Love You !



01




【レンジの場合】


「今時亭主関白なんて流行らないのよ!今は草食系男子が流行りなんですからね!」


レストランのテーブルで向かい合ってる恋人にそう怒鳴られた。

付き合い始めて4ヶ月仕事絡みで知り合った。

俺の名前は「 鏡レンジ 」職業は俳優。
もうこの仕事を始めて10年以上になるか?

元々グレてた俺だがそんな俺に声を掛けてくれたのが今の事務所の社長だった。
結構上下関係厳しい世界だが自分が取り組んだ分自分に返ってくるのも
大勢で1つのモノを作り上げてくのもそんな中で意見が分かれても気の済むまで
話し合ったりするのもそんな世界が面白くて興味が湧いて飛び込んで
無我夢中で1つ1つ仕事をこなして来た。

事務所の力もあったと思う。
こんな俺に仕事も入って来て今じゃ第一線で活躍してる若手俳優なんて言われ
それなりに人気もある。
そんな俺に言い寄って来る女も増えた。

こんな俺のどこがいいんだかわかんねぇ。

俺はあんまり女とは付き合ったことがねぇからどうなるかわからない
とは言って付き合い出したんだが……案の定あっという間にこの状況だ。


「はあ?俺は亭主関白なんて何1つしてないだろうが?
ただ何でよその男と夜中まで一緒にいるんだと言っただけだ!」

俺も負けじと言い返す。

「だから会社の同僚で他にも女の子がいたって言ってるじゃない!」
「俺が10時に行くって言ってあっただろ!
それに合わせて帰って来るくらいの気持ちがあってもいいだろうが!」
「いい加減気づきなさいよ!あなたといるより会社の同僚といた方が楽しかったのよ!」
「なっ!」
「もうウンザリなのよ!その上から目線の命令口調!
それに真面目なのか古いのかいちいち人の行動に口出ししてすぐにお説教じゃない!」
「お前が道理に外れたことするからだろうが!」

「とにかく!もうあなたとは無理だから!名前の売れてる俳優だと思って近づいたのに
ただの真面目な堅物野郎じゃない!女は大人しくしてろなんていつの時代の話よ!
ホント付き合いきれないわ!さよなら!」

「美佐!」

そう捨て台詞を吐かれてオレは1人テーブルに残された。

そんなハッキリ男らしいところがいいって言ったのはお前だろうが……
それに俺は女は大人しくしてろなんて言った覚えねーぞ!

控え目なのがいいって言っただけだろうが。


オレはむしゃくしゃしながらテーブルに置いてあった水を一気に飲み干した。




【智鶴の場合】


「お前さ重いんだよな!」

「え?」

ファミレスのテーブル席で向かい合ってる恋人にそんな台詞を投げつけられた。

「今時流行んねぇんだよ。お前みたいな古い女」
「古…い…?」
「なんか辛気臭せぇしさ」
「辛気……臭い?」
「何か耐え忍んでますみたいな態度がさぁ!もうちっと明るく振る舞えないもんかね?
俺に尽くすのかと思えば身体は許さねぇし。何なんだよ?
顔は可愛いから付き合ってやっても良いと思ったのに焦らすのも大概にしろっての!
無理矢理じゃこっちも気分悪いから大人しくしてりゃいつまで経ってもキス止まりだし
お前がヤラせてくれないんだから他の女としたって仕方ないだろ?」
「私は……もっとお付き合いを深めてからと思って……」

あんまりにもポンポン文句を言われて俯いたままボソボソと返事をした。

「ガキの恋愛ごっこじゃねーんだよっ!」
「………」
「とにかくもうお前とはおしまいだからな!俺に身体捧げる覚悟が出来たなら連絡してこいよ。
そしたら考えてやってもいいぞ。クックッ……じゃあな!」

そう言い捨てて彼は席を立ってお店を出て行った。
しっかり伝票をテーブルに置いたまま……

「最後くらい自分の分払いなさいよね」

私の分も払うくらいの男気はないのかしら!
控え目なところがいいって言ったのはあなたじゃない……

「はあ……」

ああ……でもまたフラれちゃった。

身体の関係を迫られるといつも引いちゃてたから……だからフラれちゃったんだ……

だって………





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