Love You !



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「智鶴お昼は外で食べよう。」

「いいけど…何ニコニコしてるの?」

急にお兄ちゃんが私の所にやって来た2日目の午前中…
お兄ちゃんがニコニコな顔でそんな事を言い出した。

「いや…智鶴とこんな風に2人で過ごすなんて久しぶりだなってさ…
お兄ちゃん嬉しいんだ。料理も上手になって…これならいつでもお嫁に行けるな。」
「行けるでしょ?そうよね?行けるわよね〜 ♪ 」
「アイツ以外の男ならね。」
「………もう…お兄ちゃんは…レンジさんのどこがいけないの!」

お兄ちゃんはレンジさんの事をとっても敵視してる…

「まず俳優って事が納得行かない。それにあの暴力にすぐ訴える所!
いつか智鶴にだって手を上げるかもしれないだろ。」
「レンジさんはそんな事しません!女性に手を上げるわけ無いでしょ!」
「もう…アイツの話はいい…とにかく出掛けるから支度して。」
「………お兄ちゃん…」

それから出掛ける支度を整えると兄ちゃんに促されるまま電車に乗った。
一体何処に行くんだか…

「何?どこか行く予定あるの?」
「うん…ちょっとこっちで働いてた時の同僚にね…会う約束してて。」
「じゃあ私一緒に来ない方が良かったんじゃないの?」
「大丈夫。智鶴の事も話してあるから。」
「え?何?一体どう言う事?」
「イイ奴だからさ。」
「だからどう言う意味?」

その後お兄ちゃんは言葉をはぐらかしてハッキリと言わない…
怪しいんだから……一体なんなのかしら?

電車に揺られる事20分…
地下鉄の駅からホンの数分歩いたお店に入る。

ランチタイムが近かったせいか何気にお店の中は混んでて
2人だったのに何故かお兄ちゃんは4人テーブルに座った。

しかも私の隣に座る…

「どうして?2人用のテーブルでいいでしょ?それにそんなにこのお店で食べたかったの?」
「え?ああ…待ち合わせしてるから。」
「え?もしかしてそのお兄ちゃんの知り合いの人もここで食べるの?」
「そう。智鶴は何も心配する事は無いよ。お兄ちゃん一押しの男だから。」
「は?一押しってなに??それに会う人って男の人なの?」
「そう。前いた支店で結構仲良くやってた奴でさ。歳は僕と同い年だよ。」
「だから…何?」
「まあ会ってみるだけ会ってみなよ。智鶴。」
「会ってどうするのよ!そこからどうにかなれって事?」
「気が合えばそうすればいい。お兄ちゃんは反対しないよ。」
「………」

もの凄い満足そうなお兄ちゃんの笑顔…
どうやらお兄ちゃんは自分の知り合いを私に紹介しようとしてるらしい…

「お兄ちゃん…」

「お!こっち!」

お兄ちゃんに文句を言おうと思ったら急に手を上げて誰かを手招きする。

「おお!久しぶり。」

そう言ってこっちに近付いて来たのはお兄ちゃんと同じくらいの男の人…
ラフな服装で…でもお兄ちゃんよりモテそうな気がする…
パーマの掛かったちょっと茶色の短めな髪にハッキリした顔立ち。

「智鶴お兄ちゃんの元同僚の 『星崎』 妹の智鶴だ。」
「初めまして智鶴ちゃん。お顔だけは拝見してます。」
「は…初めまして…え?顔だけ?」
「小笠原が一緒に働いてる時君の写真を携帯で良く見せられたから。」
「ええ!?お兄ちゃんそんな事してたんですか?……お兄ちゃん…」

私はお兄ちゃんを睨んだ。
何勝手に人の事を他所の人に見せてるのよ〜〜!!もう!

「見せるだけで会わせては貰えなかったけどね。あ!今日のおススメランチで。」

話してる最中にオーダーを取りに来たウェイトレスさんにそう言うと
置いていった水を一口飲む。

「もう頼んだのか?」
「ああ…会わせる訳無いだろ…お前に手を出されたら困るから。」
「まったく…未だにシスコン治ってないのか?」
「僕はシスコンなんかじゃない!妹が心配で可愛いだけだ。」
「それを世間ではシスコンって言うんだよ。いい加減自覚しろ!」
「うるさいな…」
「で?お前仕事どうした?クビにでもなったか?」
「変な事言うな。有給を消化してるだけだ。」
「ふ〜ん…仕事真面目オタクが珍しい。」
「本当うるさいな…」

それから頼んだ料理が運ばれて来て世間話をしながら食べた。
大体がお兄ちゃんと星崎さんが話してたのを私は黙って聞いてたんだけど
お兄ちゃん…本当にこの人を私に紹介しようとしてるのかしら?

「智鶴。」
「ん?」
「お兄ちゃんちょっと用事済ませてくるからその間星崎と待ってて。」
「ええ!?」

急にそんな事言われても…

「大丈夫。星崎話し上手だから…じゃあ30分くらいで戻るから。」
「ちょっ…ちょっとお兄ちゃん!!」

いくら呼び止めてもお兄ちゃんはサッサとお店から出て行った。
私はついさっき初めて会った星崎さんと2人っきりになっちゃって…どうしよう…

「智鶴ちゃんって今いくつ?」
「え?あ…23です…」
「そう…確か初めて智鶴ちゃんの写真見せてもらった時はまだ高校生だったんだよね。
制服姿が可愛かったよ。」
「は…はあ…ありがとうございます…」
「小笠原のシスコンは支社の中でも有名でね…だから君に彼氏が出来たら大変だろうなって皆で言ってたんだ。」
「そ…そうなんですか…もう…恥ずかしいです…お兄ちゃんったら…」
「一昨日かな…いきなり奴から電話掛かってきてさ。オレに今付き合ってる相手いるかって聞いてきて
いないって言ったら今日この時間空けとけって命令されたよ。」
「は…はぁ……」

私はもう何をどうしたらいいのかわからない…

「それに智鶴ちゃんと付き合う気はないかって。」

「………はい?」

え?……それはどう言う…

「どうやら君の兄貴は大事な大事な妹の君をオレに任せる気になったらしい。」

「………ええっっ!?」

「オレも最初はどうよ?って思ったんだけど実際会ってみていいかな♪ なんて思ってるんだけど?
智鶴ちゃんはオレの事どう思う?」

「えっ!?えっ!?ええっっ!!??」

「オレ結構将来性高いと思うんだよね。自分で言うのもなんだけどさ。
女性の扱いも慣れてると思うし優しいし経済力もあるし見た目もまあソコソコイケてると思うし。
体力も自信あるからきっと夫としても十分役目を果たせると思うんだけど?どう?」

「いえ……あの…そんな事急に言われましても……」

ニッコリと笑ってそんな事を言う星崎さん…
そんな事…男の人に言われたの初めてで…
そんな事に免疫の無い私はあっという間に一杯一杯になっちゃって…

どどどど…どうしましょう!レンジさん!!!

何だか私ピンチらしいです!!





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