この手をはなさないで・季也side



02




「華」

そう呼ぶと、いつも気安く名前を呼ぶなって言われる。

「華、可愛いな」

そういうと、自分は可愛くないって否定する。

でも最近はそう言いながら、なんとなく俺を受け入れてくれてた気がするんだよな。
前みたいに邪険にされなくなったし、俺が傍にいることを気にしなくなったし。

俺のことを好きになったからってわけじゃなくて、ただ単に反抗するのを諦めただけっていうのもあるけど。
粘ってみるもんだ。

華……本当に好きなんだ。
華との関係も良好で、そうなると今まで諦めてた欲望が顔を出す。

華の全部が欲しい。

きっと華は全部が初めてのはず。
だから俺が、その全部の初めてになりたい。

だからそのための努力は惜しまなかった。
華に避けられないように、嫌われないように、ちょっとずつ華との男と女の距離を縮めていく。

今までも軽く華には触れてた俺。
最初は俺から離れようとしてた華も、最近じゃ大人しく俺の腕の中におさまっててくれるときもある。

華と何度目かのデートの帰り道。
ああ、デートって言っても華は渋々なんだけどな。
俺が強引に連れ出してるだけだけど、華は断れずに俺の言うことを聞いてくれる。

華も俺のこと好きになってくれたんだよな?
自惚れでもなく、華の態度見てれば俺にはわかる。

華の家の近くの公園で、初めて華とキスをした。

「キスしてもいい」

不意打ちに近かったかな?なんて思うけど、キスをしたあと華は俺を殴ったりしなかった。
少しは覚悟してたんだけど、やっぱり俺の思ったことは間違ってなかったことが立証されたんだ。

華も俺のことが好き。

「初めて?ホント?マジで?すんげぇ嬉しい」

そのとき俺がどんだけ嬉しかったか。
女の子とキスして、こんな嬉しかったことなんて初めてじゃないか?

そうなると、もっと華が欲しくなる。
キスも毎日するように慣らした。
最初は引いてた華だけど、気を使って人目のつかないところなら嫌がらずにしてくれることがわかったから。

俺はどこでも誰の前でもかまわなかったんだけど、華に合わせなきゃふたりに未来はない。
大袈裟じゃなくて、華って奥手だから仕方ない。

初めてのキスから2週間、華の前に現れてから約2ヶ月。
今までの俺からは考えられないほど待ったと思う。

今まで彼女もいたことあるから、俺は華が初めてじゃない。
だからって、言い寄ってくる女の子全部相手になんてしたこともない。
そこまで遊び人じゃないし、女の子を軽く見てたわけじゃない。

でも、付き合ってかなり早い段階でそういう仲になってたことは否定しない。
だって、お互いそういうのに興味もつお年頃だったし、好きあって付き合ってたわけだし。

それなりの経験は積んでたから、俺からリードすんのも当たり前ってことで。

デートの帰り、華を送りながらなんとか家に入れてもらえることに成功した。
華が俺にコーヒーを淹れてくれて、ふたりでリビングのソファに座って飲んだ。

華んちはマンションで、まだ築年数が浅いのか中はキレイだった。
華の部屋が見たいってゴネて、仕方ないなぁって感じで部屋まで案内してくれた。

華……甘いよ。
男は皆、オオカミなんだぞ?
俺も今そうだ。
華限定だけど。

華の家に入ったときから今日は華を抱くつもりだった。
そのための下準備は今までしてきたつもりだし、華が俺を誰もいない家に入れてくれたときから、
華にもある程度覚悟はできてるんじゃないかと思ってたから。
華の部屋に入ってドアを閉めてすぐ、後ろから華を抱きしめた。

「華の全部がほしい」

その言葉で華の身体がピクンとなった。

「怖がんないで。優しくするからさ」

後ろから、華の耳をペロリと舌の先で舐めた。
そしたら華が 『ひゃうっ!』 って色気も何もない声だした。

クスリと笑って、そのまま耳を唇でハムハムと噛んだ。
耳朶も噛んで舐めて、そのまま首に唇を移動していく。

華の身体は俺がなにかするたびにピクピクと跳ねる。

優しくするから……大事にするから……大切にするから……。

そのまま華をベッドに横たえる。
見上げられた華の瞳は潤んでて、ちょっと怯えてる。

大丈夫……華はなにも心配することなんてないから。
そんな気持ちを込めて、にっこりと華に向かって微笑んだ。

処女は初めてじゃない。
そんなに多くもないけど……自分も初めてじゃないんだから、相手だって俺が初めてじゃないのも当たり前なのに、
あまりにも経験済みが多かったのには驚いた。

みんなやることやってんだな、なんて妙に納得したりしてた。

華にキスを何度もして、ゆっくりと華の身体を解していく。
はにかんで、小さく震えててピンク色に頬染めて……ああ、可愛いよな。

ゆっくりと華の着てる服を脱がしていく。
ここで焦って、盛りのついた奴みたいな行動はしない。
気持ちはそうだったけど、華は初めてだから嫌な思い出にはしたくない。

俺の唇と舌と手のひらと指で、華の身体を解していく。

胸も小さくもなく大きすぎることもなく、俺の手にはちょうどいい大きさで柔らかい。
胸の先を軽く唇で挟んだ。
吸って舌で弄って、最後にちゅっと触れるだけのキスをする。
反対の胸も同じことして、最後は両方の胸を両手で下から掬い上げるように揉んだ。

嫌がってない華にホッとしつつ、もっと乱れてほしいなんて思う。
俺を欲しがってほしい。
今すぐには無理だろうけど、いつか華から俺を誘ってくれたらいいのに、なんてことまで想像した。

恥ずかしがる華の身体に、しつこいくらいにキスと舌を這わす。
腿の付け根と内側に触れたときが一番反応して、恥ずかしがって身体を捻る。

逃がさないっての。
優しくしながらも、華を俺で拘束するのも忘れない。

広げた足を閉じさせないように、かなり早い段階で華の足の間に自分の身体を滑り込ませてた。
華の身体で一番敏感な場所。
俺以外の誰も見たことも触れたことのない場所を指で触れる。

今までで、一番華の身体が跳ねた。
モジモジ動く腰を片手で捕まえて、華の中に入れてる自分の指を動かすと華の顎が反り返った。
ギュッと瞑ってた瞼から、ポロリと涙が零れる。

嫌がってるわけじゃないと思うから、俺はそんな瞼にそっとキスをする。
そのまま頬にキスして、最後は唇に。

初めてなりに感じてる華の声が、のけ反って開いた口から漏れてる。
それを俺の口で塞いで、舌を絡めて華を堪能する。

「んっ……うぅ……んんっ」

ほどよく潤ってきた華の身体。
まずはそのまま指でイカせて、華の身体から緊張を追い出す。

くったりとしてる華。
浅い息に、ほんのりと赤く染まってる頬に、ちょっとだけ開いてる唇。

「華……」

くったりとしてる華の身体を、ぎゅっと抱きしめた。
華は俺にされるがまま……俺はそんな華の身体に、触れるだけのキスを繰り返す。

一度、華から離れて華の両膝の後ろに手を入れて引き上げて広げる。
ドキドキしながら、準備が終わった俺自身をあてがって華を見下ろす。

なに?ってトロンとした目で見つめ返されて、俺の理性の糸が切れたような気がした。

多少気を使ったと思うんだけど、気づいたら華をぎゅっと抱きしめてて……
華の中に俺はいた。


「……んっ……は……ぁ」
「華……」

眉間にシワを寄せて、目の端にはうっすらと涙を溜めてる華。

「痛いか?」
「……ん……でも……我慢……できる……」

痛いなんて当たり前なのに、わざわざ聞いてどうするんだっての!俺!
自分で思ってる以上にテンぱってるのか?俺??

そんなふうに自分に突っ込みながら、唇で華の涙を掬った。

「華……」

肘をついて、両手を華の手と指を絡ませて繋ぐ。
繋いだ途端、華からもぎゅっと握り返してきた。

「んあっ……」
「……はっ……」

ゆっくりと動くと、俺も華も声がもれる。
今まで、このくらいで声なんてもれたか?俺?
でも、すんげー気持ち良いんだもん……仕方ないって。

「華……」
「んっく……あっ……あんっ……んんっ」

ゆっくりと腰を動かしながら、華にキスを繰り返す。
俺が動く度に同じように揺れる華。
舌を絡めるキスもまだまだぎこちないけど、これからずっと俺としてれば嫌でも慣れるから。

ゆっくりとした動きも、だんだんと早くなって繋いでた俺の両手は、今は華の両足をしっかりと抱え込んでる。

「あっ……あっ……せんぱ……あっ……」
「華……」

もう気を使ってやることも、優しくすることも、頭の中から抜けてたらしい。
とにかく激しく華を攻めあげてた。

片手は華の腰を掴んで、もう片方の手は肩に担いだ華の足を逃げないように掴んでた。

「あっ!ああっっ先輩……苦し……やあっ!!」
「ハァ……ハァ……華!!」

今まで、なれた相手でしかしなかったような加減なしの抱き方になってたのに、自分では気づいてなかったらしい。
そのせいで、華が必死になって俺にしがみついてたのに、そんな華に煽られた。

信じられないことに、最後は頭の中が真っ白になってた。





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