Love You !



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レンジさんのマンションに着いて私は辺りを警戒しちゃう…
レンジさんは全然お構いなしで…相変わらずだな…なんて思っちゃう…

レンジさんの部屋に入ると1人ずつお風呂に入った。
本当は一緒に入りたいけど後々の話に響くからって言うのが理由で別々に入った…
確かに一緒に入るとその後どうなっちゃうかなんて私にもわかるから…
きっととっても大事なお話なんだな…って…


「智鶴。」
「はい。」

ソファに座ってレンジさんが真面目な顔で私を見てる。
なんでしょう?レンジさん…
私も一応心の準備をしてレンジさんの話に耳を傾ける。

「さっき社長も言ってたが明日俺と智鶴の事をマスコミの前でちゃんと発表する。」
「え?………あ…はい…」

私はその発表するってあの写ってる写真はレンジさんと私ですって言うのかと思ったんだけど…

「智鶴わかってるか?」
「はい??」

何をですか??なんでそんなに心配そうな顔をするんですか?レンジさん??

「明日俺と智鶴が付き合ってるてマスコミとテレビを通して全国に発表するって事だぞ?」

「……………え?」

いきなり思考回路ショート寸前で真っ白です……

「まあもう週刊誌じゃバレてっからな…」
「………は…い…そ…そうですよね……」

勝手に口が動いてる…でも頭の中はまだ真っ白に近いまま…

「それから…」
「……はい…」
「…………」
「?」

上の空で返事をしてた様な所があったけど…レンジさんが黙るからどうしたのかと思って
レンジさんを見ると何でだかとっても恥ずかしそうに視線を私から逸らしてる…

でもこんなレンジさん前に見た事がある……あれは…
そう…私に付き合ってくれって言ってくれた時……それがどうして今そんな顔??

「レンジさん?」

「そ…それから……結婚を前提に付き合ってるって言うからな。」

「……え?」

智鶴が驚いた顔で俺を見る。

「大体こう言う時は聞かれるんだよ…なっ!?もしかして…い…嫌なのか???」
「あ…いえ…そうじゃなくて…」
「そうじゃなくてなんだ!?」
「え…だって…いきなりで…それに本当に良いんですか?そんな事言っちゃって?」
「ああ?どう言う意味だ?」
「別にお付き合いしてるって言うだけでも私は構いませんから…」
「…………」

「今はそれだけで十分ですから……」

そう言って智鶴は控えめに微笑む…まったく…こんな時までなんで遠慮すんだ…

「智鶴…」
「はい…」
「今は仕事の方がバタバタしてて直ぐって訳にはいかねぇが…」
「はい…」

「結婚するぞ…いいな。」

「………え……?」

いつものレンジさんの声で…いつものレンジさんの顔で……
えっと……でも…今…レンジさんなんて言ったのかしら??

「智鶴がそこまで考えてねぇって言うなら…仕方ねぇが……」

その後…少しの間沈黙が流れる…

自分でも 「結婚する」 とまで言うつもりは無かったが…自然に口から出てた…
今まで考えてなかったわけじゃねぇが…そんなに直ぐにとかは思ってなかった…

大体…言うタイミングが今でいいのか??早まったのか?……わかんねぇ…

「………う…うそですよね?」

少しの沈黙の後の智鶴のセリフがそれだった。

「はあ?………ウソなんてつくか。」

そこまで根性悪くねぇぞ。

「じゃ…じゃあ…冗談?」

またそんな事を聞いてくる…試されてんのか?俺は?

「冗談なんかじゃねぇ……」
「………本当……に?」
「本当だ。」

やっぱこのタイミングじゃ信じてもらえねぇのか…

「も……もう1回……」

「ん?」

「もう1回…言って下さい………」

そう言って智鶴は俯いた…なんだ…まさかハッキリと断るつもりじゃねーだろうな…

そんな不安が俺の胸に湧き上がる…だがそんな気持ちを振り切って智鶴の言う通りもう一度繰り返した。

「結婚するぞ智鶴!」

「 !! 」

俯いてる智鶴の身体がピクンと動いたのがわかった。
ゆっくりと持ち上げた智鶴の顔は今にも泣き出しそうに瞳はウルウルと潤んでた。

「………はい!」

そう言って微笑んだ瞬間…智鶴の両方の瞳から涙が零れて落ちた……

「ふぇ……レンジさん!!!」
「!!」

智鶴が俺の首にいきなり抱きついてぎゅうぎゅうと俺を抱きしめる。

「本当に?本当に私なんかと…結婚してくれるんですか?うぅ…」

俺のすぐ耳の横で智鶴の声が聞こえる…

「ああ…してぇな…」
「絶対…絶対…後悔…ひっく…しますよ…」
「絶対後悔しないから安心しろ。」
「し…信じちゃいますよ…」
「信じろ…」
「自惚れ……ちゃいますよ…ぐずっ…」
「好きなだけ自惚れても構わねぇぞ。」
「うわああああああん!!!」
「泣くほど嬉しいか?」
「う…嬉しいですーーーー!!!」
「そうか……俺も嬉しいぜ…智鶴…」
「……はい…あ…ありがとうございます……」
「なんでお礼なんて言うんだ?」
「わ…わかりません…でも…言いたかったから……」
「そうか……」

その後は智鶴を抱き上げて寝室に飛び込んだ。

話なんてそっちのけで…
お互いの気持ちは身体で表したんじゃねぇかと思えるほどの激しさだった気がする…

俺の気持ちの方が強かったのか…智鶴は途中で戦線離脱…
でも俺は途中で抜ける事を許さず俺の気持ちを嫌って言うほど智鶴にアピールした。



次の日…会社までは何事も無く出勤できた。
駅の売店に今日発売のあの雑誌が置かれてたけど早々そこに載ってるのが
私だなんて気付く人はいなくて…
会社のロビーでもそんなに気になる様な事は無かった…やっぱりそんな気付く人なんていないわよね…
なんて思ってたら流石に自分がいつもいるフロアはちょっと様子が違う…
遠巻きに見られてる気がしてヒソヒソと話してる人もいるしあの雑誌を持ってる人もいる…
こう言う時どうしたらいいんだろう…なんて思うけど聞かれもしないのに
自分から「実はこれ私なんです」 なんて言う必要も無いから…放っておく事にした。

それよりも…私はもう昨夜から地面に足が着いてない状態で…
ちょっと無理しちゃったから身体自体がいうこと利かないのもあるんだけど…

昨夜……私……レンジさんに……

プロポーズされちゃいましたぁ〜〜〜〜〜 ♪ ♪

うふふ ♪♪ もうそれを思い出すと顔が緩みっぱなしで…

夢じゃなかった事は今朝もちゃんとレンジさんに確かめたから大丈夫!

『本当の事だから安心しろ。』

って言われたから………ああ〜〜〜私…し・あ・わ・せ ♪


「小…小笠原さん!!」
「あ…服部さんおはようございます。」
「もうおはようじゃないわよっ!!これってあなたよね?」
「あ…」

そう言ってデスクの上にあの週刊誌のあのページが開かれて置かれた。

「は…い…」

ここで誤魔化しても仕方ないし…
どうせ今日夕方にはレンジさんが記者会見するし…時間の問題だもの…

「えーーーー!!あなたの彼氏って 『鏡 レンジ』 だったの!!!!」

「!!!」

フロア中に響きそうな声を服部さんが慌てて自分の口を押さえる。

「あ…ごめん!でも驚いちゃって…」

今度はとんでもなくヒソヒソ話。

「ごめんなさい…相手が相手だったんで服部さんに言えなくて…」
「まあそれは仕方ないわよ…へぇ〜そっか…でも本当にビックリしたわ…」
「すみません…」

その後は就業時間が来てそれぞれが仕事に取り掛かり始めたから
服部さんも「また後でゆっくり聞かせてよ ♪」 なんて言いながら自分のデスクに戻って行った。

今日のお昼に質問攻めかな…なんて想像できる…

その日は数人に聞かれたくらいでそんなに大事にはならずに過ごせた…
案の定お昼には服部さんに質問攻めにあったけど…
知り合ったキッカケはお互い1人で飲んでて偶然隣同士だったから…って事にした。
まさかその後酔った勢いで…なんて言えないもの…

その日も無事に仕事も終わり帰ろうとロビーを歩いてたら携帯が鳴ってレンジさんからだった。

「はい。智鶴です。」
『これから会場に向かう。』
「はい…」
『終わったらそのまま帰るから俺の部屋で待ってろ。』
「お仕事無いんですか?」
『ああ…何とか調整して今夜は空けた。』
「わかりました…レンジさんの部屋で待ってます。」
『ああ…じゃあな。』
「はい…」

そう言って携帯を閉じた。
もう未だに私の気分はフワフワ……携帯をしまって歩き出そうとした時…

「これ…君なんだって?」

私の前に誰かが立ってた…
しかもあの週刊誌を持っててあの写真が載ってるページを私の目の前で左右に振る……

私の目の前に立ってたのは…

「永井さん……」

あれから永井さんとは話してない…だけど…また薄笑いを浮かべてる…

「って事はあの時の男って 『鏡レンジ』 だったんだ?」
「………失礼します。」

私はそんな彼の話を無視して歩き出した。

「ふ〜ん…いいのかな〜そんな態度とって?」

永井さんが通り過ぎた私の背中に向かってそんな言葉を投げかける。
思わず足が止まって振り向いた。

「どう言う意味ですか?」

もうこの時私の心臓はドキドキドキドキ破裂しそうだったけど…
なんとか踏ん張って立っていた。





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