Love You !



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「だってレンジさん最近私にそう言うこと全然言ってくれないじゃないですかぁ!!」

「!!」


言い終わった途端本格的に智鶴の瞳から涙が溢れ出した。



「な…ちょっ…!」

やっぱこれは…なんだ……俺が泣かし……てんだよな?
もしそうだとしても……ダ…ダメだ!

「泣くな!!」

俺は慌てて智鶴の涙を自分の手の平で拭った。

「わ…私には言って…ひっく…くれないのに……」

智鶴が自分の涙を両手で拭いながら必死に話す。

「だ…だからあれはドラマの中での事だろうが!!俺の本心じゃねーし兎束だって別に……」
「そんなのわかってます……レンジさんの声と言葉だから気になるんですぅ〜グズッ…」

わ…わかっててもそうやって泣くのか??何でだ??

「智鶴……」

俺はもうどうしていいかわからずとにかく智鶴を抱きしめた。
まだお互い裸だった俺の胸に智鶴のしゃくり上げる息が掛かる…
それに智鶴の手の平から零れた涙も俺の胸に落ちる。

ヤベェ!!ここれは今までに無い展開じゃねーか?
これはやっぱりどう見ても俺が泣かせてんだよ…な?俺のせい……なんだよ……な?

「智鶴……頼む……頼むから泣くな……」

心臓に悪い……女を泣かせたなんて生まれて初めてで……
その初めての相手が智鶴なんて……とにかく抱きしめながら頭も撫でた。
なんならキスも……

「……は……い…クスン…」

キスをする前に智鶴が返事をしたから思わず動きが止まる。
とりあえずホッとして心の中で溜息をついた。
でも智鶴を抱きしめてる腕の力は抜ける事はない……

しかし……これから俺はどうしたらいい?
これから先またこんな事は繰り返す事は目に見えてる。

俺が役者をやってる限りこの問題は無くなったりしねぇ……
やっぱ割り切ってくれっつーのは無理な事なのか?

「レンジさん……」
「なんだ?」

もう俺は智鶴のやることなすことに一挙一動だ。
次泣かれたら俺はどうすれば?

「ちょっとだけ……ワガママ言っても言いですか?」

智鶴が潤んだ瞳と赤いハナと……とにかく無防備な顔で俺を見上げる。
しかもワガママって……待て待て待て!!!堪えろ!!俺の理性!!

「な…んだ?」
「あの……」
「………」
「あの……毎日……」
「毎日?」

毎日なんだ?

「わ……私のこと……」
「………」

智鶴のこと?

「す……」

す?すって何だ?すって!!
俺はちょっとの間も待てないくらい焦ってた。

「 『好きだ』 って言って下さい!!」

「は?」

いきなりの事で俺の思考回路が停止する。
今智鶴は何を言った?

「1日1回で構いませんから……そしたら私……きっと何も不安じゃなくなります……」

智鶴……不安て……不安なのか?

「俺は智鶴の事が好きだぞ。じゃなきゃ付き合わねえし抱かねえし結婚も申し込まねえし
一緒にも住まねえぞ!智鶴だからだ!!」
「わ…わかってます!」
「わかってんのにか?」
「わかってますけど……ちゃんと言葉で言って欲しいです……
レンジさんの言葉と声で……セリフなんかじゃなくて……私だけに……」
「智鶴……」

ああ……1度口にすると図々しくなっちゃう……

「やっぱりダメですか?1日1回じゃ無理ですか?
じゃあ2日に1回……3日に1回までなら……我慢します……」

やっぱりレンジさんにそんな甘さを求めるのは無理なのかな……

「智鶴」
「……はい……」
「 『好き』 でいいのか?」
「え?」
「1日1回で良いのか?」
「…………」
「智鶴?」
「本当は…… 『愛してる』 って言って欲しいです!1日に何度も言って欲しい……けど……」
「けど?」
「レンジさんそう言うの苦手みたいだし……
ごめんなさい……ワガママ言って……今のは忘れて下さい!」

そう言って俯いた……本当バカだ……私って……

「智鶴……」
「……はい?……あ!」

顎に指を掛けられてクイッっと上を向かされてレンジさんと目を合わせられた。

「智鶴……好きだ。智鶴だけを愛してる」

「!!」

智鶴がとんでもなく驚いた顔して俺を見る。
なんだ?なんでそんなに驚く?納得いかねぇ気もするが……

「役者の度胸ナメんじゃねーぞ」

そんな智鶴を真っ直ぐ見つめてちょっと挑む様に言ってみた。
まあ役者の度胸なんて無くても言えるんだが何となく照れ臭くてそんな言葉がポロリと零れた。

「レンジさん……」

ますます智鶴は驚いた顔をする。

「智鶴が望むならいつでも何度でも言ってやる……智鶴……愛してる……」

「レンジさん……」

智鶴が……潤んだ瞳を細めて優しく笑う……

「はい……私もレンジさんのこと愛してます……」



レンジさんが私が望む以上の言葉を言ってくれた……
だから私はもう……胸がいっぱいで……レンジさんの首に腕を廻してぎゅっと抱きしめた。

そのままレンジさんの首に自分の頬を押し付ける。

いつも私がレンジさんに甘えさせてもらってるように……


そのあともレンジさんは私の耳元にずっとその言葉を囁いてくれた……

囁かれて舞い上がっちゃった私はレンジさんが深い深いキスをしたのも……

また私の身体を攻め始めたのも……夢の中の出来事みたいで……


気付いた時はレンジさんの腕の中で眠ってる自分がいた……







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