Love You !



24




軽々と私を抱きかかえたままレンジさんの車が停めてある駐車場に着いた。
スタジオのビルの地下の駐車場。

私を抱きかかえながらリモコンキーで車の鍵を開けて助手席のドアを開ける。

「ごめんなさい…」
「ああ?」
「私のせいでせっかくのデートが台なし…」
「まあいいんじゃねーの?俺は気にしてねーし。」
「私レンジさんに迷惑掛けてばっかり…本当にごめんなさい!」
「智鶴…」
「うっ…」

ああ泣いちゃった…泣かないつもりだったのに…

「智鶴…」

レンジさんがそっと私をシートに下ろす。

「智鶴?」

私は下ろされてもレンジさんの首に廻した腕を外さなかったからレンジさんがちょっと驚いてる。

「どうした?何かあったんだろ?」
「………」

私は黙ってレンジさんを見つめてる…
レンジさんは運転席と私の座ってる助手席に手を着いて私の目の前にいる…

「智鶴…ちゅっ…」

レンジさんが私の額にまたキスをした…

「どうして…」
「ん?」

「どうして唇にキスしてくれないんですか?」

「智鶴…」

「私そんなにキス下手でした?」
「は?」

いきなり智鶴は何言ってんだ?

「もう2度とキスしたくないほど…キス下手でした?」

「はぁ?」

ついに…言っちゃった!!だってやっぱり気になるもの!

「何の事言ってる?」
「だって…レンジさんキスする時いつも額…だし…私と…キス…したく無いんだなって…」

もう…涙がポロポロ…きっととんでもない顔してる…

「何でそんな風に思うんだ?」
「だって…ふ…普通なら…唇にする…と思って……ひっく…」
「………智鶴」
「………」

レンジさんが私の涙を両方の手の平で拭ってくれる…

「俺だって…我慢してたんだぞ…気付かなかったか?智鶴…」

「え?……あ!ダメ!」

「ああ?」

智鶴の唇にキスをしようとしたら今度は智鶴が両手で自分の口を塞いだ。

「ダメ…ダメです!!また幻滅されちゃう…」

智鶴が必死になって唇を死守する。

「あのな…どうしてそう思ってるのか知らねーが何で俺が唇にキスしなかったか
教えてやろうか?」

「え?」

レンジさんの手で私の口を押さえてた両手が外される…
そのままレンジさんは私の両腕を自分の首に廻した…だからレンジさんが凄く近……

「………んっ」

レンジさんが近づいて来たと思ったら…そのまま…なんの迷いも無く…
レンジさんの唇で…私の唇が塞がれた…

あんなに悩んで…考えて…落ち込んでた事を…
レンジさんはいとも簡単に解決してくれた……

柔らかくて……あったかいレンジさんの唇…

あの時は酔ってたからあんまり覚えてないけど…こんな感じだったんだ…

はぁ〜〜〜嬉しい……
こんな一瞬で胸の中がホワンとあったかくなるなんて……

角度を変えて啄ばむ様なキスを繰り返してくれた……
そう言えばどうして唇にキスしなかったのかまだ教えてもらってない…

「……はぁ…」

レンジさんが大分経ってからやっと離れて…って言ってもほんの数センチで
ハナがくっ付きそうなくらいまだ近くにいる…

私が腕を廻してるから余計近いのかな?
でも…接着剤でくっ付いちゃったみたいに自分の組んでる手の指が離れないの…

「ちゅっ…」

また何度も触れるだけのキスを繰り返す…

「智鶴のお許しが出たから…」
「え?」

ホンワカしてる頭でそんなレンジさんの言葉を聞いた…

「もう…我慢する必要はねぇな…」
「……え?」

何だかレンジさんの微笑んだ顔がいつもと違って見えて……
そんな笑顔見た事無いわよ…とっても嬉しそうで…でも悪戯っ子みたいな顔で…なに?

「!!」

いきなりキスされたと思ったらさっきとは比べ物にならないくらい激しいキスが始まった!

「…ふっ……ううっ…んっ…」

レンジさんの舌がビックリしてちょっと開いた口の隙間から入って来て
私の舌に絡まされる……

こ…こんなキス…初めて………じゃないのよね…
きっとあの時はこんなキスをしたんだ…そう…きっとそう…

「……ちゅっ…んん……くちゅっ…ちゅっ…」

静かな駐車場の中に2人の舌の絡み合う音が響いてる…
そう言えば車のドアも開きっぱなし……

「智鶴……」
「ふあ……あ…」

レンジさんがちょっと離れた隙にやっと息を吸った…
息も出来ないほど激しく唇と舌を求められて……

「あっ…」

レンジさんが助手席に乗って来た…
片足の膝はシートに乗って私の足の間にある…

「レンジさ…」

え?なに??

「ひゃっ……」

首筋にレンジさんの顔が近付いたと思ったら柔らかい感触が触れた…
キスされて…身体中の力が…抜けちゃ…う……

「きゃっ…」

ガクン!と身体が沈んで…え?なに??シートが倒されたの?

「わわっっ!!」

シートに乗ってたレンジさんの膝が私の足の下に入って来て片足が上がる。

「やっ…」

もう片方の靴の脱げた足も私の足の間に入って来てたレンジさんの身体の幅だけ広がって車のフロントに突っ張った。

「レレレレ…レンジさ……あんっ!!」

レンジさんの手の平が私のスカートの上から撫で上げられて
腿からお尻に滑る…

その場所から全身に軽い電気が走ったみたいに痺れた…

「あっ…あ…あの…」

いつの間にかブラウスのボタンが3つほど外されてて肩から脱がされかけてる!!!
そのむき出しの肩の肌にレンジさんの唇が何度も何度も触れる…

くすぐったいのに…ゾクゾクもする……

「うっ…うう…ンンっ!!」

噛み付く様なキスもされて…もう…1度にそんな事されて私は訳がわかんなくて…でも…

「レレレレレンジさん…ちょっ…と待っ…ひ…人が来ちゃいます!!ストップです!!」

「…………」

そんな私の言葉でレンジさんがピタリと止まる。

「……ハァ…ハァ…」

私はもう…心臓がドキドキの息がハァハァの…
見下ろした自分の姿はブラウスはボタンが途中まで外れて肩からずり落ちて胸が見えそうだし
片足は車のフロント部分に突っ張っててもう片方はいつも間にかレンジさんの片腕に膝の後ろで抱え上げられてて…
これタイトタイプのスカートだったら捲れ上がって下着がレンジさんに丸見えだった?
良かった〜〜フレアタイプのスカートで…辛うじて膝のちょっと上で止まってる…

でもそんな私の足の間にレンジさんが陣取ってる…

「ちゅっ!」
「んっ!」

唇に軽く触れるキスをされてビクンとなった…

「俺が智鶴の唇にキスしなかった理由わかったか?」
「 ? 」

私は本当にわからなくて首を傾げる。

「智鶴の唇にキスしたらこうなるのわかってたからな…」
「レンジさん…」
「自分を抑えられなくなるのわかってたし…その前に智鶴の気持ちが
そうなっても良いって思うまで待ってたつもりなんだけどな…
それをキスしたくないなんて思われてるなんてよ…勘弁してくれ。」
「だって…レンジさんがそんな風に思ってるなんてわかりません…」
「智鶴の事…大事に思ってるんだぜ…そんなにわかりにくかったか?」
「はい…」
「………はぁ〜〜〜」

惇の言う通りかよ…くそっ!奴の言う通りで腹が立つ!!!

「本当は…こう言う事したかったって事ですか?」
「ああ…したくてしたくて仕方なかったんだよ。でもずっと我慢して堪えてた。」
「じゃあ…私のキスがヘタだったから唇にキスしなかったわけじゃ無いんですね?」
「当たり前だろ!本当はずっと智鶴の唇にキスしたかったんだよ!ったく変な誤解しやがって…」
「……じゃあ…じゃあ…」
「今度は何だ?」

「私がレンジさんの事…好きなってもかまわないですか?」

「 !! 」

また智鶴の瞳から涙がポロポロ零れだした…

「好きに……なっても……いい?」

「俺はとっくに智鶴の事好きだぜ。」

「え?」

「一緒にあの店で酒飲んでた時から好きだった。」

「……うそ…」

「マジ!いい加減俺の事信じてくれねーかな?智鶴!」

「だって……私…綺麗じゃないし…レンジさんのお仕事にも何もしてあげられないし…
重いし…トロイし…面倒くさい女だし…レンジさんに迷惑ばっかり掛けてるし……それに…」

「それに?」

「得意なの…料理しかない…し…ンっ…」

レンジさんが舌を絡ませて深い深い…それでいて優しいキスを長い間してくれた…

「ぷ…はぁ…」

もう私は呼吸困難で頭の中がクラクラ…ううん…気持ちが舞い上がっちゃって…かな?

「俺はそんな智鶴がいいんだよ。言っただろ?智鶴以外の女の事なんて考えてねぇって…」

「本…当?」
「本当だって!信じろ!智鶴!!」
「じゃあ私レンジさんの事好きになっちゃいますよ…
もう勘弁してくれって言うくらい尽くしちゃいますよ…それに耐えられます?レンジさん…」

「だからそう言う女俺は大歓迎だって言わなかったか?」

「もう…逃げられませんよ…」
「逃げるつもりもねぇ!智鶴こそもう離さねぇから覚悟しとけよ。」
「はい!!」
「良い返事だ。」
「レンジさん…」
「ん?」

「好きです……私…レンジさんの事が大好きです。」

智鶴がその言葉を言った時…智鶴のキラキラの瞳とハニかんだ様な顔と…
とにかくありとあらゆる智鶴の全てで俺の全てを掴まれた気がした…

ホントお前は健気で可愛い女だよ…智鶴!!

「レンジさん!!」

智鶴がぎゅっと俺を抱きしめた。

「好き〜〜〜〜 ♪ きゃっ!!」

またシートに押さえつけられてレンジさんの手が私の身体を撫でる。

「レ…レンジさん!?」
「智鶴が誘った。」
「え?え?ダっ…ダメです!!
ここ駐車場で車の中です!!!ここじゃダメ!って言うか嫌です!!」

そう叫んだらレンジさんがまたピタリと止まった。

「確かにここじゃヤベェか…」

身体を起こしながらそんな事をボソッと呟いた。
良かった…納得してくれた…

「じゃあ俺の家でゆっくりとな。」
「え?」
「どんだけオアズケ食らったと思ってんだ?智鶴。」
「べ…別にワザとでは……」
「根性見せろよ!智鶴。」
「え…っと…あの…」

私から離れる時レンジさんはまた私の唇に触れるだけのキスをしてくれた…

でもその後…

またあの優しそうな顔をして悪戯っ子の様な笑顔を私に見せて車を走らせた。





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