Love You !



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午後のワイドショーで私とレンジさんの事が放送された事は会社にいた私は知るはずもなく
いつもの様にごく普通に仕事を終えてごく普通に退社した。

レンジさんはまだこっちには戻ってなくてもしかすると夜中になるかもって言ってたから
私はまっすぐ自分の家に帰るつもりで電車に乗った。

いつも降りる駅で降りて駅前のスーパーでちょっと買い物をして家に向かって歩いてると
私の家のマンションの手前でちょっとした人だかりが…何かあったのかしら?

「お!帰って来たぞ!」

「え?」

誰が?
こっちを見て皆が振り向くから思わず後ろを振り向いちゃったけど誰もいない。
周りも見回したけど私以外誰もいない…わよね?

「小笠原さん!…小笠原さんですよね?」
「えっ!?あの…」

ひゃあ〜〜皆さんが私目掛けて押し寄せて来た!

「なっ…なんですか??」

良く見ればマイク片手に…そこにあるのは…カメラ??
え?え?ええーーー!?何ですか???私何か悪い事しました??

「これ貴方ですよね?」
「え?何がですか?え?」

目の前に雑誌を突きつけられて…

「この写ってるの貴女ですよね?建物もあのマンションですし!」

「 !!! 」

目の前にあるモノクロの写真はどうみても私の部屋の玄関でそこに写ってる人物は
どう見てもレンジさんで…レンジさんの手が触れてるのはどう見ても私の頬で…

「…………」

いつ…いつの写真?
これって……この前の時?

「小笠原さん!先日の仲村留美さんの件どう思われます?」
「……え?」
「鏡さん仲村さんと小笠原さんお2人とお付き合いしてるんですか?」
「え…?」

ちょっと…

「鏡さんとはいつからお付き合いなんですか?ご結婚の予定とかあるんですか?」
「今回の仲村さんとの事は鏡さんから何かお話伺ってますか?」

ちょっと待って…

「ちょっ…と待って下さい…急にそんなに色々聞かれても…」

「じゃあ仲村さんの事は鏡さんからは何も伺ってないんですか?」
「小笠原さんとこんな親密なお付き合いなさってて何もお話無いんですか?」

「……あの……」

や…どうしよう…次から次へと質問されて……それにこの人達…
私とレンジさんの事を知りたいんじゃなくて…レンジさんと私と仲村さんの関係を疑ってるんだ…

レンジさんは何も無いって…

「な…仲村さんとは…な…何も無いって…」

「その言葉信じるんですか?」
「え?」
「やっぱり疑ってらっしゃるんですよね?鏡さんの事?」
「い…いえ…そんな…」

どうして?どうしてそんな事になっちゃうの?

「仲村さんに対して何かおっしゃりたい事は無いんですか?」

「そ…そんな…」

もう…わけがわからない…もう…やだ……でも…囲まれて動けないし…
レンジさん……私どうしたら…

今にも泣き出しそうになってた時後から誰かの腕が私の腰を抱きしめて
囲まれてる中から引っ張り出された。

「 「 「 あ!! 」 」 」

囲んでた人達も驚きの声を上げてる…もしかして…

「レンジさん!!!」

私は嬉しく振り向いたら…

「素人さん相手に皆さん大人気ないんじゃない?」

「………え!?」

背中越しに顔だけ振り向いて見上げたら…レンジさんじゃ…無い…
でも……この人…

「レンジは浮気なんてしない。オレが保障する!」

「楠さん!」
「え?何で楠さんがここに?」

マスコミの人達が口々にその名前を言ってる…
そう…今私の後ろにいる人は…

「じゃそう言う事で!話はレンジか事務所に聞いて ♪ お疲れ様〜〜♪ 」

「え?あの…」

そう言うと私の手を取って走り出した。
私はもうびっくりで…引っ張られるまま走ってた。

「初めまして智鶴ちゃん ♪ レンジから頼まれて助けに来ました ♪」

「え?」

そう言ってニッコリ笑った顔は…紛れも無いあの 『 楠 惇哉 』 さんだ…

「もうちょっと頑張ってね。あの角曲がれば車用意してるから。」
「は…はい…」
「流石に追って来ないか。良かった。」
「え?」

後を気にする楠さんに釣られて後を振り向くと誰も追い駆けて来ない…

「レンジが迎えに来るまでオレとデートしてよう。フフ ♪ 」
「え?」
「オレならレンジも怒らないから。」
「え?あ…でも…」
「1人でいるのイヤでしょ?レンジ今日中には戻って来ると思うから。ね?」
「は…はい…」

楠さんの言った通り角を曲がるとワゴン車があってそのまま後ろの座席に乗り込んだ。

「ちょっとドライブね。」
「はあ……」

隣同士で座って…何だか変な感じ…
あの 『 楠 惇哉 』 さんが隣に座って…私と話してるなんて…

「あの…」
「何?智鶴ちゃん ♪」
「レンジさんとは?どういう…?」

お知り合いなんだろう?

「もしかしてオレの事何も聞いてない?」
「あ…はい…私…レンジさんの私生活の事ってあまり聞いてなくて…
あ…でもなかなか会えないから…仕方ないんですけど…」
「そう…」
「あ…あの……何…か?」

楠さんがじっと私を見てるから…でもだからって睨んでるとか…変な目で見てるとかじゃなくて…
微笑んでる様に見えるのは…気のせいかしら?

「レンジとは俳優仲間だよ。でもお互い言いたい事言い合って一番の仲の良い親友かな?」
「そうなんですか…」
「今日はきっと智鶴ちゃんの方にもマスコミ押し掛けるかもってレンジが心配しててさ。
レンジ今日は動けないし恭子さんもちょっと無理らしくて…でオレに連絡が来たわけ。」
「そうなんですか…」
「レンジがオレに 「頼む」 なんて初めてだったよ。そしたら動かないわけいかないでしょ ♪」
「レンジさんが?」
「レンジって真っすぐでしょ?」
「え?」
「あんな外見の元は結構手の早い男なのにさ。なのに変に真面目で訳わかんないよね。」
「で…でも…」
「ん?」

「レンジさんは優しいです!!とっても優しいです!!!」

「!!」

「あっ!」

楠さんがちょっとびっくりした顔してる!!しまった!

「あ!ごめんなさい!私…偉そうに…」

ひゃ〜〜〜〜!どうしよう!天下の 『楠 惇哉』 さんに私ったらなんて事を…

「いいんじゃない。自分の彼氏の事なんだから。ノロケたって ♪」
「かっ…彼氏?ノロケ……」

何だかいきなり認識させられて恥ずかしさが込み上げる…
確かに本当の事だけど……

「プッ!智鶴ちゃんて初心〜 ♪」
「え″っっ!そんな…」
「夕飯まだでしょ?」
「え?あ…はい…」
「じゃあどこかでご飯食べてから避難場所に連れて行ってあげる。」
「避難場所?」
「そう。ご飯はもう1人合流するけどいいかな?」
「は…はい…」
「ありがとう。」

またニッコリ微笑まれて…
わあ…この笑顔に一体どれくらいの女の人が参っちゃてるんだろう…
でも結婚してるはずで…この人の奥さんってどう言う人なのかな…
大変じゃないのかしら…

「ところで智鶴ちゃん!」
「はい…?」

「レンジとどうやって知り合ったの?」
「はい?」

「レンジの奴中々教えてくれなくてさ〜名前だって今日教えてもらったんだ。
よっぽど智鶴ちゃんの事が可愛くて大事らしい。他の人に見せるのも惜しいらしいし。」
「え?あ…そんな…」
「くすっ…」
「………」

笑われちゃった……
その後車はどこかに停まって…誰かが乗るらしい。
開いた後部座席のスライドのドアの前には女の人がいた。
黒い髪の毛を一つに縛って黒縁メガネを掛けた女の人…
それに…お腹に赤ちゃんがいるんだ…まだそんなに目立ってないけど
大事そうにお腹に手を当てて…

「由貴お待たせ。身体大丈夫か?」
「中で座って待ってたから大丈夫よ。」
「はい。掴まって!」
「ありがとう惇哉さん。」
「………」

楠さんの顔がさっきより一段と優しくなる。

「オレの奥さんの由貴。」
「初めまして 『楠 由貴』です。」
「はっ…初めまして。」
「今日は大変でしたね。」
「あ…は…はい……」

そんな挨拶を交わしてるとまた車が走り出して…
今度はお店に行くって言ってた…





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