Love You !



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「世話になったな惇。」
「いいえ〜」
「何をそんなにニヤケてやがる。」
「いいや〜別に〜」

5分後に本当にレンジさんが社長室に入って来た。
私は嬉しくてホッとしてレンジさんに飛び付きたかったけど
2人きりじゃない事に気付いて思い止まった。

でもレンジさんの身体に廻したい腕はウズウズしてる…

「隠してるからこうやってオレにバレる。」
「別に隠してた訳じゃねぇ。」
「会わせてくれなかったのにか?」
「お前に会わせると面倒くせえからだよ。」
「は?」

何だかいつものレンジさんじゃないみたい?

「大体今まで俺の付き合ってる相手なんて気にした事もなかっただろうが?」
「え?いつも気にしてたよ。レンジが気付かないだけでさ。
でも今回は特に気になるんだよね〜 ♪ もうオレと智鶴ちゃんは友達だからさ ♪ ね?智鶴ちゃん ♪」
「え?あ…そんな…楠さんのご迷惑になっちゃいますから…」

「やだな〜抱き合って手を繋いだ仲じゃない ♪」

「!!」

「え!!そ…そんな!あれは…そんな大それた事じゃないですよ!
あれはあの人達から逃げるのに…あ!」

「ん?…イデデデデ!!!」

「レンジさん!?」

後ろから近づいたレンジさんが両手でグリグリと楠さんのこめかみを押し付けてる!!!

「なんだ?惇?お前嫁さんがいるくせにそういうセクハラな事をしてんのか?ああ?」
「あほかっ!誰がセクハラなんてするかっ!イテェ…な!」

「レンジさん!!」

「!!」

智鶴が突然俺の背中から抱きついた。

「あ…あのっっ!!私の事助け出してくれるためにしてくれたんです!
だから…レンジさん楠さんの事……」

潤んだ瞳でそう言うと更に力を込めて俺の身体をぎゅっと抱きしめる。

「あれれ…」
「智鶴…」
「レンジ智鶴さんを泣かしちゃいかんな。」

静かだけどたしなめる様な言い方の社長さんの声…

「………ああ…」
「レンジさん……?」

レンジさんが身体を捻って私の頭をそっと撫でる……

「もう離せ…智鶴…俺と惇はいつもこんなんだから心配すんな。」
「え?」
「オレが心が広〜〜いから訴えられないだけなんだよ!」
「え?」
「おい惇!変な事言うな。智鶴が真に受けんだろ。」
「はは ♪ ホント智鶴ちゃんて可愛いよね…レンジ智鶴ちゃんが可愛くて仕方ないんだろ?」
「うるせぇ…ど突かれたいかっ!」
「そんな事したら智鶴ちゃんに言いつけるぞ ♪」
「……え?……あの…」
「この2人はいつもこうなんだよ。気にしなくていい。」
「………」

社長さんがくすっと微笑んでくれたから本当なのかとレンジさんを見上げた。

「智鶴…」

優しい眼差しで見下ろされたから…本当なんだと思った。

「ふ〜〜ん ♪」
「ああ?」

惇の野郎が意味ありげにハナを鳴らすから睨みつけた。

「いや…じゃあオレは帰ろうっと!由貴待ってるから。」
「あ…あの…今日は有り難うございました!!」

智鶴が俺の身体から腕を解いてペコリと頭を下げる。

「気にしないで…またね智鶴ちゃん。じゃあ社長また。」

軽く手を振ってドアに向かう。

「後はこっちで責任持ってやる。惇哉君の手をわずらわせてすまなかった。」
「いいえ〜この貸しはしっかりレンジに払ってもらうんでお気遣い無く ♪ なあレンジ ♪」
「ああ…今度ゆっくりな。」
「あの…由貴さんに宜しくお伝え下さい!!」
「うん。ちゃんと伝えとくから。じゃあね ♪」

そう言うと今度は本当にドアを開けて楠さんは帰って行った。

「改めてちゃんとお礼言っておけよレンジ。」
「ああ…」
「何で彼に頼んだ?」
「惇なら俺が戻るまで智鶴を1人にしないからな…」
「ん?」
「きっとウチの事務所の連中じゃ智鶴も気ぃ使って俺が戻るまで1人で部屋に閉じ篭ってだろう。
惇なら智鶴を不安にさせないまま俺が戻るまで面倒見てくれるってわかってたからな。」
「レンジさん…」
「不安にならなかっただろ?智鶴…」
「はい…奥さんの由貴さんも一緒に食事して…たくさん色々お喋りして楽しかったです…」
「そうか…」
「明日記者会見するからなレンジ…こんだけ騒がれたんじゃ説明しないと収まらんだろう。
そう言っとけば彼女の周りも静かになる。構わんな?レンジ…」
「ああ…俺は前からそうしたかったよ。」
「フフ…言うな…そうか…」
「あっちはどうすんだ?やっぱ俺がハッキリ言った方が良いのか?」
「いや…元はあの嬢ちゃんの一言から始まった事だからな…
ここまで事が大きくなるとケジメだけはつけてもらわんと…
じゃなきゃ智鶴さんだって気分も悪かろう。こっちはこれからめでたい発表するのに
ケチつけられたまんまじゃ腹の虫が収まらんからな。」

「え?」

何だか2人の会話が良く分からなくて…一体何の話してるのかしら??

「そっちはオレに任せとけ。もう帰った方が良い…智鶴さんもこんな騒動で疲れただろう。」
「あの…」
「詳しい話は後でレンジに聞くと良い。もう貴女の家にマスコミが押し掛ける事も
無いだろうから安心しなさい。」
「……はい…あの……ありがとうございます。」
「智鶴送るから帰るぞ。」
「はい…あ…お世話になりました…」

ペコリと頭を下げると社長さんはニッコリと笑ってくれた。
私はレンジさんに促されるまま社長室を後にした……

何だか…今日は色々な事があり過ぎて…頭の中がゴチャゴチャ…

エレベーターに乗って扉が閉まった瞬間…

「智鶴……」
「あ…」

腰に腕を廻されて抱き寄せられる…つま先立ちになって……

「ちゅっ……」

そっとレンジさんの唇が私の口を塞ぐ……

「ぁ……レンジ…さん…ン…」
「智鶴……」

啄ばむ様なキスをして…その後はお互い相手を求める様な深い深いキスをする…

「ん…レ…ンジ………さん……」

私はずっとしたかったレンジさんの首に腕を廻す…
そして廻した腕に力を込めて抱きしめて…レンジさんに密着する…
レンジさんはそんな私をさっきよりギュッと抱きしめてくれて…

ああ…もう…こんなにレンジさんの温もりを感じられて……嬉しい!!

「レンジ……さん……」
「ん?」

離れてもまだ唇はくっ付きそうなほど近い……
だからこんな短い会話の間もレンジさんは私の唇を触れる程度に啄ばむ…
もうそんなキスにクラクラしちゃう………

「会いたかった………レンジさん…会いたかった……」

大好きなレンジさんの首筋に顔をうずめてスリスリする…
レンジさんは嫌がったりしないで私のやる事を受け入れてくれる……

「会いたかったんです………」
「悪かった…」

レンジさんはいつもちゃんと謝ってくれる……
だから私は怒ってもいないのに…許しちゃうの……

「怒ってません…今…レンジさんは…私の傍にいてくれるから…」

そう…レンジさんさえ傍にいてくれれば…私は…

「智鶴。」
「はい?」

私はボワンとした頭でレンジさんの言葉を聞いてた。

「ちょっと話しがあるから今日は俺の所に泊まるか?」
「話し?ですか?」
「ああ…落ち着いて話がしたいから…いいか?」
「はい…」

レンジさんの部屋にはいつ泊まっても良い様にちゃんとお泊りセットと
着替えも数着置いてあるから慌てはしないけど…

未だにお泊りって緊張する…





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