「……ん……ふぁ〜〜〜」
無意識に寝起きの顔をシーツにスリスリする。
ああ…気持ちいい感触〜やっぱりお布団の肌触りは気持ちいい……って…ん?
私…昨夜ベッドで寝たっけ?ん?確か…
彼が寝ちゃったから私はあっちの部屋で寝たはず…それが何で?
「………」
そっと目を開けたらお互い横を向いて眠ってて…私は彼の腋の下に頭を突っ込んで寝てた。
「!!」
何で??
「今日は奈々実さんがコーヒー淹れてくれたんだ。」
「うん…あなたぐっすり眠ってたから…」
「ふぁ〜〜〜ん〜〜〜」
「………」
「ん?」
「なんでも…!!」
「オレ朝ごはんの支度するから奈々実さんは自分の支度しなよ。」
「いいわよ…昨日もしてもらったし…今日は私が…」
「いいって。泊めてもらってるお礼。」
「…………」
彼が目の前を通るだけでちょっとドキリとする…何でよ〜〜〜!!
今朝もどうして自分がベッドに寝てるのかわかんないし…
だからって彼に聞けないし…
だって一番の正解は…彼が私をベッドに連れて行ったって事で…
そんな事聞けない!!
「なに?」
「え?あ…ううん…」
「さっきからオレに何か言いたそう。」
彼が頬杖を着いて私をじっと見てる。
「そんな事…無いから…」
「でも誤魔化してコーヒー飲むの何度目?」
「………」
「何で自分がベッドで寝てたか不思議?」
「 !! 」
いきなり核心??
「オレもビックリした。
気配がして目が覚めたら奈々実さんがフラフラしながら歩いて来たから。」
「ええっ!?私が??」
うそ!?
「ゾンビみたいに。」
「え”え”っっ!!」
私は一瞬で真っ青になったに違いない…
「……くっ……」
「は?」
見れば彼が腕を組みながら…違う!お腹抱えて…俯いて肩を揺らして笑ってるっ!!
「ちょっとっっ!!ウソでしょ!それ!!!」
「ホ…ホント……くっ…くっ…」
「ちょっと!本当の事言いなさいよっ!!」
テーブルに身を乗り出して彼を問い詰める。
「は〜〜笑った。」
「ちょっと!!!」
涙流して笑ってんじゃない!!
「いいの?本当の事言って。」
「え?」
「本当はどんな事があったのか。」
「うっ……」
彼が急にいつもの無表情の顔するから……
「本当に聞きたい?」
「…………い…いいです!何となくわかったから。」
「そう?なんだ話したかったのに。」
「…………」
うう…からかって…
「そんなに気になるなら最初っからベッドで寝て。」
「………」
「今度は運搬費貰うから。」
「え?」
「今回はサービスにしといてあげる。」
「…………運搬…費って?まさか…私が寝てる間に?」
またキスしたのぉーーーーー!?
「だから今回はサービスだって。でも次からは有料。」
「…………」
「ほら会社遅れるよ。」
「あ!」
本当に時間が無くて仕方なく会社に行く支度をする。
もう…今日は朝から訳が分からない!!
「いってらっしゃい。」
「いってきま……」
ちゅっ!っと音がして彼が昨日と同じに私の頬にキスをした。
「ちょっと!いい加減に…」
「奈々実さんが他の子供に悪戯されない様にね。」
「何よそれ…」
「奈々実さんは無防備だから。」
「そんな事無いから!じゃあね!」
そう言って今日はちょっと乱暴にドアを閉めたから彼が手を振ったのかどうか分からなかった。
まったく…人をからかって…おちょくって…
見てなさいよ〜〜〜!今度はこっちが彼の事からかってやるんだから!!
「あら城田さんなんだか機嫌が良い?」
「え?そんな事無いですよ…」
帰りがけの更衣室でまたまたおばちゃんに話し掛けられた。
「そう?何だか数日前とはエライ違う気がするけど…なに?イイ人でも出来た?」
「違いますよ。ちょっと生き物を預かりまして…」
「ああ!ペット?何知り合いが旅行でも?」
「まあそんな感じです。」
とんでもなく飼い難いですけど…
「ペットは癒しがあるからねぇ〜いいかもね。ウチにも犬が2匹もいるんだよ。」
「へえ…」
「ここだけの話し旦那より犬よ!犬!」
「そ…そうなんですか?」
「ヒドイとか思わないでよ。城田さんだって結婚して年くえば分かるんだから〜」
「はあ……そう言うもんですか…」
「そう言うもんだって!ねえ?唐沢さん。」
「え?何?ペットの話し?ウチにはね〜」
「あ!じゃ…じゃあ私はこれで…お疲れ様でした…」
私はそう言って頭を下げて慌てて更衣室を出た。
危ない危ない…付き合ってたらキリが無いわよ…
確かに彼が来てから夜も不安じゃ無いって言えば不安じゃないか…も…
でも…だからって今のままでいいわけないから…
私は昨夜の考えた事を実行する事にした。
「おかえり。」
いつもと同じ様に彼が玄関を開けたらお出迎えをしてくれた。
「ただいま。」
私は素直に返事をする。
もう計画は始まってる……私が考えた計画…それは…
『女子にかまわれるのが嫌な彼をかまって帰ってもらう作戦!!』
今まで私が彼をかまって無かったから彼は私を気にしてたのよ!
だから私も他の女の子と同じ様に彼をかまえば…うんざりして出て行くはず!!
まあ…ちょっと恥ずかしい様な気もするけど…帰ってもらうためだもの…頑張るわ!!
「どうしたの?」
「何が?」
「何だか機嫌が良い?」
「そう?」
「…………」
「もう夕飯の支度してくれたの?」
「…うん。」
「ありがとう。」
「 !! 」
そう言って彼の腕に自分の腕を絡ませた。
「今日のおかずはなあに?」
そう言って彼の腕を掴みながらキッチンに引っ張っていく。
彼はいつもの無表情だったけどきっといつもと違う私の行動に驚いてるはず!
腕を触られて嫌だなって思ってるはず!!
「メインは魚…煮魚。」
「じゃあすぐ手を洗って来るから待ってて。」
「…………」
私は軽く笑って彼の腕を離して手を洗う。
やっぱりいつもと違う私の行動に戸惑ってるみたいね〜ふふ…
よし!このまま更にかまって「嫌だな〜」って思わせなきゃ!!
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