好きだなんて言ってあげない



これはなんのお勉強?




☆ 軽いR18です


「ここのX(エックス)は5だろ」
「え?3じゃないの?」
「違うだろ」

そう言うと、颯希くんはノートの空いてるところでサラサラと計算しはじめた。

ここは颯希くんの部屋。
どうして私が颯希くんの部屋にお邪魔してるかというと、2日後にある中間試験の勉強をするためなの。

ここでお話なんかだと、颯希くんが不良のクセに頭はイイ!なんて設定なんだろうけど、
期待を裏切って颯希くんの成績は中の上くらい。
なんて言ってる私は、中の中か下を行ったり来たりしてて、颯希くんより成績は下なのよね。
ほんのちょっとの差だけど。

学校からの帰り道で中間が近いって話しになって、成績のことでちょっと言い合いになって……。
だって颯希くんが 『俺の方が永愛より頭いいから勉強教えてやろうか』 なんて得意気な顔で言うから……。

どんぐりの背比べなのになんなのよ!その上から目線!!

ってなわけで、一緒に勉強するかということになってしまったわけで……。

どっちが問題解けるか競ってる途中なんだけど……答えが分かれた。

「ホラみろ、やっぱ5じゃねーか。お前の言うとおり3にすると、答え変になるぞ」
「えーー!?颯希くんの計算がおかしいんじゃないの!!もう、貸してよ!!」

私は返ってきた颯希くんの言葉が信じられなくて、颯希くんが持ってたシャーペンを奪い取ると、
そのまま身を乗り出して、颯希くんが書いた計算の隣に自分で計算し始めた。

「……で、こことここを入れ替えるでしょ……それで……」

私はついムキになって夢中になって……だって颯希くんに大きな顔されるなんて
プライドが許さないんだもん!!

「ここにコレかけるだろ」
「うん……」

珍しく気合を入れて、問題を解いたのがいけなかったのかな……。

「ああ!!ホントだ!!3じゃなくて5だ」
「やっぱ俺のほうが合ってた」
「うぅ……悔しい〜って!ちょっと!!」

気づけばナゼか、颯希くんの胡坐をかいた足の中だった。

「え!?なんで?」
「自分から乗っかってきたんだぞ」

颯希くんが私の肩越しに顔を出して、ニヤリと笑う。

「う…うそよ!!」
「ウソじゃねぇって。問題解きながら身を乗り出してきたから、ちょっと誘導してやったら
当たり前のように俺の足の上に乗っかったぞ」
「もうっ!」

言い争ってるよりもサッサと離れなきゃ!

と思って身体をずらしても、ガッチリと腰に腕が回されて後ろから抱きこまれてて無理だった。

「ちょっと、颯希くん離してよ。おりれないじゃない!」

抱え込んでる颯希くんの両腕を外そうと、腕を引っ張るけど全然ビクともしない。

「永愛」
「やだぁ!!」

ハムリ!と耳朶を唇で挟まれた。
そのままちゅっと耳朶を口の中に含まれる。

「あ……んっ……」
「永愛」
「やっ……耳に息……やだぁ」
「お前耳弱いな……可愛い」
「んあっんっっ!!」
「あんま動くなって。モソモソお前の尻が動いて余計その気になんだろ」
「!」

そんなこと言われたら動けなくなった。

クスリと颯希くんがハナで笑ったのが聞こえると、容赦なく颯希くんの舌が私の耳を舐め始めた。

「やっ……気持ち……悪っ……」
「バカ……気持ちいいだろ」

耳に直接囁くように言われて、身体中がゾクゾクと落ち着かない。

「ちょっ……颯希くん!?ふざけないで!」
「恋人同士で部屋にふたりっきりで、彼女から誘われたら男ならイクだろ」
「誘ってないし彼女でもないでしょ!!私達はフリなんだんから!!こんなことする理由ない!」

そう……私達は付き合ってるってことになってるけど、本当は付き合ってなんかない。
付き合うって承諾しなかったら、その場で私の初めてを奪われるところだったから。
仕方なく頷いただけだもん!!

それに初めてが学校の保健室のベッドなんて嫌だったし。
って、行為自体も嫌だったんだけど。

「だから、俺からの愛情は拒むことは許さねぇって言わなかったか?素直に受け取れって」

「こ……こんな愛情いらないってばっ!それにこれ愛情じゃないじゃん!」
「どこが愛情じゃないんだよ?」
「私だけにくれるモノじゃないもん!ほ……他の女の子にもあげてるくせに!あっ!やんっ!」
「お前いつの話してんの?」
「い……いつって……」
「今は永愛だけだっつーの。まあ今まで、愛情って言えるだけの気持ちで付き合ってたかは
疑問なんだけどな」
「ふにぁ……あん……」

頬っぺたにチュッチュッと触れるだけのキスが繰り返されて、制服の裾からスルスルと
颯希くんの手が私の身体を撫でながら上にあがってくる。
しかもいつの間にか、中に着てたキャミソールも捲り上げられて、素肌に颯希くんの手が触れてる。

ヤバイと思って立ち上がろうとしても、颯希くんの胡座の上でアヒル座りみたいになってて、
足に力が入らなくて立てなかった。
(制服はセーラー服だから簡単に上着の裾から手が入れられちゃうのよ!!)

「ひゃっ……ダメだってば!颯希くん!!これフリの彼女にすることじゃ……あっ!」

颯希くんにつられる形でドサリと2人で床の上に横向きで横に倒れこんだ。

「俺はする」
「バカッ!!しないってば!!ふむっ!!」

仰向けにされて、逆羽交い絞めみたいに颯希くんの身体で、私を封印するみたいに抱きしめられた。
私の背中から回された颯希くんの腕が、顔まで伸びてがっしりと頭を固定された。

「!!」
「永愛」

やあーーーー!!その欲情こもった視線やめっ!!

「さ……颯希くん!!お……落ち着い……んんっ!!」

目の前の颯希くんの頭が斜めを向いたと思ったら、そのまま私のほうに近づいてきて
激しく唇を奪われた。

「うっ……はふっ!……んはっ!」

颯希くんは呼吸する音がときどき聞こえるくらいなのに、私は呼吸困難みたいにあふあふして
颯希くんの制服のワイシャツを引っ張る。

でも、やめてくれない。

あの彼女のフリでいいって言われて、付き合ってるフリが始まってから軽いキスは何度かされたけど、
ここまで積極的で強引なキスは初めてで……。
しかも2人っきりの部屋の中って、非常に危ない状態なのではっ!?今さら??私?

だってだって……いくら颯希くんが私のこと好きだって言っても、私は好きじゃないって言ってたから、
そんな強引なことしないと思ってた。
あのときだって、結局やめてくれたもん。

「さ……つき……くん……やめっ……ねえ……もうやめようよぉーーー」
「まだダメだ……もう少し。それに今日は胸しか弄んねーから心配すんな」
「ふえっ……」

心配すんなって……無理だもん!

「永愛……俺はお前が好きだって言ってんだろ」
「私は……好きじゃないって……言って……」
「わかった、わかった」
「ひやぁっ!!」

胸に生暖かいモノが触れたと思ったら、きゅん!と変な感覚が胸から背中に走った。

「ちゅうっ」
「!!」

きゃーーーーーっっ!!な……なんで??
いつのまにか制服が上まで捲り上げられてて、ブラがズラされて自分の胸が露わになってる!!
その胸に颯希くんが、かぶりついてるよ!!

「やっ……バカバカ!!颯希くんの変態!!」
「はい、はい」
「ふんっく!!」

声がハナから抜けたら変な声になった。
だってペロンと胸の先を舐められて、パクリと咥えられて、咥えられたまま舌で舐められてる!!

「永愛……可愛い」
「ひっ」

両手で胸をむにゅっと揉まれて、指で胸の先をくるんと弄られた。
しかも、両方同時に。
そのせいで身体がビクンと跳ねた。

「やぁ!」
「感度いいな永愛」
「あ……も……やだぁ颯希くん……」
「んー」

んーじゃない!
そのあとも颯希くんは私の胸から離れず、散々弄り回して舐めまくって、吸われて噛まれて、
あんなことやこんなことされ続けた。

「ふぅん……も……颯希くんの……意地悪……や……やめてって言ってるのにぃ……」

もう、あんまりにもいいように弄られて息は弾むし心臓はドキドキしっぱなしだし変な汗は出るし。

「ひっく……」

ああ、涙まで出た。

「感じすぎたか」
「うえ?」

やっと胸から顔を上げた颯希くんが、目尻に溜まった涙をそっとくっつけた唇でちゅっと吸いとった。
そのまま起き上がって、片方だけ膝を立ててクスリと笑うと私を見下ろしてた。
しっかりと私の足の間に陣取って。

「言っただろ、追々ちゃんと段取り踏んでやるって。しばらく胸を可愛がってやるからな」
「や……やだよ!颯希くんにそんなことされる理由ないもん!」
「あんだろ?」
「どこに?」
「お前俺の彼女だし、俺永愛のこと好きだし」
「!」

颯希くんってばどうしてそう恥ずかしいことを真面目に言うのかなぁ?

「もう別れるぅ。彼女のフリもやめるからぁ」

グズグスハナをすすりながら、止まらない涙を手の甲で拭う。

嫌だったとか悲しいからとかで泣いてるワケじゃない。
ただ初めての体験でビックリしたのと、あんな声とか出しちゃったりして恥ずかしいとか、
いろんな気持ちがぐちゃぐちゃして……
それが全部颯希くんのせいだと思うから、颯希くんとは別れる!彼女のフリもやめるんだから!

「却下」
「うっ……」
「別れるわけねぇだろ」
「…………」

颯希くんの手が私の頬っぺたを優しく撫でる。

「ひゃん!」

そのままムニュッと頬っぺたを摘ままれた。

「逃がすか」
「わ……私は颯希くんのことなんて好きじゃないから別れるの!」
「俺は永愛が好きだから別れないの」
「むう〜〜〜」

自分の思い通りにならなくてムッとくる。

「誘ってんのか」
「怒ってるの!ご機嫌ナナメなの!」
「はい、はい」

「颯希ー!?いるのぉ?」

「!!」

下から声をかけられてビクッと身体が跳ねた。
あの声はおばさんだ……颯希くんのお母さん。
きっと仕事から帰って来たんだ……確かどこかにパートで勤めてるはず。

「あ!」

自分が今どんな格好になってるか気づいて、慌てて制服に触るといつの間にか露わになってた
自分の胸は、ちゃんと下着もキャミソールも下ろされてて制服も、もとの位置に戻されてた。

「…………」

いつの間に……。
思わず颯希くんを下から見上げた。

「ああ」
「誰か来てるのーー?」

あ……そっか靴があるから……。

「永愛」
「ええっ!?永愛ちゃん?永愛ちゃんってあの永愛ちゃん?」
「そう」
「まあーーー久しぶりじゃない!ねえ下りて来なさいよぉ。一緒にお茶しましょうよーー!ねぇーー?」

「だってさ、どうする」
「……いく」

これ以上、颯希くんと一緒にいたらなにされるかわかんないもん。
おばさんのところに逃げる。

「今いく」
「わかったーー♪」

ゴシゴシと、もう一度目を擦って涙のあとを消す。
でも、目が赤いのはどうしよもないか。

「もう、颯希くんの部屋には来ないから」
「なんで」
「こうやって変なことするから」
「ふーん……じゃあ今度は永愛の部屋な」
「は!?なんで?」
「俺の部屋がイヤならそうなんだろ」
「そんなの無理に決まってるでしょ」
「なんで」
「だっ……だって、またさっきみたいのヤダもん!!」
「付き合ってたらするんだよ」
「じゃあ付き合うのやめる!!」
「じゃあ即身体にわからせるぞ。俺はそれでもいいけど」
「!!」

颯希くんはニヤリと笑ってる……きぃーーーー悔しい!!

どっちにしても、私の身体は常に狙われてるってことなの!?

「もう今日みたいなことは許さないから」
「はい、はい」
「ホントだよ!!」
「じゃあ俺に隙見せんなよ」
「ぐっ……」
「隙見せたら知らん」
「…………」
「往生際が悪いったら……」
「え?」

ボソリと颯希くんが何か呟いたみたいだけど、私には聞えなかった。

「別になんでもねぇ……ほら、お袋待ってるから行くぞ」
「うん……」


久しぶりのおばさんは、私がここに来たことをすごく喜んでくれた。

目の赤いのも指摘されたけど、颯希くんが 『イジメたら泣いた』 と言っておばさんに頭叩かれてた。
あながち間違いじゃないけど、子供の頃もよくイジメられて泣いてたからおばさんも納得したらしい。

しかも、颯希くんがおばさんに交際宣言なんてしちゃうから、おばさんのテンションはさらに
上がってしまって、また颯希くんの家に来ることを約束させられてしまった。

『永愛ちゃんのお母さんにあとで電話しなくちゃね〜〜』

いやーーー!!うちの親には何も言ってませんから!
このまま何もなかったことにしてほしいんですけど!!

って、おばさんは聞いちゃいない。
あの様子じゃ今日にでも電話しそうな勢い。

「はあ〜〜」

颯希くんに送られながら溜息ばっかり。
送られるっていっても、たかが徒歩数分。

「また明日な」
「…………」
「シルシ見て、俺を思い出せ」
「え?」

そう言って颯希くんが、私の心臓の上辺りを人差し指で触れる。

「じゃあな」
「うん……」

ああ……私ってもしかして流されてる??




「うぎゃっ!!」

その日の夜、シャワーを浴びて自分の胸を見て驚いた。

シルシって……これって……キス・マークのこと?

あのときは、全然気づかなかったけど、私の胸には所狭しとたくさんの赤い痕がたくさん散りばめられていた。

「うう……恥ずかしい……」

一気にあのときのことが頭に浮かんで、しばらくの間浴室から出ることができなかった。


もーーーーー!!颯希くんってば!!















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