Love You !



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『レンジ何やってんの?』
「ああ?何だ?」

撮影の合間に惇の奴から電話があった。

『いつからお子様趣味になった?』
「は?」
『まあ別に年下が悪いとは言わないけど…またフラれた?』
「だから何だ?」
『全国放送で告られたぞ。』
「は?一体何の事言ってんだ?」
『テレビ見てないのか?』
「見れるか!朝から撮影だ!」
『恭子さんからも何もない?』
「ああ…って言うか撮影中はそんな連絡してこねぇし…」
『ふーん…じゃあこれからだな…』
「??」

一体何の事かわからねぇ?

『ちゃんと彼女の事考えろよ。まあそんな重大なことじゃ無いと思うけど。』
「は?おい惇!ちゃんと説明しろよ。」
『「仲村留美」って若手女優わかる?』
「ああ…この前一緒に仕事した。」
『彼女お前にハマってるってさ。』
「ああ?」
『まあお子様の言う事だから気にする事無いと思うけど彼女そう言うの初めてだろ?
しかも付き合って間もないし…ちゃんと話せよ。』
「何だかよくわからねぇが…わかった黒柳に連絡取る。」
『その方がいい…レンジ…』
「ああ?」
『何かあったら遠慮なく言えよな。』
「まあそんな話は惇の方が慣れてるか?」
『そう言う事言ってんじゃ無いから!!まったく…じゃあな。』
「ああ…何だか良くわからねぇが心配してくれたんだろ?悪かったな。」
『別に…レンジの事より彼女の方が心配だったから。結構ショック受けるからな…』
「そういや経験済みだったな…確か元カノだったか?」
『余計な事は言うな!じゃあな!』
「ああ…」

訳のわからないまま惇からの電話を切った。
その1時間後黒柳から連絡が入って事の真相を聞いた。

ホント女のする事は訳がわかんねぇ……

撮影所の前に数人のマスコミ関係がいたが事務所の対応とそう重要視されてた
わけでも無かったからさほど嫌な思いもせず「共演しただけ。」の一言だけ言って
サッサとその場を後にした。

俺は何とも思ってねぇから何も気にする事は無いんだが…
惇の言う通り問題は智鶴だ…

黒柳はしばらく会うのは止めろと言っていたが…
今会えないのは絶対マズイと俺は思う…

なんせ智鶴の事だ…またとんでもなく誤解して…もうお終いだって思っても不思議じゃねぇ…
黒柳が俺の部屋に来ただけで新しい恋人と勘違いするくらいだ…

智鶴の耳に入ってなきゃいいんだけどな…
偶然なのかワザとなのか智鶴の携帯の電源がさっきから入ってねぇし…

絶対今会って話をした方が良いに決まってる…




ちょうどお昼に向かう途中だった…
あの永井さん騒動から仲良くなった服部さんと2人でお店を目指して歩いてる所だった。

「え〜〜〜!!永井さんそんな事言ってたのーーー!!」

どうして永井さんが私の変な噂を流してたのか不思議がられて…
永井さんには気を付けた方が良いって言われて…それで聞いていいものか
どうか悩んだけどそれとなく服部さんに永井さんの事を聞いてみた。
そしたらそんな返事…

「冗談じゃ無いって!!誰があんな男と付き合うかっての!!私彼氏いるし!!
あの人あと少しで本社に戻るってのが決まってるから結構色んな子に手出してるらしいのよね…
そう言う話に乗っちゃいそうな子を選んでるらしくて早々問題にはなってないみたいでさー」

「乗っちゃう様な?私そんな風に思われたんですかね…ちょっとショックです…」

そんなに男慣れしてる様に見えたのかしら…

「小笠原さん大人しいから…きっと黙ってると思ったんじゃない?」
「はあ…そうですかね…」

確かに大人しいって思われても仕方ないか…
レンジさんがいなかったらきっと誰にも何も言えないで終わってただろうし…

「私は資料室になんて言われてピン!と来てさ…永井さんの噂聞いてたし怪しすぎだもん。」
「そ…そうですか…私そう言うの全然知らなくて…」
「その時私がいたら助け舟出してあげられたのにね…でもきっと私がいない時狙って声掛けたのよ!」
「はあ……」
「でも彼氏がちゃんと言ってくれたんなら良かったじゃな。もうチョッカイ出して来ないでしょ。」
「そうですよね!」
「何だか小笠原さんて本当はこんな感じの人だったのね。」
「え?」
「いやね…まあちょっと小耳に挟んでたから…もっと思い込みの激しくて重い人かと…」
「あ…いえ…きっとそれ当たってます…私そんな感じの人だと思いますから…」
「ふふ…じゃあ今の彼氏はそんなのも受け止めちゃう様な人なんだ。」
「え?」
「だから安心していられるんでしょ?小笠原さん前より大分明るくなったわよ。」
「え?そ…そうですか?」
「彼氏とラブラブなんでしょう〜〜〜?」

そう言って肘で小突かれた。

「そ…そんな事無いですよ…」


なんて話をしてから服部さんと仲良くなって…お昼も一緒に食べる様になったと言う訳で…

2人でお店に向かう途中のビルの電光掲示板にふと目が止まった…
だって 「鏡 レンジ」 の文字が視界の片隅に映ったから…
自分でも良く気付いたと思った…

………… え…?

『 鏡 レンジ 女優の仲村留美に生放送中に告白される!美女と野獣の歳の差カップル誕生か! 』

なんて文字が流れてる………
え?うそ………レンジさんが…?カップル誕生って?なに?


私は何も考えられなくなって……その場に立ち尽くしてた…





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