






「きゃあ〜〜〜 ♪ ついに来ました〜〜〜 ♪ 」

受け取った小さめなダンボール箱をベッドの上に置いて小躍りしてる私。

注文して3日目…頼んだ水着が届いた。
逸る気持ちを抑えて包みを開けながらワクワクする手てダンボール箱の蓋を開ける。

中には確かにパソコンの画面で見た水着が入ってた。

「ほえ〜〜同じだ…」

って当たり前なのに…通販は初めてじゃないくせに…なんでこんなに浮かれてんのかしら?

「さて…サイズ合うか試してみなきゃ」

一応自分のサイズで買ったけど直接選んで買ったわけじゃないから実際着てみたら思ってたのと違ってたなんてあるし…

寝室の時計を見るとレンジさんが帰るって言ってた時間にはまだ余裕がある。
だから試着してみることにした。


「おお〜〜〜 ♪ 大丈夫みたい」

ビキニの上も胸のところはブカブカでもしないしキツクもない。
スカートもウエストも大丈夫。キツクない!

「なかなか……似合う…かも?」

寝室にあるドレッサーの前で色々な角度を眺めてそう思う。

「あ!このままレンジさんにも見てもらおうかな?」

なんてつい嬉しくてそんなことを思ってしまった。
流石に裸にエプロンまでは勇気がない…でも水着くらいなら…
それにこの格好でお出迎えしたらレンジさんビックリするかな?ふふ ♪
なんてレンジさんの驚いた顔を想像してちょっと笑えた。

きっと私も浮かれてたのかも…じゃなきゃ水着でレンジさんをお出迎えなんてこと考えなかったはず…
お風呂のあとだって良かったのに…後悔先に立たずだった。

舞い上がってた私は玄関の鍵が開く音がすると寝室から飛び出した。
玄関までの廊下を走り抜けると玄関にレンジさんが!

「お帰りなさいレンジさん!どうですか?これ ♪ 」

私はこれまた調子に乗って首の後ろと腰に手を当ててポーズをとった。
よく見るポーズだけどレンジさんはびっくりした顔で固まってた。
やった!大成功!驚いてる驚いてる ♪

「智鶴…ちゃん?」
「え?」
「!!」

レンジさん1人かと思ったら玄関のドアがまた開いて…見覚えのある…そう知らないはずはない…

「く…楠…さん?」

なんで?どうして楠さんがココに?

「うらやましいねレンジ。水着姿の新妻がお出迎えなんて ♪ 流石新婚」

「 「 ハッ! 」 」

レンジさんと2人楠さんの言葉で同時に我に返る。

「き……きゃあああああああああーーーー!!」
「智鶴!?」

私は今さらながらに腕を胸の前で交差して身体を隠す。
って全然隠れてないんだけど。

「ごごご……ごめんなさい!!」

クルリと後ろを向いて走りだした。
後で思うと背中もかなりの肌露出のお尻とか生足とか丸見え状態だったはず!!

「智鶴!」
「あれれ?もうお終い?」
「惇!!見んじゃねーーー!!」

智鶴を追い掛けながら惇の野郎を指さしてクギを刺す。
後から惇の微かな笑い声が聞えた。くそっ!

とにかくびっくりだ。

智鶴があんな恰好で出て来るなんて…何がどうなってんだかわかんねぇ?
ただ惇の奴に智鶴の素肌を見られたのには変わらねぇ。
まあまだどこの馬の骨かわからない野郎じゃないだけマシだが…ったく!

「ぎゃんっ☆」
「智鶴?」

ガンッ!!という音がしたと思ったら智鶴が寝室のドアの前でうずくまってた。


「……くぅ〜〜〜☆」

ど…どうしてこんなことに…恥ずかしいったらありゃしないわ!
慌てて寝室に逃げ込む時に閉まりきってなかったドアに側面から額がぶつかった。
なんで厚さ数センチにぶつかったの?悲しすぎる…

「いた…☆」

そのままその場にうずくまる。
オデコが痛いのか他の場所が痛いのかわからないけど……でも涙は出た。

「智鶴大丈夫か?」
「……っつ…だ…大丈夫です…」
「んなわけねーだろ。思いきりぶつけただろーが見せてみろ」

うずくまってる私の隣にレンジさんも腰を下ろす。

「うぅ…」

寝室のドアの前で額を押さえてヘタリ込んでる私の顔をレンジさんが両手で挟んで上に上げる。

「腫れてんじゃねーか」
「……」

そうよね…結構な痛さだもの……
でも……前もこんなことがあったわよね……私ってば本当ドジ。

「ちゅっ…ペロっ」
「ひゃっ!」

へ?キスして…舐めた?

「舐めたら治りが早まるか?」
「え?」
「んなわけねーか。とにかく冷やすから智鶴は服に着替えろ」
「あ!」

そうだ……水着……

「俺としちゃこのままでも良いんだが今は惇がいるからな」
「そう言えばどうして?」
「久しぶりに飲もうかって話になって新婚旅行の話も聞きたかったから智鶴も一緒の方が
いいと思って誘ったんだ。連絡入れなくて悪かった」
「そうなんですか」
「まさかこんな大胆な恰好で出迎えられるとは思わなかったがな」
「え?」

レンジさんの視線が上から下にさがってニヤリと笑った。

「あっ!イタッ!」

そんなレンジさんの視線に慌てて姿勢を正したらゴンッ!と音がして今度は後頭部にドアが当たった。

「大丈夫か?智鶴」
「だ…大丈夫です…ごめんなさい…」

う〜〜情けないやら恥ずかしいやら…

「……」
「レンジさん?」

痛くて瞑ってた目をあけると照れたようなバツの悪そうなレンジさんが自分の口を手で押さえて横を向いてた。

「?」
「智鶴」
「はい」
「今夜覚悟しとけよ」
「え?」

レンジさんは横目で私を見てそう言うと立ち上がってリビングの方に歩いて行った。


「まったく…天然が……」

リビングに向かって歩きながら俺はボソリと呟く。

2度目に頭をぶつけた後…後頭部に両手を当てる智鶴は両腕を上げて胸を反ってるような格好になってた。
しかも床にペッタリと座って…おまけに水着で素肌の露出度なんてどれだけいつもより多いかってんだ。
明かるい照明の下でハッキリ隅々まで身体が見えたってのに…一瞬誘ってんのかと思ったぞ。

「狙ってねえところが怖えぇ……」

惇が来てなかったらあのまま押し倒してたっての。


リビングに入ると惇はソファに勝手に座ってた。
顔は想像してた通りニヤケてやがる。

「何ニヤケてる」
「新婚はいいな〜ってさ ♪ 」
「今日初めてだ…あんな出迎え」
「へえ〜じゃあオレってよっぽど運が良いんだな ♪ って!イテテテテテ!!!」

俺は立ったまま久々に座ってる惇の野郎のこめかみに拳をグリグリとお見舞いしてやった。

「ばっ!痛いって!!やめっ!!」

惇が慌てて俺の両手首を掴むが俺はやめねぇ。

「今すぐさっき見たこと記憶から消せ!」
「は?ああ…智鶴ちゃんのビキニの水着すが……いたたたた!!!」

また両手に力を込める。

「記憶の前にその両目潰すか?あぁ?」
「アホかっ!!わかったから離せって!」
「フンっ!」

俺は仕方なく両手を惇のこめかみから離す。

「ったく…あれはオレのせいじゃないだろ?不可抗力だっての」
「そんなの関係ねえ」
「でも羨ましいな〜由貴は絶対あんなことしてくれないからな」
「……」

ニヤニヤ笑ってんじゃねーよ。

「しっかし相変わらず色々と可愛いな〜智鶴ちゃん ♪ くすっ ♪ 」
「……」
「レンジも可愛くて仕方ないんだろ?」

そう言って座ってる惇が立ってる俺を下から見上げて顔を覗き込む。

「わかってんなら聞くんじゃねーよ」
「!!」

珍しく素直に答えたら惇の奴が驚いた顔をして……その後またクスリと笑った。


いくら待っても智鶴が来る気配がなくて水に濡らしたタオルを持って迎えに行くと
半ベソ状態でベッドの脇で膝を抱えて蹲ってた。

流石に水着じゃなかったが…まあ…気持ちはわからなくもねえが…今さらだし。
何とかなだめてリビングに連れて行った。

その後最初は恥ずかしがってた智鶴だが惇のタヒチでの話しに目をキラキラさせて聞き入ってた。
オデコにヒエピタが貼ってあるのはご愛嬌だ。
惇も気を使ってくれたしな…まあ女の扱いは良いのか悪いのか慣れてる奴だし何気に智鶴とも仲がいいらしいし。


俺はと言うと風呂に入ったあとあの水着をもう一度智鶴に着せたことは言うまでも無いだろう。

宣言通りにいつもと違うシチュエーションの智鶴をたっぷりと堪能させてもらった。

智鶴にはハードすぎたかもしれないけどな。

でも俺をその気にさせた責任はちゃんととってもらわねぇとな……智鶴。





  






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