Love You !



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「……う…そ……」

楠さんに見せてもらったレンジさんの女の人とのツーショット写真……
2人とも気持ち良さそうに眠ってる……

「…………」

まさか……本当に女の人と何かあったなんて思わなかった……
でも口紅が付いてたことは事実だし……こう言う事もあり得るのは当然のことなのに……

レンジさんに限って……なんて心のどこかで認めてなかったらしい……

でも現実を見せられて……目の前真っ暗!!!

「…………」
「確か新人の女優だったかな?途中から参加したんだよね」
「…………」

やっぱり……女優さん……あんまりじっくり見れなかったけど綺麗な人だった様な気がする……

「あの野郎……」
「え?」

私の隣に座ってた黒柳さんがそんな事を呟いていきなりガタっ!!と音をたててイスから立ち上がった。

「黒柳さん?」

そのままその場で携帯でどこかに掛けだした。

「!!……テメェ……いい度胸だな……」

「!!」

どうやら相手が出たらしい……話の流れからもしかして相手は……レンジさん?
そんな会話に周りにいた人達の視線を集めた。
もともと楠さんで注目集めてたから…

「グダグダ言い訳してんじゃねぇ!じっくり話し聞くから事務所来い!わかったな!!」
「あ…あの…」

久しぶりに見た黒柳さんの様子に電話の向こうのレンジさんの姿も浮かんで慌てちゃう。

「くすっ…恭子さん男前 ♪」
「え?」

楠さんがポソリと呟いた。

「ふーー智鶴さん!」
「は…はい」
「お聞きの通りレンジを事務所に呼び出しましたので一緒に行きましょう」
「え?」

そ…そうよね…ちゃんと話さなくちゃ……

「あ!恭子さん智鶴ちゃんちょっと貸して ♪」
「え?」
「?」

急に楠さんがそんな事を言い出して私を見てニッコリと笑う。

「レンジの事は恭子さんに任せる。後で事務所に智鶴ちゃん連れて行くから」
「え?はあ…構いませんけど……」
「ありがとう ♪ さっきの写真恭子さんに送るね。じゃあ智鶴ちゃんオレとデートしよっか ♪」
「え?あ…デート…ですか?」
「オレもちょっとは責任感じてるから」

席を立ちながら楠さんがそんな事を呟いた。

「はあ……?」
「じゃあ恭子さんまた後で。レンジのこと宜しく!」
「はい……ではまた後ほど……」

何だかわけのわからないと言った感じの黒柳さんと別れて
変な成り行きで私は楠さんと出掛けることになった……


「あの……どこに?」

楠さんの運転する車でどこかに向かって走ってるらしい。

「直接相手に会ってみたいでしょ?」
「え!?」

相手って……あの携帯に写ってた人のこと??

「え?あ…でも……その……」

私はそんなことに慣れてなくて……どんな風に相手の人に会えばいいんだろう?

「会わせてあげるから直接本人に聞くといいよ」
「楠さんはあの相手の人が今何処にいるのか知ってるんですか?」
「うん。今一緒に撮影してるから…撮影の合間抜け出して来たんだよね」
「え?じゃ…じゃあお忙しかったんですね!!ご…ごめんなさい!こんな事に巻き込んじゃって…」
「え?ああ…大丈夫。ちゃんと時間見てるから」
「でも……」
「今回はオレもちょっとムカついてるし」
「え?あ…浮気疑惑の事ですか?」

そうよね…楠さんレンジさんと仲がいいから余計気にしてくれてるんだろうな……

「いや…そっちは全く気にしてないんだけどさ」
「はい?」
「別の事でね……だからレンジは恭子さんにお灸をすえてもらった方がいいの ♪」
「え?あの……」

そんな私に楠さんはニッコリと笑うだけで……一体どう言う事なんだろう?


「智鶴ちゃんこっち」
「はい……」

辿り着いた場所は結構な広さの公園でそんな中に池があってその周りで撮影のスタッフの人が
たくさんいて……初めてそんな所を見た私はちょっと驚いちゃって……

しかも見覚えのある俳優さんや女優さんもいる……
ひゃあああああ……こんな時なのに何だか緊張しちゃう〜〜〜

「大丈夫?」

楠さんがそんな私に気付いて優しく話しかけてくれた。

「は…い…ビックリしましたけど大丈夫です」
「今休憩中らしいから気にしなくていいから」
「はい……」

でも……ここにあのレンジさんと一緒に写ってた人がいるのよね……

「ねえ飛田何処にいる?」

楠さんが近くにいたスタッフの人に声を掛けた。

「飛田さんですか?えっと……ああ!あそこに」

そう言うと辺りを見渡して何人か集まって話してる集団の方を指さす。

「あ!ホントだありがと ♪ 智鶴ちゃんいたよ」
「え”っ!!」

そ…そんないきなり……ですか?こ…心の準備がっっ!!

「飛田〜〜〜〜ちょっとこっち来て!!」

そう言って楠さんが飛田さんって言う人を呼ぶ……
私はぎゅっと目を瞑って俯いちゃった……

だって…こんな事今まで経験したこと無かったし……
まさかこんな急展開で相手に会うなんて思わなかったし……

で…でも…ここまで来たらちゃんと確かめなきゃ……
楠さんだっているんだもの……大丈夫よ……

しっかり……しなきゃ……私…レンジさんのこと好きだもの!!
好きだから……自分でちゃんと話さなきゃ……うん!!

目の前に人が来た気配がしたから……私は俯いてた顔を上げた。





『何レンジ昨夜の事何も憶えてないの?』

あれから必死に記憶を辿り何となく思い出したのは記憶の片隅に
惇の野郎が出て来たって事だ。
惇には言えねぇが藁にも縋る思いだ。

「お前昨夜打ち上げに来たよな?」
『なに?それも覚えてないの?』

携帯から聞こえて来る惇の声は何となく呆れ声に感じる……

「ああ…なんとなくしか……」
『ふーん…で?だからなに?』
「いや……その時俺どうだった?」
『どうだったって…大分ご機嫌に飲んでたけど?』
「マジか?」
『マジで』
「俺1人だったか?」
『はあ?どう言う意味だよ?打ち上げなんだから1人のはず無いだろ』
「いやそう言う意味じゃねぇ……オイ惇」
『ん?』
「お前何か知ってるんじゃねーだろうな?」
『はあ?何の事?何かあったのか?』
「………」

ったくこう言う時惇の野郎は曲者なんだよな……下手な事言えねぇ……

『そんな事よりレンジ』
「あぁ?」
『智鶴ちゃんとちゃんと話したか?』
「………いや…酔って帰ったしな…朝起きたら智鶴も出掛けてていなかったし…」

まさか出て行ったとは言えねぇ…

『昨夜ちゃんと話せって言っただろ』
「仕方ねぇだろ酔ってたんだから!」

ってそんな話したっけか?憶えてねーーーー!!

『……そうだな…酔ってたんじゃな……自分の身に何が起きたかも覚えて無いんだろ』
「は?どう言う意味だよ?」
『別にたいしたことじゃないんじゃね』
「は?」
『昨夜の事を少しは思い出せる物送ってやる』
「何だよ」
『見りゃわかるってオレ人と待ち合わせしてるからじゃあな』
「あ!オイちょっと待て!惇!」
『ツーツー』

本当に切りやがった……携帯から聞えてきたのはすでに切れてるとわかる音だ。

「クソッ!結局何もわかんねーじゃねーかっ!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

「ん?」

すぐに携帯が鳴ってメールが届いた。
さっき惇が言ってたヤツか?あまり深く考えずメールを確認すると何か添付されてた。

「何だ?………なっ!!!」

見た瞬間血の気が引いて身体中に嫌な汗が流れた。
今朝から何度目だ!

「何だこりゃ……」

惇から送られて来た写真……
そこには寝てる俺の肩に見た事の無い女が寄り掛かって寝てる写真だった。
合成写真じゃ無い限りこの写真は本物って事なんだが…いや……ちょっと待て!
どう考えても記憶がねぇ……一体いつ撮られた写真だ……

「くそっ!」

速攻で惇の携帯に電話を掛けたが電源を切ってるらしく繋がらなかった。

それからしばらくして最初からキレまくった黒柳から電話が入ってオレは事務所に呼び出された。







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