10日ぶりに会えたレンジさんの部屋で黒ずくめの女の人がいた…
スラッとしてて…ショートな髪に綺麗な顔でお化粧が似合ってて…
細身の身体に黒のパンツスーツが様になってて…まさに「キャリアウーマン」って言うのがピッタリの女の人…
何でこんな人がここに?レンジさんの部屋にいるの?
「 !!! 」
あ…もしかして……新しい…恋人?
10日間会えなかった間に他に好きな人が出来ちゃったの…かな…
それで私に話をつける為に2人して待ってたの?
え…?ウソ…ウソですよね…?レンジさん……
私はそんな事を一瞬で思いながら目の前にいるレンジさんを見上げた。
「?」
俺を見上げた智鶴が何だかおかしな顔してやがる…
何だその困った様な悲しい様な今にも泣き出しそうな顔は???
「智鶴…」
「はっ!はい…」
何で名前呼んだだけでそんなにビックリすんだよ?
「どうした?」
「え?あ…いえ…その……な…何でもないです…」
「?」
どう見ても何でもなくねーだろうが…
どんな理由かわかんねーがとにかく智鶴をさっきよりもギュッと俺の方に抱き寄せた。
そしたら智鶴がまたビックリしたみたいに俺を見上げる。
まあいい…後でゆっくりと聞いてやる。
「智鶴…」
「はい…」
「マネージャーの黒柳だ。」
「………え?」
今…マネージャーって言った?
「『鏡 レンジ』 のマネージャーをしております黒柳です。初めまして。」
「え?え?あ…あの…は…初めまして…小笠原…です…」
レンジさんの腕の中から顔だけ振り向いてそう返事をした。
どうして?レンジさんが私を離そうとしないんだけど…?
見上げるとレンジさんはそのマネージャーさんをじっと睨みつけて…る?
「うちの鏡とお付き合いなさってるとか?」
「あ…はい…」
え…何だろう…それっていけないのかな?
何だかそんな言い方……
「大丈夫ですか?」
「え?」
「芸能人とのお付き合いですよ。今までそんな経験持ってらっしゃらないですよね。」
「は…はい…」
「…………」
そんな事を言いながらこっちに歩いて来る…
ひゃーーー!何だかすごい見られてる??なになに??
目の前で立ち止まって…じっと見下ろされる。
女の人なのに背が高い…見上げちゃう…
「レンジ…」
「なんだ?」
「どこでこんな子…見付けて来たの?」
「は?」
「え?」
「………かっ…かっ…可愛いじゃない!!!!」
「ああ!?」
自分の口を押さえて震えながら話す……どうした!?黒柳!?壊れたか?
「今までのレンジの付き合ってた子とは全然タイプが違うわ…一体どうしたの?」
「どうしたって…飲んでて知り合った。」
「そ…そう……」
「黒柳…」
「え?」
「お前…大丈夫か?」
「は?何が?」
いきなりいつもの黒柳だ。
「自分が何言ったかわかってんのか?」
「わかってるわよ。何言ってるのレンジ!」
「いや…今お前智鶴の事可愛いって呟いてたぞ…マジで大丈夫か?」
「は?何?可愛いから可愛いって言っただけでしょ!言っときますけど変な意味じゃないわよ!
私はプロの目から見て可愛いって言ったの!容姿だけじゃなくてその好きな男に会いたいが為に
健気にも走って来る所とかオデコ全開の頬を赤らめながら肩で息してる所とか…」
え?ひゃーーっっ!!私またオデコ全開だっだんですか?ウソ!!恥ずかしい!!!
「まあその小柄な体形も惹かれる要素であるけど…そう言う色んな所ひっくるめて言ってるのよ!
わかった?」
「何だそりゃ?スカウトの血が騒ぐって事か?」
「この子をスカウトしようなんて思ってないけど…私が見たこの子の正直な感想よ。」
「…………」
な…何だか…良くわからないです…
その後黒柳は智鶴の作った夕飯までしっかり食った。
褒めてはいたが何となくチェックされてる気がしてあんまり気分は良くねぇが…
智鶴は料理や家事全般を褒められて機嫌が良さそうだから黙っとくか…
「また来て下さいね。」
智鶴が黒柳に向かってなんの疑いの無いニッコリスマイルだ。
その瞬間黒柳がピクリと反応する。
多分智鶴の笑顔に反応したか?
「ええ必ずまた。」
最初のあの態度がウソみてぇだ…本当にこの黒柳はマジなのか?
そういや智鶴を気に入った理由が何気に俺と被ってるのが何とも言えねぇ…
『 女版 レンジだろ 』
惇の言葉が頭の中で繰り返される…
もしかして…黒柳の奴…俺と同じ様に智鶴がハマったのか?
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