オレの愛を君にあげる…



56




『ねえ、椎凪…』
『ん?』
『オレ……身体は女だから、椎凪は女の人と同じようにオレのこと抱くでしょ?』
『そーだね』
『オレ、本当は男なのに…女みたいに抱かれて感じるんだ……なんか…嫌だな…』
『耀くん…』

最後までオレに抱かれるのを拒み続けた耀くんが、最後に溢した言葉。
それでもオレは……耀くんを抱いた。

『耀くんが男の子の身体でも、女の子の身体でも同じことだよ。オレは同じように耀くんを抱くから。身体は関係ないんだ』
『椎凪…』

そう囁くと、オレはそっと耀くんにキスをした。




「ん……」

耀くんがオレの下で、一生懸命声が出るのを我慢している。
そうなる前に、耀くんとたくさんのキスをした。
振れるだけのキスも、お互いの舌を絡ませるキスも、耀くんを翻弄させるキスもたくさんした。

「し…椎凪…ハァ…」
「ん?」
「オレ…どうしたら…いいの?」

ずっと目を瞑ったままの耀くんが、息を弾ませながらオレに聞く。

「自然でいいんだよ。声が出るなら声出して。我慢することはないんだよ」
 
そっと耳元で囁いた。
囁いたあと、ちゅっと耳にキスをして耳たぶを甘噛みして、舌で優しく舐めればヒクンと耀くんが肩を窄める。

「だって……は…はずかしい…あっ…」
「可愛いね。でもきっと、声が出ちゃうよ。くすっ」
「……え?」

ただでさえ半年間、女断ちしてたんだよ。
しかも、今日の相手は耀くんなんだから。
オレがどれだけ嬉しいかわかる?
感じた声を我慢できるような抱き方、オレがするわけないでしょ。
張り切らないわけないじゃないかぁ!

「……あっ…ん…」

耀くんがオレの下で乱れてる。

「あっ…やっ…そこっ…ダメっ…ん…やめ…」

ときどき耀くんがオレをとめようと、手を出して邪魔をする。
だからオレはそんな手を押さえつけて、さらに攻め続ける。

「…んあっ…椎…凪…やぁ…」

凄い耀くん……初めてなのに、こんなに感じるんだ。
感じやすいんだね、初めて知った。

耀くんの身体を、オレの唇と舌と手で確かめていく。
耀くんの身体でオレが触れていないところはないほどに、耀くんの身体のすべてを確かめる。
オレに触れられるたびに、今まで見たことのない耀くんがオレの目の前に現れる。

耀くん……好きだよ。
耀くんのすべてを、オレに……ちょうだい。

「…はぁ…はぁ…」

耀くんの呼吸が浅く速い。
そんな耀くんを見下ろして息を呑む。
なんか、凄いドキドキしてきた。
初めてのときだって、こんなにドキドキしなかったのに。
落ち着け……オレ!
耀くん……ついに、オレのものになってくれるときがきたんだ。
でも今の耀くんはオレがなにを言っても、なにも耳に入らないみたい。
息が弾んで、必死になにかを堪えてる。
ホント、がんばるね。
でもね、これから先はどうかな。
オレは耀くんの両足を、膝を掴んで広げる。
無意識にコクリと喉を鳴らす。

「耀くん……」

オレはできる限り、優しく静かに……耀くんにを求めた。
潤んでオレを迎え入れる準備ができたそこに、オレ自身をゆっくりと押し進めていく。

「うっ!」

え? なに?
思わず動きがとまる。
すげ…キツっ! 入んねー!?

「…………」

暫し硬直。
最後まで押し切れず、途中で止まった。
初めてだとわかっていたけど、今まで数え切れないほどの女の子を相手にしてきて、こんなこと初めてだっ!
体格差があることはわかってた。
だから十分に解したつもりだったんだけど……恐るべし処女か?
それとも、小柄な耀くんだからなのか?
それともオレのが……?
いや、普通だと思うんだけど?
でもだからってオレを受け入れられないことはないだろうから、今まで以上にゆっくりと優しく解しながら腰を進める。

「いっ…!」

耀くんが、なにかを言いかけた。

「い?」
「ったあああああああーーーーーーいっ!!」

次の瞬間、叫び声と共に耀くんが思いっきりオレを押し戻した!

「ええっ!?」
「いたいっ! いたいっ! いたいっ!! どいてっ! どいてっ!」

パニックになりながら、オレの胸や肩ををバシバシ叩きまくる。

「よ…耀くん! 落ち着いてっ!」

 叩きまくる耀くんの腕を掴んで、ベッドに押しつけた。

「まっ…まだ最後まで入ってないってっ! まだダメだよっっ!!」

って、オレなに言ってんだっーー!!
 
「やだっ!! いたいっ! だめっ! オレ無理っ!! ううっっ…」

さらにパニック状態だ。
唸りながら、両膝を立てて力任せにオレの身体をギュウギュウと締めつけだした。

「ちょ…ちょっと耀くん、締めつけないで。キツイってか、腰痛いって…」
「うーっっ知らないよっ! 力、入ちゃうんだもん! だからやめてっっ!!」

もう半べそ状態で、ギュッと目も瞑ったまま抵抗する。

「耀くん…」

冗談じゃない! 今さらやめられるかっつーーの!
ここで、耀くんを気遣ってやめたとしたら、今度は今日のことを怖がって次はいつオレに身体を許そうと思ってくれるかなんてわからない。
オレは耀くんの両腕をベッドに押さえつけたまま、声を出す耀くんの口を自分の口で塞ぐ。

「……んぐっ……んんっ……」

こんなことに不慣れな耀くんに、激しく舌を絡ませるキスをしながらさらに腰を進めていく。
本当に狭くてキツイ耀くんの身体。
たぶんここを押し進めれば、さらに痛いだろうと思う場所にたどり着いた。
でも、オレは意を決してその先に進む。
ごめんね、耀くん!
耀くんを押さえつけたまま、強引に最後まで押し切った。
その瞬間、予想どおり耀くんの身体がビクンと反り返った。

「っ!! やああああああっっっーーーー!!」

重ねていた唇を振り切って、耀くんが声を上げた。
すごい強引だったけど、大丈夫だったかな?
でも……マジ、キツイんですけど。
今までそりゃそういう子もいたけど、そんなの比じゃないくらいキツイ。
未だに身体に力が入ってるせいもあるんだろうけど。

「はぁ……はぁ…」
「……ふぁ……んあ……」

しばらくふたりの乱れた息だけが聞こえてた。
オレまで息が弾んでる。
ウソだろ? たった、これだけのことで?
でもなんだか、精神的にどっと疲れた。

「もー椎凪キライっ!! ばかっ!! ばかっ!!」

耀くんがオレに怒鳴りながら、オレの両方の頬っぺたを思いっきり抓る。
痛いって、耀くん。
オレは疲れてて、声には出さずに心の中で呟いた。

「こうしてやる……」

そう言って涙を浮かべた目で、さらに強く頬を抓る。
わかったって……わかったから。
ホント、ごめんね耀くん。
でも初めての子ってこんなの? こんなにキツイ?
それとも耀くんが締まりすぎなの?
わかんねー。
耀くんにも初めての体験かもしれないけど、オレにとっても初めての体験だった。
恐るべし『処女』だ。
でもね、耀くん。
本番はこれからなんだよ。
でも、明らかに警戒し始めてる耀くん……大丈夫かな?




「うーううっ……んんっ……んくっ……」

あれからずっと、耀くんを攻め続けてる。
最初は加減してだけど、少しだけ耀くんを押し上げる速度を速めて様子を見てる。
耀くんは辛い顔をしたまま、この行為に耐えてるって感じだ。
耀くん……感じるどころか、きっと辛いんだろうな。
まだこんなことをしたくなかったのに、オレが強引にもってっちゃったからな。
やっぱ、まだ早かったか?
心の準備ができてなかったんだろうな。
そんなことを思いつつも、それでもやめるつもりなんてさらさらなくて、どうしたものかと考えていた。

「あ…ふ…ぅ……」
「!」
「…んっ…」
「!?」

なんだ? 耀くんの様子がちょっと変わった。
オレの肩を力任せに掴んでいた手から、力が抜けていく。

「…あっ…あっ…」

零れる声も、堪えてる声じゃない。
感じてる声だ。

「…あ…ん…」

そんな可愛い声を出しながら、耀くんがギュッとオレにしがみついた。
ああ……耀くん、感じてるの?
オレで、感じてくれてるの?

「…あ…あ…んっ…んっ…」

オレに押し上げられる度に声が漏れる。
その声を聞くたびに、オレはなんとも幸せな気分だ。
こんな嬉しい気持ちで、するのは初めてだった。
そう思うと、いきなりオレの中でスイッチが入った。

ギシッ!

「……あっ!!」

大きくベッドが軋む。
オレが体勢を変えて、耀くんを攻めたから。
耀くんの脚を抱え上げて、耀くんの奥へ奥へと攻めていく。
さらに速度を速めて、耀くんに叩きつけるように腰を動かす。

「…っ! ああっ! あっ! あっ! ああんっ! ひやぁ!! あっあっあっ!!」

まだ少し痛がってる様子の耀くんだけど、オレは気にせず攻め続ける。
だって……もうすぐ、また新しい耀くんが見れる。
オレはワクワクしながら、そのときを待つ。

ああ……両想いの相手とするのって、こんなにも楽しくて嬉しいことだったんだ。
初めて知った。
ありがとう、耀くん。
好きだよ、耀くん……好きで好きでたまらない。
愛してるよ、耀くん。

「やっ…椎凪…ダメッ!! やあっ!!」

耀くんがキュッっと眉を寄せてオレを呼ぶ。
辛いからじゃないことはわかってる。
そう……もうそろそろだ。

「な…に? 耀くん…」

ギシギシと激しくベッドを軋ませながら、ワザと声をかける。
ガクガクと揺すぶられてる耀くん。
返事、してくれるかな?

「かっ…身体が変なのっ!! ヤダッ…あっ!!」

戸惑ってる耀くんが可愛い。
しかも無駄なのに、オレを押しのけようとしてる。

「耀くんそれが『イク』ってことだよ。逆らわないで、大丈夫だから」

やめるもんか。
だって、これからだよ……耀くん。

今夜は離さないからね。





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