「俺と付き合ってくれ。」
酔った勢いで身体の関係を持っちゃった相手にいきなりそんな事言われて…
もう焦りに焦った私は…
「え?あ……あ……お付き合いさせて頂きます。宜しくお願します。」
なんて…頭まで下げちゃった…
こんな始まりってありなの???
「俺は鏡レンジあんたは?」
「あ…私…小笠原智鶴です!…え?…鏡…レンジ?」
ん?なに?なんだか聞き覚えのある名前…?
「え?!」
改めて彼の顔を覗き込む。
「何だよ…」
「ああ〜〜〜!!鏡レンジ!!!」
思い切り指…指しちゃった!!
「もしかして今頃気付いたのか?」
「だだだだだって…いつもと雰囲気が違うし……」
「ああ…前髪が下りてるからか?」
「 鏡レンジ 」 若手俳優の中でも第一線で活躍してる…
確か元ヤンキーで数々の武勇伝を持ってるって噂の……
だからさっきのちょっと違った俺様態度??
「え…あ……あの…」
「ん?」
「やっぱりさっきの取り消します!私とは何も無かったと言う事で構いませんから!」
「何でだ?」
「え?だって…俳優さんなんてお付き合いした事ないですし…
それに鏡さんみたいな方に私なんて似合わないし…」
だって…芸能界よ?芸・能・界 !!
俳優よ!俳・優 !!
「別に同業者同士じゃなきゃ付き合えねえってわけじゃないだろ?」
「そうですけど…」
「俺の周りにも普通の事務の相手と結婚した奴もいるし元ファンと結婚したって言うのも有りだぞ。」
「……でも…」
「嫌か?俺は別に気にならないんだがな…」
「あの…今回の事は誰にも言いませんから…」
「ああ?」
「だから無理して私なんかと付き合おうなんて思って頂かなくても…」
「心外だな!」
「え?」
「俺が今回の事を口外させない為にあんたと付き合いたいって
言ってると思われてるって事だよな?」
「…それは…!!」
ベッドに座ってた彼が立ち上がって私の目の前に立った。
うわぁ…見上げちゃう…私158あるかないかだから…190近くあるの?
それとも見た目の雰囲気でそう思うだけなのかな?
「俺はあんたと付き合いたい。確かに今回の責任を取りたいと思う気持ちがあるのは事実だが…」
「はい……?」
「………」
「?」
あら?黙っちゃった…
「か…鏡さん?」
「あー………ホントマジで付き合って欲しい。」
「え?」
「………」
私にそう言った後サッと横を向いちゃったけど…
スゴイ顔が真っ赤っか…それにスゴイ照れてるのがわかる…
「わかりました。」
「!!」
「宜しくお願いします。」
私はまたペコリと頭を下げた。
だって…あんなに男っぽくてきっと昔はツッパってたはずの男前のこの人が
こんなになってまでも私と付き合いたいって言ってくれたから…
ちょっとはその気になってもいいかなって…
たとえ短い間でも…それに……私…
付き合って欲しいって言われたの初めてだったから…
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