Love You !



02




むしゃくしゃが収まらず酒を求めていつもの店に入る。
そこはカウンター席でポツポツとカップルが座ってた。
そんなカップルを横目で眺めつつ空いてる席に座る。
何気にカウンターの端に座ることになって何だか追いやられたみたいで余計凹む。

「チッ……」

キツメの酒を注文して一気に飲んだ。
なのに全然酔う気がしねぇ……誰か付き合わせるか…

一瞬俳優仲間の顔が浮かんだが即行で頭の中から追い出した!

きっと今以上にムカつくこと120%あり得る相手だ。
そんな奴を思い出すなんて失敗した!


「もう1杯!」

ハイペースでガンガン酒を飲む。
くそっ!今夜は飲んでやる!!

「私にももう1杯くらはい!」

「ん?」

呂律の廻らない声の方を振り向くとさっきは気付かなかったが
2つ隣の席に若い女が1人で飲んでて既に出来上がってた。

ちっちゃめな背に毛先の丸まった肩までの長さの髪の毛。
色白で痩せてるわけでもなく太ってるわけでもない。
控え目な化粧に服に……多分俺の胸くらいの身長。
何より可愛いと言えるちょっと幼さが残る顔。

見た瞬間ナゼか心臓がドキンと波打った。

ってついさっきフラれたばっかだろう!俺!!もう酔いが回ったか?


「もうやめておいたほうがいいんじゃねーのか?」
「へ?」

気になって思わず声を掛けちまった。

「大分酔いが回ってるぞ」
「今夜はいいんれすぅ〜」
「ん?」
「飲まずにはいられないんらから………ううっ!!!!」
「なっ!?」

いきなり泣き出した?何だ?泣き上戸か?

「らって〜〜フラれちゃったんらも〜〜〜〜〜んっ!!うーーーっっ!!」

フラれた?

「だから今夜はそれを忘れるために飲んれるんですぅ〜だからぁ邪魔しないでくらさい〜」
「邪魔なんかしねーが……」

あんまりにもの酔いっぷりで目が離せなかった。

「らって付き合って1ヶ月れすよ?らのにもうかららを許すらんて……
無理に決まってるらないれすか!ねぇ〜〜?」

涙目の真っ赤な顔でそんなことを言い出した。

「ああ!あんたは正しい!清らかな身体を守るのは女として当たり前だ!」
「れしょ?らのに謙吾さんたら……そんなわらしに愛想をついれ……
他におんらの人作ってわらしのことフッたんれすぅ―――わぁ―――!!」
そう泣き叫んでテーブルのうっつ伏した。
「泣くなっつっただろ!あんたは正しいって!自分の身体を大事に思うのは当たり前だ!
俺ならそんなあんたを尊敬するぞ」
「本当れすか?」
「ああ!」
「古臭いおんらって思いまへん?」
「思わない」
「焦らしてるらんて思いまへん?」
「思わない」
「お家で彼が帰って来るのをお料理作って待っれても?」
「俺なら大歓迎だな」
「………あ…ありがとうごらいますぅ―─わ……わらし嬉しいれす〜ひっく!」
「………泣くなって……あんたが泣くことなんて何ひとつないだろうが」


そこから2人褒め合って盛り上がってさらに酒をガンガン飲み始めた。

どのくらい飲んだのか……もともと酒に強い俺も流石に酔いが回ってきてた。


「わらしあらたみたいな人とお付き合いしらかったですぅ……ざんれん……はぁ〜〜〜」
「何?奇遇だなぁ〜俺もあんたとなら付き合いたいと思ってた所だぞ〜」

俺も相当酔いが廻ってたらしい。呂律が廻らなくなってきた。

「本当れすか?」
「ああ本当だ〜」
「うれしいれす!」
「ああ俺も嬉しいぞ!」

そんな会話をお店でした後2人で仲良く出て行ったらしいんだが……


俺も女もその時のことを何ひとつ覚えていなかった。





Back  Next






  拍手お返事はblogにて…